内臓について知ろう

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私達の健康を脅かす病気の種類は、外敵にやられる「感染症」、細胞がおかしくなる「癌」、正常なはたらきができなくなる「内臓の問題」という3つがあります。感染症や癌は発病したら医者に頼るしかないけれど、内臓は加齢とともに壊れていくものなので、壊れないように養生しながら長持ちさせるというのが正しい健康の戦略です。

けれど、多くの人が内臓に無頓着です。健康診断で注意喚起の警報が鳴らされているのにもかかわらず、放置して再生できないくらい内臓が壊れてしまうまで放っておく人もたくさんおられます。内臓は私達が生きるための部品です。メンテナンスやケアをしながら大切に正しく使えば長持ちします。今までよりも少しだけ、内臓に対して興味を持っていただき、正しく大切に使う方法を知っていただくだけで、あなたの健康寿命は5年も10年も長くなることは間違いありません!!

ということで、このページでは、私達の体の部品である内臓について、わかりやすく解説していきたいと思います

どこにどんな臓器があるのか? 内臓の地図見てみよう!!

肺と肝臓を取り除いた人体地図

心臓と胃を取り除いた人体地図

内臓の最背面の人体地図

横から見た人体地図

人体の機能は大きく2つに分けられる

解剖学では、人体の構造を部位ごとに見ていく方法(局所解剖学)がありますが、一方で消化器や呼吸器など機能ごとにわけて見る方法もあります。これらの働きや機能システムのことを「器官系」といいます。

そして、器官系も大きく2つの機能に分類されます。それは、生命を維持する「植物機能」と、その生命を使って下界にアクティブに働きかける「動物機能」です。

体を輪切りにしてみると、身体の外側の壁を作っている骨格や筋肉があります。これを体壁といいます。この体壁の筋肉や骨格が主に動物機能を担当し、体壁の内側にある器官が「植物機能」を担っています。私達が内臓と呼んでいるのは、この体壁の内側で生命の維持を担っている器官のことです。

内臓の仕事は、生命の維持です。酸素や栄養を体内に取り込んでエネルギーにしたり、血液や体液のバランスを調節したり、いらないものを外に捨てたりする、まさに生きていくために必要な仕事をしています。

生命を維持する植物機能を担う(内臓)

外界に働きかける動物機能を担う(体壁)

内臓の中には壊れたら再生できない臓器がある

内臓は、私達が生命を維持していくための部品になりますが、その中でも壊れたら二度と元に戻らない臓器と、必要に応じて再生できる臓器、なくても生きていける臓器があります。

肺や腎臓には、とても複雑な構造をした小さい組織(肺胞や糸球体)があります。

これらは壊れると、複雑な構造ゆえに二度と再生できません。逆に胃などは全摘出しても一度に食べられる量は制限されますが、生きていくためには支障がありません。

だからといっても臓器は基本的には一生モノです。養生しながら長持ちさせることが大切になってきます。

内臓を老化させないことが、健康寿命を長続きさせる秘訣です。

物質交換を担う3大臓器とは?

私達が生きていくために必要なことは、外の世界から必要な物を体内に取り込み、不要な物を捨てるという「外界と物質を交換すること」です。

私達は、肺から酸素を取り込み、エネルギーとして利用しますが、同時にエネルギー代謝の廃棄物として生じた二酸化炭素を体外に吐き出します。

食べ物も同様であり、小腸で栄養を消化・吸収した後、不要物は便として捨てます。これらの機能は生きていく上で最も大切な機能になります。

この重要な物質交換を担っているのが、呼吸器、消化器、泌尿器の3大臓器です。この三大臓器の機能が低下すると、私達の健康に著しい影響が及びます。

内臓を制御・調節する自律神経とは?

体壁の筋肉と体壁内部の内臓や血管では、指令を出している神経の系統が異なります。体壁の筋肉を動かしているのは「体性神経」と呼ばれるもので、これは自分の意思でコントロールすることができます。一方、内臓や血管などを調節し、自分の意思で動かせない神経を「自律神経」といいます。

自律神経は、交感神経副交感神経に分かれており、それぞれ血管や内臓に働きかけてバランスを調節しています。「交感神経=興奮・活発・危機」「副交感神経=リラックス・安堵」の状態を司る神経となります。交感神経は、脊髄の中枢神経から交感神経幹という大通りを中継し、そこから内臓などに繋がって行きます。

一方、副交感神経は脳神経から枝分かれして胸部や腹部をカバーする迷走神経や、脊髄の末端(仙髄)からのルートで下部内臓につながっています。

自律神経は直接内臓とつながっておらず、自律神経節という中継所の前後で、指令を伝える伝達物質が変化します。神経節の前は基本的にアセチルコリン、神経節の後は交感神経に限りノルアドレナリンという物質に変わります。

