腸内細菌の種類について知ろう!

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主な腸内細菌の機能と特徴

生き物はすべて 「界」>「門」>「網」>「目」>「科」>「属」>「種」で分類されています。

例えば人間は、動物界>脊索動物門>哺乳網>サル目>ヒト科>ヒト種 になります。

細菌(バクテリア)は大まかに分けて30門に分かれていますが、じつは、人間の腸内細菌はそのうちのほぼ4門のみで構成されています。

私たちの体にいちばん多く住んでいるのは「フィルミクテス門」で、年をとると「プロテオバクテリア門」が増えます。

主な腸内細菌リスト

主 な 善 玉 菌

人の腸内(大腸)に最も多く住んでいる善玉菌。生後4日くらいからどっと増えて、悪玉菌の増殖を抑制する。母乳のオリゴ糖から免疫系の発達に重要な短鎖脂肪酸を作り出す。

【はたらき】

強い殺菌力で悪玉菌がすみづらい環境を作り出して、病気の感染を防いだり、腸の蠕動運動を活性化してい便秘を改善する

【食事で増やすには】

ビフィズス菌の入ったヨーグルトを継続して摂る。食後にとることで効果が高くなる。

ブドウ糖や乳糖などの糖類を分解して乳酸を作り出す細菌の総称。腸の中を産生にすることで、もともと住んでいるビフィズス菌を増やしたり、免疫細胞を活性化させたりする。

【はたらき】

有害な菌や雑菌の繁殖を抑えるので、整腸作用や免疫の活性化、アレルギーの改善などに効果がある

【食事で増やすには】

エサになるオリゴ糖や食物繊維を摂ったり、ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品を継続して摂る

主 な 悪 玉 菌

食中毒の原因として知られていますが、体外からたくさん摂取したり、体内で過度に増えると、食中毒の原因になります。

【はたらき】

腸内にある未消化の食物中のタンパク質などを腐敗させ、有害な物質やガスを発生させる

【なぜ増える?】

調理後しばらく放置していた肉類などを食べること。乳酸菌などの減少も原因になる。

ほとんどの大腸菌は無害で、体にとって大切な働きもしていますが、一部の菌は、下痢や腸炎などの原因になります。

【はたらき】

病原性大腸菌の外からの侵入を防いだりするが、数が増えすぎると下痢などの不調の原因になる。

【なぜ増える?】

肉を中心とした高たんぱく・高脂質の食事のとりすぎや、食物繊維などの不足により増加する。

主 な 日 和 見 菌

悪玉菌に味方しがちで、太っている人から多く検出されます。本来は、人が飢餓においちいった時に働く菌です。

【はたらき】

わずかな食べ物から多くのエネルギーを作ります。余ったエネルギーを脂肪として蓄えます。

【増やすには?】

炭水化物や甘いもの、肉類、高カロリーで食物繊維の少ない物を食べると増える、

善玉菌寄りで、免疫力向上に役立っています。痩せている人に多いので「ヤセ菌」として注目されています。

【はたらき】

短鎖脂肪酸をつくり出し、腸の動きを良くしたり、アレルギー反応の抑制、肥満防止など

【増やすには】

野菜や果物などを中心に、低カロリーで食物繊維の多いものを積極的に摂る。

主 な 腸内細菌リスト(参考)

腸内細菌は年齢とともに変化する

腸内細菌は「遺伝するもの」と勘違いされている方も多いのですが、実は生まれるときは、人間の腸内は無菌状態です。そして、生まれてから周囲の人(主に親など)との接触によって細菌に感染します。なので両親の腸内環境のバランスと似てくるので遺伝ではないのです。

その後、腸内洗浄や便移植でもしない限り、腸内細菌の割合は大きく変化することはありません。ただし、細菌も食事で旅得たものをエサとして増殖するため、食生活や生活習慣などで傾向に微妙な変化が生じたりします。

ところが、それが60歳を過ぎたころから腸内細菌の組成に大きな変化が訪れます。善玉菌が徐々に減り始め、悪玉菌が増え始めるのです。しかもウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌といった病原性の強い細菌が増えてきます。老化システムの一環なのかもしれませんが、このような変化がなぜ起こるののかは、まだ解明されていません。

しかし、腸内環境は、加齢によって自然に悪化していくことは確かです。より長く健康を維持するためには、きれいな腸内環境に整える努力も大切なことなのです。

長寿大国ニッポンの腸内細菌(日本人の長寿には腸内細菌が関係している)

日本人の平均寿命は、男性81歳、女性87歳と世界でもトップクラスです。さらに、日本人は先進国のなかでもとくに肥満の割合が少ないという健康&長寿大国です。これには、日本人の腸内環境が少なからずとも影響しているのではないかと考えられています。

ある研究グループが、日本人を含む12カ国の腸内細菌を調査したデータがあります。そこで見えてきたのは、日本人の腸内細菌における4つの特徴です。

日本人の腸内細菌の傾向として 「① 炭水化物の代謝機能が高い ②ビフィズス菌が多く、古細胞が少ない ③ 水素を酢酸生成に消費 ④ 海藻を分解する酵素が多い」という4つの特徴があったそうです。 

これらの特徴をまとめると、日本人はほかの11カ国よりも人体に有用な栄養素を効率よくとりこむことができ、炎症などを防ぐ抗酸化などのはたらきに優れていることが推測できます。日本人の腸内環境は他国と比較して健全な状態にあるということで、それこそが日本の長寿の秘密なのかもしれません。

1 炭水化物やアミノ酸代謝の機能が豊富

炭水化物の代謝機能が高いということは、より多くの短鎖脂肪酸(酢酸や酪酸)、二酸化炭素、水素を生成できるということです。短鎖脂肪酸はカラダにさまざまな有用な効果をもたらす栄養素のひとつで、水素は疲労回復に役立つ抗酸化作用をサポートします。

2 ビフィズス菌が多く古細胞が少ない

ビフィズス菌は、腸内環境を整えたり、アレルギー症状を緩和させたりする善玉菌の代表格です。これが多いということは、腸内を健全に保ちやすい状態といえます。エネルギー代謝やたんぱく質の合税に関わる機能が低くなる傾向にあります。

3 水素を酢酸生成に消費することが多い

炭水化物の代謝で生成される水素は日本人の場合、酢酸の生成に消費される傾向があります。他国の場合は、メタン生成などに消費されることが多く、他国と比べて体に役立つ方法で消費されていることが考えられます。

4 海藻やワカメなどを分解する酵素が多い

海藻やワカメなどの海藻類を分解する酵素の遺伝子を、日本人の90%が保有しているのに対し、他11カ国の場合は最大15%にとどまるという結果にあります。海藻類の栄養素を効率よく吸収する能力は、日本人の腸内細菌が持つ特有の能力と考えられます。