今日から始める子供の腸活(子供の健康は腸で決まる)

-Gut health in children -

このページでは、お子様の腸活についてみなさんが疑問に思われていることなどについてご紹介していきたいと思います。① 胎児の腸活 ② 乳児の腸活 ③ 3~5歳の腸活 に分けてご紹介してきます。

胎児編 ~妊娠中の食生活は子供の腸内に影響する~

胎児のお腹にはまだ菌がいない

お母さんのおなかにいるとき、赤ちゃんの腸内環境はどうなっているのでしょうか?  実は母体の子宮内は無菌状態であり、胎児もまた無菌状態です。

まだ未熟な赤ちゃんが感染症にかからないように、羊水や羊水を包んでいる卵膜が菌から守っています。無菌なので、もちろん胎児のお腹の中にも腸内細菌は存在していません。

なので残念ながら・・・妊娠中のお母さんがせっせをヨーグルトや納豆を食べても、胎児の腸内細菌を増やすことにはつながらないんです。

では、無菌状態で過ごした赤ちゃんは、どのタイミングではじめて菌と出会い、菌との共生生活をスタートさせるのでしょうか?

赤ちゃんがはじめて菌と出会う時、それはなんと!!出産で産道を通るときなんですよ~!!

 

お母さんの与える菌が腸内環境の基礎になる

無菌状態だった胎児がはじめて出くわす菌は、お母さんの膣内にいる乳酸菌たちです。膣には乳酸菌が定住していて、膣内を酸性にすることで病原菌の侵入や繁殖を防ぐバリアの役目を果たしているんです。

膣内の乳酸菌の役目は、赤ちゃんが産道をとおるときにお母さんから受け渡す「最初の贈り物」なんです。乳酸菌が最初に赤ちゃんの口内から腸内に入り込みコロニーをつくることで、腸内の酸性度が高くなります。sろえが病原菌の侵入や繁殖を防ぎ、免疫力の弱い生まれたばかりの赤ちゃん守ってくれます。

また、妊婦の膣内には、ビフィズス菌などのふだんは膣内には存在しない腸内細菌も交じって来ることがわかっています。加えて、出産時に便を出すお母さんも多く、赤ちゃんはお母さんの便からもお母さんの腸内細菌たちを吸収します。

こうして出産時に受け渡されたお母さんたちの菌たちが、赤ちゃんの腸内フローラの基礎になるのです。

【結論】

Q: :妊娠中の食生活は、子どもの腸内環境に影響するの?

A:間接的には影響します。

妊娠中に発酵食品をとったり、食物繊維をとったりして自信の腸内環境を整えておけば、出産にあたり赤ちゃんに良い腸内細菌を受け渡すことができます。

また、特に妊娠中期・後期は、しっかりと歯を磨く、水分を摂るなどして体調管理に努めることも大事だといえます。

虫歯や膀胱炎などになると、治療のために抗生物質を使う必要が出てくることがありますが、抗生物質は病原菌だけではなく腸内にいる菌たちをも殺してしまい、一時的に腸内環境が乱れてしまうからです。

結論としては、妊娠中のお母さんの食事は赤ちゃんの腸内環境に影響はありません。ただし、出産までにお母さんの腸内環境を整えることには大切な意味があります。

胎児編 ~腸内環境って子供に遺伝するの?~

遺伝しないけれど腸内環境は似てきます

腸に存在している腸内細菌たちの組成を決めているのは遺伝子のように思いがちですが、実は遺伝子ではないんです。ただ、家族の腸内細菌はある程度似ていることがわかっています。少なくとも他人同士よりもはるかに似ています。

そして、赤ちゃんの腸内細菌はたいてい、お母さんの腸内細菌と似ていて、お父さんに似ているという子供は少ないといわれています。それは、なぜでしょうか?

その理由は、前項にご紹介したとおり、腸内細菌の組成を決めているのが、生まれた直後に接触した人が持っている菌だからです。

赤ちゃんは、産道をとおるときや授乳のときにお母さんの細菌群をもらい、それをもとに、家庭の食生活や生活習慣の影響を受けながら腸内フローラを形成していきます。

そしてこの乳児期につくられた組成は一生変わることがないのです

食文化・食習慣の影響を受ける腸内フローラ

日本人は他国の人に比べて、海苔やワカメなどの海藻を良く食べます。2016年に早稲田大学と東京大学院の共同研究グループが、日本を含む12カ国の腸内フローラを調べたところ、他国の人に比べ日本人には、海藻に含まれている多糖類を分解する酵素遺伝子を持つ人が非常に多いことがわかりました。

昔から習慣的に海藻を食べるなかで、腸内に入ってきた海藻分解能力のある海洋微生物の遺伝子を腸内細菌の一種が受け継ぎ、海藻を分解する力を手に入れたのだと考えられています。

日本人の9割が、この海藻を分解できる腸内細菌を保有しているといいます。

腸内フローラは遺伝しませんが、腸フローラの形成にあたっては、身近な人の腸内フローラや、食文化・商習慣の影響をおおいに受けることが、この研究報告の例からもおわかりいただけると思います。

【結論】

Q: :腸内環境って子供に遺伝するの?

