幹細胞について知ろう!!
細胞はどのようにして発見されたのか?
最初に細胞を発見したのは、イギリスの物理学者であったロバート・フック(RobertHooke、1635~1703)です。彼は1665年のある日、コルクがなぜ水に浮くのかを調べるため、顕微鏡を使ってコルクの断面を調べていました。すると、その中に無数の小箱のような隙間を見つけました。
この時フックが見た物は、死んだ植物細胞の細胞壁に囲まれてできた空間でした。しかし、それが単なる隙間ではなく生命の基本単位だとわかったのは、フックの発見からずっと後の19世紀に入ってからのこでした。フックはこの時見たものに「小さな部屋を意味する:cell=細胞」と名付けました。
「生物の構造と機能の基本単位は細胞である」と最初に唱えたのは、ドイツの生物学者マディアス・ヤコブ・シュライデン(MatthlasJakobSchlelden、1804~1881)とテオドール・シュワン(TheodorSchwann、1810~1882)でした。1838年、植物の発生過程を研究していたシュライデンがまず「植物の基本単位は細胞である」と発表しました。翌年、シュワンがシュライデン説は動物にも当てはまることを確認しました。
この二人のが生物学者により、細胞は生物体の構造と機能の基本単位であるとする細胞説が生み出されたのです。
今では、1個の細胞が分裂を繰り返しながら増殖し、その集合体が固体を作り出しているという考え方は、高校の教科書にも載っている基本中の基本です。
さらに、シュライデンとシュワンが発見したこの理論を世界に広めたのは、ドイツの医学者ルドルフ。ルートヴィヒ・カールヒョウ(RudolfLudwigKarlVirchow、1821~1902)です。ウィルヒョウは「すべての細胞は細胞から生まれる」という有名な言葉を残しました。
細胞の種類
私たちの体を構成する細胞はおよそ200種類あります。小さなものは直径㎛(マイクロメートル)から、大きなもので直径200㎛(0.2mm)と、大きさも形も様々です。
けれど、基本構造は同じであり、どれも遺伝子を持った核と細胞質、細胞膜からできています。
ただし、赤血球の細胞は例外で、核を持っていません。もともと核がないわけではなく、脱核といって、細胞が成熟していく過程で核を失ってしまうのです。
なぜ核を失ったのかというと小さくなるためです。同じ体積でも小さくてたくさんある方が大きい赤血球より表面積が増えて、たくさんの酸素を運べるからです。さらに、小さいと毛細血管の中も通れるからです。
精子細胞は、先端に核を含み、後ろには運動するための鞭毛(べんもう)がついています。運動機能を持った珍しい細胞です。
平滑筋細胞は、左右の端が尖って細く伸びた格好で、いかにも伸び縮みしやすそうな構造になっています。
貯蔵庫のような働きをする脂肪細胞は、核が橋のほうにおいやられ窮屈そうな構造になっています。
細胞の中身(平面・立体)
細胞の内部には、核と細胞質があり、それらは細胞膜(形質膜)で覆われています。
核は核膜でおおわれ、細胞の遺伝子情報の伝達、タンパク質の合成などを抑制します。
細胞質には、リポソーム、ゴルジ体、ミトコンドリア、リソソーム(ライソゾーム)、小胞体(リボソームが膜表面に付着する相面小胞体と、リポソームが付着していない滑面小胞体がある)、中心体などの細胞小器官もあります。
細胞はタンパク質を作り出す工場
細胞は、巨大な工業地帯みたいに、さまざまな工場を持っています。たとえばエネルギーを作り出す発電所、それを使って体の材料を作り出す工場、さらには、製造過程で出てきたゴミを処分する焼却炉まであります。細胞の役割を一言で言うと、タンパク質の製造工場になります。
核
染色体23組の46本
二重膜で大切なDNAを守っている
必要に応じてRNAを出す
ミトコンドリア
エネルギー源の合成場所(発電所)
ATP(アデノシン三リン酸)を合成する
内外二重の膜に囲まれクリステと呼ばれるヒダがついている
小胞体
細胞工場、物質の輸送、貯蔵の場所。リボソームはタンパク質の合成場所
表面にリボソームが付着している
リボソームが核の指示を受けてタンパク質を作る
ゴルジ体
梱包発送の場所(タンパク質を送り出す)
小胞体の作ったタンパク質を包んで細胞外に分泌する
リソソーム
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
細胞内には真ん中に丸くなっている核があります。核の中にはDNAがあります。DNAは正式名称をデオキシリボ核酸と呼ばれます。良く体の設計図に例えられますが、見た目は全く設計図には見せません。実際は4つの「ヌクレオチド」と呼ばれる物質が鎖状につながった1本の紐です。
ヌクレオチドの糖とリン酸が交互に結合してできる鎖が2本、塩基を向かい合わせにしてより合わさり、にじれたらせん構造をしています。
1個の細胞にあるDNAを伸ばすと2メートルにもなります。
ミトコンドリアについて知ろう
ミトコンドリアって、一度は耳にしたことがある言葉だと思いますが、「体にとって重要な働きをしているものなんだなろうな」という程度で、その詳しい役割等については、理解していない方も多いのではないでしょうか?
