腸内フローラの乱れが導く病気とは?

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腸が発するSOSサインを見逃すな!!

人間の体には、腸をめぐるネットワークがあることをご紹介しましたが、この腸をめぐるネットワークの幅広さを考えると、もし、心と体に不調が生じれば、少なからず腸にも影響が出てくるものと考えられます。

つまり、腸から発信されるSOSのサインを読み取れば、普段なら気が付かないような不調に気づけるということです。では、腸が発する不調のサインにはどういうものがあるのでしょうか?

腸が出すサインの中で代表的なものは、下痢や便秘です。腸内細菌のバランスが乱れ、精神的なストレス、感染症やアレルギーなど、心と体のあらゆる問題への反応として、下痢や便秘という症状が現れます。下痢や便秘の症状が1か月ほど長引くようであれば、病院で診察を受けることをお勧めします。

このほか「お腹に張りや痛みがある」「肌艶が悪い」「短期間での体重の増減」「ゲップや胸やけ「おならが増えたり、臭くなったりする」など、腸は様々な不調のサインを発信してきます。健康を維持するためには、これらの発信に注意を向ける習慣を持つことがとても大切です。

下痢や便秘

病原菌への感染、食生活や生活習慣の乱れ精神的なストレス、病気など、心と体に不調が生じると、その反応として症状が現れやすいです。

お腹の張り

おならの増加と同様に、悪玉菌の増加によるガスの過剰発生が原因です。便秘と併発することが多く、食欲不振などを招きます。

ゲップ・胸やけ

お腹の張りやおならの増加と併発することが多い。ガスの過剰発生で胃腸の内圧が上がり、胃液などが食道へ逆流してしまうことで起こります。

肌ツヤの低下

腸内フローラのバランスが乱れて悪玉菌による代謝物が肌に悪影響を与えているのが原因です。栄養吸収の機能が低下したら、病気に聞いしたりするケースもあります。

おならの増加

腸内の悪玉菌が増えると、ガスの量が増えて臭いも臭くなります。便秘や過敏性腸症候群のほか、大腸がんやSIBOなどの病気に起因する場合もあります。

お腹がゴロゴロ

腸の動きが激しいときに鳴る音がゴロゴロという音です。空腹時になるのは問題ないのですが、食事の直後にも音が激しいようなら、過敏性腸症候群やSIBOなどの病気の疑いもあります

腹痛

便秘や下痢と併発することが多いが、痛みの感じ方や位置などで原因も変わってくる。激しい痛みや長引く場合は、医師の診断を受けてください。

体重の急な増減

腸内フローラのバランスが崩れ、消化・吸収の機能がうまく働いていない状態です。体重増加は吸収しすぎ、体重減少は吸収せずに流してしまっている状態になります。

便の状態

便の色や形によって、腸内環境の状態を量るバロメーターになります。便の状態については、別途、詳しく紹介しております。

ウンチの色・形を観察していますか?

便の色や形を観察することで、普段は見ることのできない腸内の状態をチェックすることができます。理想的な便の状態は、下の図にあるようにバナナのような形をし、やや黄色っぽい茶色の便です。この状態であれば、腸内細菌のバランスや、腸内で消化・吸収するスピードのバランスも正常ということになります。

便の黄色さは、消化液を構成する「胆汁酸」の色です。腸内での通過時間が長くなると、どんどん水分が吸収されていき、胆汁酸が濃くなってしまいます。便秘の状態で排泄された便が黒くなるのは、そのためです。

逆に腸内での滞在時間が短くなると、水分吸収の時間が少なくなり、黄色が薄まった軟便や下痢のような状態になります。

また大腸に出血があると赤い便、胃や十二指腸に出血があると黒いタールのような便になります。白い便が出ることもありますが、それは十二指腸やすい臓、胆管に癌ができることで、胆汁の出口がふさがって胆汁が少なるなるために白くなります。

このように便の状態をチェックすることで、体の健康状態も推測することができるのです。

一番身近な腸の不調である便秘と下痢のメカニズムを知ろう!

便秘と下痢は、様々な病気の症状としてはもちろんですが、精神的なストレス、暴飲暴食、冷え、加齢、感染症など、日々のあらゆる問題を原因として起こります。

そのため、多くの人が便秘や下痢に悩まされているのが現状ではないでしょうか? では、この便秘や下痢は、腸内において、どのような流れで起こっているのでしょうか?

まずは、基本的な排便の流れをご説明したいと思います。食べ物は口腔で噛み砕かれ、唾液とともに胃に入り、強い酸性の胃液でドロドロに溶かされます。それが十二指腸に送られ、胆のうから胆汁、すい臓からすい液が分泌されます。これらの液体を合わせると、1日で約9リットルにも及びます。この9リットルのうち、小腸で約7リットル、大腸で約2リットルが吸収されますが、便を生成するのは大腸になります。

大腸のぜん動運動 → 便からの水分吸収 → 腸からの水分分泌 という3つの働きが、便の状態を左右します。

ぜん動運動が活発だと、便の滞在時間が短くなって水分吸収が不十分になります。そこに腸からの水分分泌が加わり、軟便や下痢の状態になります。逆に、ぜん動運動が鈍くなれば、水分の吸収が進み、腸からの水分分泌も低下することで、便秘を引き起こします。

前述したストレス等のさまざまな要因が、これらの働きを狂わせてしまうのです。

悪玉菌は60歳から増加する!

60歳を過ぎると、腸内細菌の組成が変化して、悪玉菌が増加し、善玉菌が急激に減少していきます。とくに問題なのは、悪玉菌のなかでも有害な物質をつくる細菌種が増えるということです。

腸内細菌が生み出した有害物質が、迷走神経や血管、リンパ管などを通って体のあらゆる場所で問題を引き起こす原因となります。腸のネットワークの優れた機能が、逆に仇となってしまうのです。

悪玉菌が増えるとどうなるの?

たとえば、腸内の環境が変化してくると、勢力を増す「アリアケ菌」という細菌がいます。このアリアケ菌は、消化液を構成する胆汁から「二次胆汁酸」という有害物質を生み出すのですが、これが発がん性物質につながるのです。門脈という腸と肝臓をつなぐ血管からその物質が肝臓に入ってしまうと、肝臓がんを引き起こす原因になります。

このほかにも、認知症やバーキンソン病、うつ病などの原因となる毒性を生み出したり、肌を劣化させたり、有害なガスを発生させたり、さまざまな悪さをする凶悪な悪玉菌が増えてきます。老化は腸から始まるといっても過言ではないのです。

やせ型で心配性なうつ基質の人は腸が乱れている

腸がさまざまな不調のサインを送ってくることは前述しましたが、実は体の内部の症状だけでなく、外見でも腸の不調の兆候を読み解くことができます。いつもお腹の調子が悪いと言っている人はやせ型の人が多いでうす。これは腸に問題があると、栄養素をうまく吸収できず、やせ細ってしまうからです。

そして、お腹の調子が悪ければ、顔色も悪く、「脳腸相関」の影響で表情が暗くなります。無意識にお腹を守っているせいか、猫背になっている人も多いのが特徴です。「やせ型で陰うつな表情」をしている方は、一度、腸内環境の乱れを疑ってみてください。

腸内の