A:腸内フローラは生まれた後に形成されるものであり、遺伝子の影響はほとんどありません。どんな環境で誰に育てられるかが大きく関係しています。

胎児編 ~帝王切開だと赤ちゃんは必要な菌を獲得できないの?~

膣内からは受け取れないが皮膚などから受け取る

経腟分娩の赤ちゃんは、お母さんの産道をとおるときに膣内に生息している約1000億個以上の菌を引き継ぎます。経腟分娩で生まれた赤ちゃんの新生児期の腸内細菌はお母さんの膣内の細菌とほぼ同じ構成であることがわかっています。

では、帝王切開の赤ちゃんだとどうなのでしょうか?産道を通過せずに生まれて来た赤ちゃんは、お母さんの膣内の菌をもらうことができません。ではどうやって菌との共生をスタートできるのでしょうか?

まず赤ちゃんは、お母さんやお父さん、医療スタッフなどに抱っこされることで、手などについていた皮膚常在菌を受け取り、それを基礎にして腸内フローラの形成をスタートします。その後も周りの環境からたくさんの菌を取り込みながら、腸内フローラを形成していきます。

さらに母乳を飲むことによっても、赤ちゃんは有益な菌を受け取ることができます。通常はお母さんの膣や腸にいる菌たちが、血流にのって大腸から乳房へと移動して、赤ちゃんの口に入るからです。

菌たちを乳房まで運んでいるのは、樹状細胞と呼ばれる免疫細胞です。免疫細胞は、病原菌をやっつけるだけでなく、良い菌を赤ちゃんに引き渡すお手伝いもしているのです。

このようにして、自然分娩の赤ちゃんと帝王切開の赤ちゃんの腸内細菌は、出産直後こそ大きく異なるものの、生後1か月ほどでほとんど同じになるといわれています。

帝王切開の赤ちゃんは積極的に菌にふれさせよう

生後1か月にはほとんど自然分娩の赤ちゃんと同じになるといわれている帝王切開の赤ちゃんの腸内細菌ですが、スタート時点では自然分娩の赤ちゃんに比べて帝王切開の赤ちゃんは、腸内細菌の形成にやや遅れをとることは事実です。

先進国では、4部の1から3分の1の赤ちゃんが帝王切開で生まれているというデータがあります。

帝王切開で生まれた子はそうでない子に比べて、感染症になったり、アレルギーを発症したり、自閉症になる確率が高いことも最近の研究では明らかになっていきています。

なので、帝王切開で生まれた赤ちゃんはとくに、積極的にさまざまな菌にふれさせて赤ちゃんの体内の菌の種類を増やし、腸内環境を豊かにするように心がけたいものです。

抱っこや入浴などのスキンシップも、お母さんやお父さんがもっている菌を受け渡すことはできますので、ぜひ積極的にスキンシップをとりましょう。

赤ちゃんの周りやふれる物を除菌・殺菌しすぎて、赤ちゃんの腸内フローラの一員になるかもしれない菌を殺してしまわないように、気をつけなければいけません。

 

【結論】

Q: :帝王切開だと赤ちゃんは必要な菌を受け取れないの?

A:帝王切開で生まれた赤ちゃんも、環境の中で菌を取り入れて、腸内フローラを形成していきます。生後1か月で自然分娩の赤ちゃんにほぼ追いつきます。

新生児編 ~初乳ってどうして大事なの?~

初乳は栄養素と免疫成分が豊富

母乳の成分はずっと同じではないと知っていますか?赤ちゃんの成長に応じて変わっていきます。

出産直後から数時間出る特別な母乳のことを「初乳」といいます。黄色くて粘度が高く、どろっとしているのが特徴です。

人によって初乳が出る期間は異なりますが、一般的には1週間くらいです。その後は「成乳」と呼ばれるサラサラとした白母乳に変わっていきます。

赤ちゃんの体を強くするためには、この「初乳」を飲ませることがとても大切ということを聞いたことがあると思いますが、その理由を簡単に説明しますね。

初乳の色が黄色いのは、βーカロテンが多く含まれているからです。βーカロテンは、赤ちゃんの皮膚や粘膜、免疫機能を正常に保つために必要な栄養素になります。

初乳にはほかにも、ビタミンA、D、Eコレステロールなど、さまざまな栄養がギュッと詰まっています。

けれど、初乳の役割は栄養補給でだけではないんですよ!!

