エネルギー回路ついて知ろう!!

人間のエネルギー回路は3つ

人間のエネルギー回路は、「解糖系」「TCA回路」「電子伝達系」の3つだけです。

「解糖系」はブドウ糖からピルビン酸を作る回路です。

「TCA回路」はミトコンドリアの中にあり、ピルビン酸から水素を作っています。

「電子伝達系」はミトコンドリア膜にあり、TCA回路で作られた水素を使って一気にエネルギーを生み出します。エネルギーの約9割がこの電子伝達系で作られます

人間の体内でこれ以外にエネルギーを作る回路はありません。したがってエネルギー不足の人は、これらの代謝のうち少なくとも1つが滞っているということになります。

さて、エネルギー回路で大切な「ミトコンドリア」ですが、聞いたことはある言葉ではあるものの、それが’いったい何なのか?よくわからない人は多いと思います。まずは、ミトコンドリアについて説明していきたいと思います。

ミトコンドリアって何?

ミトコンドリアとは、細胞の中になる発電所のようなものです。健康の維持や病気の発生に深く関わっています。

私たちの体は、約37兆個とも言われる膨大な数の細胞からできています。これらの細胞が活動するための95%のエネルギーを作りだしてくれているのがミトコンドリアです。このミトコンドリアが働いてくれることで、すべての細胞は、それぞれの役割を果たすことができているのです。

生きるためにあらゆる動物が有している、大変重要な細胞小器官であり、私たちが元気でいられるのはミトコンドリアのおかげだとも言えます。

ミトコンドリアはどれくらいあるの?

ミトコンドリアの重さは、体重の約10%ほどで、50㎏の方であれば5㎏はミトコンドリアということになります。とくに代謝が活発な心臓、肝臓、腎臓、筋肉、脳には多くのミトコンドリアが存在しています。その数、およそ数京個(京:数の痰飲。兆の1万倍。10の16乗)と言われています。

人間が活動できるのはミトコンドリアのおかげ

ミトコンドリアは、私たちが食事をして摂った「栄養素」、呼吸をして取り込んだ「酸素」、この2つを使って、生命維持に必要なエネルギーの供給源を作ります。

この供給源をATP(アデノシン三リン酸)と呼びます。ATPはエネルギーと交換できるお金のようなもので「エネルギー通貨」と呼ばれることもあります。必要であるはずのATPは、私達の体内ではわずかにしか存在できなため、常に作り続ける必要があります。

なんと、1日に作られるATPは、その人の体重に相当する量になると言われています。

ミトコンドリアに必要な栄養素

ミトコンドリアが、とても大切なものだとわかっていただけたところで、最近は、このミトコンドリアを活性させるためにサプリメントを飲まれている方が増えています。

ミトコンドリアサプリメントは、エネルギー産生に必要な栄養素を補うことを目的に設計されています。

これらの栄養素をサプリメントで摂っても疲れが取れないということは、栄養素がうまく消化、吸収、利用できていない可能性があります。

● 解糖系にはビタミンB群

● TCA回路にはビタミンB群、鉄、マグネシウム

● 電子伝達系にはビタミンB2、鉄、CoQ10

● 鉄を錆びさせないためのビタミンC、ポリフェノール

鉄の吸収率が悪い原因

体内に鉄が十分あるかどうかは、健康診断の貧血の項目からある程度推測できますが、確実性を求めるのであれば「フェリチン値」を測定すると良いでしょう。

ヘモグロビン値が12以上あっても、フェリチン値が20以下であれば、鉄欠乏症状が出ます。食事由来の鉄摂取量が不十分な場合、サプリメントで補給するとフェリチン値はすぐに上昇します。

けれど、鉄剤や鉄サプリメントを摂っているにも関わらず、フェリチン値が上がらない人もいます。原因は3つあります。

① 炎症

炎症が強いと、肝臓でヘプシジンというタンパク質が作られ、フェロポーチンの動きを止めてしまいます。フェロポーチンは、腸上皮細胞の鉄や、マクロファージからリサイクルされる鉄、幹細胞に貯蔵されている鉄などを血液中に排出する役割を担うタンパク質です。

つまり、炎症があるとヘプシジンの鉄が九州と放出を止めてしまうということです。

血液データ上では血清鉄が低い値を示します。この場合、いくら鉄サプリメントを摂ってもうまくいきません。活性酸素の害がひどくなるだけです。まず炎症を治すことが最優先です。

② 乳製品

鉄吸収を阻害する食品の代表格が乳製品です。乳製品はヘム鉄と非ヘム鉄の両方の吸収を阻害します。貧血が治らない人は、乳製品を摂ってはいけません。他にも、食品添加物タンニン、フィチン酸などが鉄吸収を阻害します。

③ 腸カンジダ

カンジダは健常人の腸にも住んでいますが、過剰に増殖すると腸に炎症を起こします。カンジダや腸内病原性微生物は人と鉄を取り合います。鉄は全生物の生存に必要な栄養素だからです。摂取した鉄が全てカンジダの餌になることで腹部膨満感が強くなったり、便秘が酷くなることもあります。

鉄のデメリットとは?

鉄はTCA回路にも使われるし、電子伝達系でエネルギーを生み出す際にも必要です。また赤血球のヘモグロビンのヘムに含まれており、酸素の運搬に関わっています。鉄は生命維持にとって重要なミネラルである一方、活性酸素の発生源になるという側面もあります。

また、病原性微生物の栄養になり、増殖を促してしまうこともあります。

鉄の体内分布

体重にもよりますが、体内の鉄は3~4グラムで、そのうち65%は赤血球ないしヘムとして存在し、残りの35%は、脾臓やマクロファージないでフェリチンとして存在します。

鉄が遊離すると活性酸素の発生源になってしまうので、簡単に遊離しないように厳重に守られた状態で存在しています。

血液中の鉄は血清鉄と呼ばれ、トランスフェリンというタンパク質と結合して運ばれます。ヘムやフェリチンに比べ、鉄とタランスフェリンの結合は非常に弱いため、簡単に外れて活性酸素の発生源になります。そのため、血清鉄量は全体の0.1%と最小限に抑えられています。炎症を起こすと、体を炎症から守る仕組みが働き、血清鉄がさらに減ります。

ヘム鉄は吸収効率が良いと言われており、フェリチンを上げるのに有効です。ヘム鉄で上がらない場合は、キレート鉄で上がることもあります。

ヘム鉄は非ヘム鉄に比べると安全な鉄ですが、そのヘム鉄でさえもずっと飲み続けると様々な害が出てきます。鉄を処方してもらうには最低限の量に留めることが大切です。ヘム鉄を飲んでもフェリチンが上がってこないとか、貧血が改善しないのであれば、鉄吸収を阻害する要因を調べる必要があります。炎症を抑えると、鉄サプリをとらなくても勝手にフェリチンが上がるケースが多く見られます。また、女性の場合は、エストロゲンとプロゲステロンのバランスを整えると改善するケースもあります。

とても重要なマグネシウム

エネルギーを作る際にはマグネシウムが必要です。

ATP(アデノシン3リン酸)は、アデニンとリボースに3つのリンガ結合したもので、そこからリンガ1つ離れると、その時にエネルギーを放出してADP(アデノシン二リン酸)に戻ります。(ATP、ADPサイクル)

このようにリンガくっついたり離れたり、グルグル繰り返しています。電子伝達系の最後のステップで、ADPにリンが結合してATPになり、このATPがまたADPに戻る時にエネルギーが作られます。このリンを離す際に働くATPアーゼという酵素の補酵素がマグネシウムです。