必要なものを必要な場所へと運ぶ血管

内臓の主な仕事は、酸素や栄養素といった必要物質を全身に送り届け、不要物を廃棄する「物質交換」です。

このとき内臓間はもちろん、全身にわたる運搬役を務めるのが「血液」であり、その通り道が「血管」になります。

人間の細胞の中では、燃料になる栄養素と酸素を使ってエネルギーに変換する「代謝」が常に行われており、代謝によって「二酸化炭素」をはじめとする不要物が生じます。

このときの物質の運搬はすべて血液が担当しています。血管と細胞の物質交換は、毛細血管を通じて行いますが、血管内の血液と細胞内の組織液の濃度差を利用しています。

血液は、人工では作れない「魔法の液体」と言われており、そでは、単に栄養素や酸素の運び役に留まらないためです。

血液は、外敵と戦う免疫細胞や、体内機能のバランスを取るためのホルモンなども運んでいます。

特に各種のホルモンは脳などの中枢系と内臓間における情報交換に重要な役割を果たし、食欲を調節したり、交感神経のはたらきを助けたり、さまざまな機能に影響しています。

内臓の状態が心に影響する

私達の心を作っているのは脳です。イメージとしてはハートや魂から心臓のあたりをイメージすることもありますが、医学的に心臓は血液を送り出すポンプに過ぎません。

けれど、最近では「心身相関」という考え方もあり、脳は体に指令を送りますが、逆に体からのフィードバック情報が脳に影響を与えるという双方の関係が注目されています。

内臓から脳への作用も一部は判明しており、医学的にすべてが立証されたわけではありませんが、証明されていなから無関係とも言い切れないのです。

例えば、血圧ですが、血圧が高いと気分が落ち着かずイライラしたり、逆に低すぎると落ち込みやすかったり、気分に影響することがあると思います。血圧は自律神経や腎臓の機能と密接に関わっているため、腎臓の機能低下で気分が変動する可能性はあります。

また、炎症に対する免疫反応で分泌されるサイトカインという物質は、ちょうど風邪に似た倦怠感を起こし、脳の機能が低下してぼうっとしてしまうこともあるのです。

外敵と戦う免疫細胞

2020年、世界中がコロナ禍に見舞われたことで、感染症に対する免疫力が注目されました。免疫細胞は体内で生成されるため、当然はたらく内臓の機能と無関係ではありません。免疫細胞が数多く集中する場所として代表的なのはリンパ節です。

リンパ節とは、リンパ管の途中にあるふくらんだ部分で、リンパ管はリンパ液が流れる管のことです。そもそもリンパ液とは、細胞と毛細血管の物質交換の際に、漏れ出た水分をリンパ管で回収したものです。

リンパ液は最終的に静脈に合流して心臓に戻されます。この血管と並走するような形で分布するリンパ管には、ふくらみのある節があり、これをリンパ節といいいます。

リンパ節には多くの免疫細胞が集まっており、異物をチェックする関所のような役割を果たしています。

免疫細胞は、常に全身を漂っていますが、体内には免疫細胞の拠点のように見える場所がいくつか存在します。その一つがリンパ節ですが、ほかにも免疫細胞を教育する胸腺、小腸の中にあるパイエル板、脾臓、扁桃など、免疫細胞の砦ともいえるパワースポットがあります。

肝臓は元気の源である

どこが悪いというわけでもないけれど、なんとなく体調が悪い・・・体がだるい・・疲れが取れない・・・といことは時にはあると思います。この「なんとなくの不調」の原因には、さまざまあると思いますが、多くの場合、肝臓が関係しています。

肝臓は医学的に見ても元気の源になります。3大内臓の1つであり、消化器系の代表としては、胃腸をイメージするかもしれませんが、実は消化器系を取り仕切っているのは肝臓なんです。

腸内で消化・吸収された栄養素のほとんどは、門脈という血管を通して肝臓に送られます。そして、肝臓はバランスを見ながら栄養素を全身に配分したり、貯蔵したり、栄養の元締め的な役割を果たしています

栄養供給を司る親玉である肝臓の調子が悪くなると、当然各所への供給タイ背ちが乱れ、必要な物質が不足したり、老廃物の回収が滞ったりします。

なんとなく疲労が抜けない、だるい、といった症状がある場合は、肝臓の機能が停会している可能性があります。飲みすぎや食べ過ぎで調子を崩すのも同じ、です。肝臓への負担が大きく、機能低下の影響が出ているのです。

健康診断は病気を探知する考え抜かれたシステム

内臓の状態を定期的にチェックするために有効なのが「健康診断」です。けれど、渡された健康診断表を見ても、それがどういう意味なのか、正確に理解している人は少ないと思います。

健康診断表には、さまざまな物質の名称が表記されていますが、その物質がどのようなしくみで生じてくるものなのか、よくわかなかったりします。

例えば、コレステロールなどは悪玉、善玉などと言われていますが、実は細胞膜やホルモンをつくるのに必要な物質、割合のバランスが崩れることで動脈硬化などにつながる原因になったりします。

また、ASTやALTと言った物質は、肝臓や心臓に異常がある場合に増えてくる物質で、基準値を超えることで、そこから精密な検査をし、原因を突き止めることになります。つまり、健康診断の役割は、内臓全体に広く網をかけ、病気の兆候を緩和することにあります。

一般検査だけでも健康化病気の疑いがあるか、内臓の状態を正確に把握することができます。

各臓器の働きを知ろう(準備中)

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