「ミトコンドリアが健康にどれだけ関係があるのか?」「ミトコンドリアを活性化させる食べ物や生活習慣はあるんだろうか?」といったことは、結構、気になるところですよね。
そんな、よくわからない「ミトコンドリア」について、ここでは、基本的なことをご紹介してきたいと思います。
ミトコンドリアって何?
ミトコンドリアとは、細胞の中になる発電所のようなものです。健康の維持や病気の発生に深く関わっています。
私たちの体は、約37兆個とも言われる膨大な数の細胞からできています。これらの細胞が活動するための95%のエネルギーを作りだしてくれているのがミトコンドリアです。このミトコンドリアが働いてくれることで、すべての細胞は、それぞれの役割を果たすことができているのです。
生きるためにあらゆる動物が有している、大変重要な細胞小器官であり、私たちが元気でいられるのはミトコンドリアのおかげだとも言えます。
ミトコンドリアはどれくらいあるの?
ミトコンドリアの重さは、体重の約10%ほどで、50㎏の方であれば5㎏はミトコンドリアということになります。とくに代謝が活発な心臓、肝臓、腎臓、筋肉、脳には多くのミトコンドリアが存在しています。その数、およそ数京個(京:数の痰飲。兆の1万倍。10の16乗)と言われています。
人間が活動できるのはミトコンドリアのおかげ
ミトコンドリアは、私たちが食事をして摂った「栄養素」、呼吸をして取り込んだ「酸素」、この2つを使って、生命維持に必要なエネルギーの供給源を作ります。
この供給源をATP(アデノシン三リン酸)と呼びます。ATPはエネルギーと交換できるお金のようなもので「エネルギー通貨」と呼ばれることもあります。必要であるはずのATPは、私達の体内ではわずかにしか存在できなため、常に作り続ける必要があります。
なんと、1日に作られるATPは、その人の体重に相当する量になると言われています。
ミトコンドリアを活性させるにはどうしたらいいの?
では、この体にとって非常に重要なミトコンドリアを活性化させる方法についてご紹介したいと思います。
過度のカロリー摂取を控える
ミトコンドリアは食事から摂った栄養をエネルギー(ATP)に変えますが、このATPが体内に過剰になりすぎると「活性酸素」という物質が発生してしまいます。この活性酸素は、以下のような多くの不調や病気の原因になると言われています。
- がん
- 糖尿病
- 不妊症
- 生殖関連疾患
- アトピー性疾患
- 循環器系の疾患
- 脳神経の疾患
体の不調はミトコンドリアの不調であり、その対策としては食べ過ぎないことが大前提です。とくに、質の悪い油、果糖、重金属(水銀や環境毒素)はミトコンドリア機能に障害が出る原因になります。
そして、日中に比べて活動が減り、ATPの消費が少なくなる寝る前は食事やアルコールは控えるようにしましょう。
適度な運動をする
ミトコンドリアがエネルギー(ATP)の産生において特に必要とする栄養素と、それを含む食品は次のとおりです。
- マグネシウム:かぼちゃの種、アーモンド
- セレニウム:かつお、わさび(粉)
- ビタミンB群:しじみ、あさり、牛レバー
これらに多く含まれますが、どれかに偏るのではなく、さまざまな肉、魚介類、乳製品、豆類などをバランス良く食べることを忘れないようにしましょう。
ミトコンドリアの働きを阻害するものとは?
ミトコンドリアの働きに障害が出ると言われているものには、次のようなものがあります。
トランス脂肪酸
活性酸素が抗酸化防御機構を上回ってしまうことを「酸化ストレス」と呼びますが、トランス脂肪酸の摂取がこの障害と関係していると言われています。工業植物油などは避け、エクストラバージンオリーブオイルやココナッツオイルなどの質の良いアブラを選びましょう。
終末糖化産物(AGE)
終末糖化産物とは、タンパク質に余分な糖がこびりつきタンパク質が糖化した物質(AGE)のことです。これは、老化を促進させ病気の元凶となる非常に厄介な物質です。甘いお菓子やアイスクリーム、加工されたゼリーなどがお好きな方は、頻度に気をつけて食べるようにしましょう。
たばこの煙
ミトコンドリアの毒として認識されている「シアン化合物」と「一酸化炭素」が、たばこの煙には両方含まれています。喫煙は「百害あって一利なし」なので、なるべく禁煙してほしいと思います。