初乳の一番大事な役目は赤ちゃんに免疫を与えることなんです。私たちの体には、病原菌やウィルスに抵抗して体を守ろうというはたらきがあり、この時に働く物質を「抗体」といいます。

赤ちゃんはもともとこの抗体をもっておらず、自分で作り出すこともできません。そのため抗体は、お母さんから赤ちゃんに受け渡されるしくみになっています。

初乳に含まれるたんぱく質には、IgA抗体やラクトフェリンといった免疫物質がたっぷり含まれていて、これらが赤ちゃんにはとても大切なのです。

人間の赤ちゃんは、他の動物にくらべて非常に未熟な状態で生まれてくることが知られています。二足歩行をするようになり、胎盤に重力がかかるようになって胎盤が小さくなったこと、また、脳が発達して頭が大きくなったことで、赤ちゃんを十分に育つまで胎内に入れておくことが難しくなったからです。

当然、未熟な赤ちゃんほど病原体に弱いです。だから、人間の赤ちゃんにとって、初乳でもらえる免疫物質はとても大切なのです。

初乳には乳酸菌の餌もたくさん含まれている

初乳には、オリゴ糖という糖もたくさん含まれています。じつはこのオリゴ糖、赤ちゃん自身の栄養にはなりません。では、なんのために初乳にたくさん含まれているかというと、赤ちゃんの腸内の乳酸菌やビフィズス菌たちの食料となるためです。

お母さんの膣から「最初のプレゼント」として赤ちゃんの腸内にやってきた乳酸菌やビフィズス菌たちは、初乳に含まれるオリゴ糖を栄養にして赤ちゃんの腸内で増殖し、病原菌から腸内をまもってくれるのです。オリゴ糖は成乳にも含まれますが、赤ちゃんの腸内フローラが安定してくるにしたがって、母乳のなかのオリゴ糖含有量は減ってくることがわかっています。

新生児編 ~新生児の間は外出を控えた方が良い?~

新生児のうちは未熟で免疫力も不十分です!!

日本では「百日のお宮参りまでは、赤ちゃんを人ごみに連れて行ってはいけない」とよく言われました。そして、現代では、1か月検診まではできるだけ外出を控えるように指導されることが多いと思います。

理由は、生まれたばかりの赤ちゃんは未熟で抗体も不十分なため、病気になりやすいからです。生後1か月までは家族と一緒に湯舟には入らず、沐浴をさせるのも同じ理由からです。これは、お風呂の湯は菌だらけだからです。

逆に、ある程度成長して免疫力がついてからは、お風呂は家族から赤ちゃんへの菌を受け渡すためのかっこうの場所ともいえます。

2019年に発表された森永乳業とアイルランドのAPCマイクロバイオ-ㇺ研究所との共同研究によると、家族でいっしょに入浴するという日本人の習慣は、ビフィズス菌をはじめとする腸内細菌の家族間伝播に役だっている可能性が高いようです。

大事なのは、段階を踏むことなので、免疫力の不十分な新生児のうちは、まずは窓を開けて窓越しに外の風や光にあてるところからはじめます。次に抱っこのままベランダや庭に出て過ごす時間をつくり、少しずつ外の環境に慣らしていきましょう。そして1か月検診で問題がなければ外出デビューしてもOKです。

外出は家の中にいないさまざまな菌に触れる機会

赤ちゃんは外に出ると、家にはいないさまざまな菌に触れることになります。特に土にいる土壌菌は、腸内環境の最大勢力で腸内に済ませたい菌の代表です。

丈夫な腸内環境をつくるには、小さいうちに、いい菌も悪い菌も含めて、できるだけたくさんの種類の菌に出会わなければなりません。生まれてから1年半で腸内フローラの組成バランスは決まり、子の組成バランスを一生持ち続けることになります。この時期までにいろいろな人やもの、自然などに接して、多くの菌を取り込むことで、病気に強い、アレルギーになりにくい子に育つのです。

多くの研究によって、一人っ子よりきょうだいのいる赤ちゃんの方が、アレルギー症状をもつ確率が低いことがわかっています。きょうだいが外遊びをしてもらってくるさまざまな菌たちと、早い時期に接触することが要因と考えられています。

外の空気を吸い、自然をなめながら時間をすごすことは、お母さんやお父さんにとっても、気持ちをリフレッシュしたり、癒してくれる効果があります。短い時間から少しずつ赤ちゃんといっしょの外出をはじめて、外気にふれさせるのが良いのですが、人ごみや空気の悪いところは避け、無理はしないことが大切です。