光線療法(フォトセラピー)って何?
光線療法(フォトセラピー)とは、特定の光の周波数が体内で特定の変化を引き起こすことで、体の機能の改善や治療をする自然療法です。混戦療法は、エネルギー療法の1つとして位置ずけられておりますが、エネルギー療法とは、エネルギーを用いた補完・代替医療の一分野です。アメリカ合衆国国立衛生研究所国立補完代替医療センター(NCCAM。現アメリカ国立補完統合衛生センター)の研究対象として、補完・代替医療の1つとして紹介されました。主なエネルギー療法としては、光線療法のほか、電気療法・時期療法、鍼、手当療法などがあります。
エネルギー療法は、体の内外に存在するとされるバイオフィールド(生体電場)というエネルギー領域に着目した治療法です。エネルギー療法には、健康と治療に影響する電磁場と呼ばれる外部のエネルギー源の利用も含まれます。すべてのエネルギー療法は、ふっぺん的な生命力が存在するという信念(生気論)に基づいています。しかし、こうした普遍的な生命力の存在を裏付ける科学的根拠はありません。
現在、アメリカ国立補完統合衛生センターの「補完的健康アプローチ」(補完療法)を紹介するページでは、鍼や気功といった中国伝統医学と、補助的に用いられているヒーリングタッチを除いて、エネルギー療法に分類されてきた療法は取り上げられていません。
では、光線療法は非科学的なものなのでしょうか?
実際に行われている光線療法
実際に、光線を用いた治療が行われている分野もあります。新生児高ビリルビン血症(新生児黄疸)や、アトピー、乾癬、白斑などの皮膚疾患、美容分野ではシミやくすみ、そばかす等に対して、特別な光線を当てる光線療法がおこなわれています。
血中のビリルビン濃度が高い状態が続くと、脳性麻痺などを引き起こすことに繋がることがあり、光を照射することで、ビリルビンを水に溶けやすい形に変え、胆汁内への排出を促す治療が標準治療として行われています。
光線療法は自然治癒力を高める(光線療法の効能)
光線療法は、光科学作用と温熱作用により、自然治癒力を高めて健康を促進し、病気の予防や治療に役立ちます。太陽光線を人工的につくり、人体に有害な紫外線をカットして、有益な光と熱だけを体に照射します。
光線療法の効能は多種多様に渡って確認されており、主として下記のような効果が期待できます。
光化学作用
波長の短い可視光線や有益な重井線が皮膚に吸収されると、光科学作用によってさまざまな物質が作られます。
これらのうち、ビタミンDやセロトニン、ヒートショックプロテインなど、50種類以上の物質が、化学的に解明されています。これらは、全身のさまざまな器官を制御する物質です。
血液循環の改善
赤外線と可視光線は、体を温めて血液の循環を良くします。有益な紫外線は、血管を拡張する働きをします。過労やストレス、冷えは、交感神経の緊張が緩和され、副交感神経の働きが高まると、血管が拡張し、血液の循環が良くなります。さらに下肢に光線をよく照射すると、血液が抹消部から心臓へ戻る働きが良くなり、全身の血液循環が改善されます。
日内リズムの調整
人間の体は可視光線によって昼夜を判断し、これにより交換神経と副交感神経が切り替わって、日内リズムが調整されます。
さらに、可視光線は、日内リズムにかかわるメラトニンやセロトニンなど様々なホルモンの分泌を促します。これらは、季節性うつ病や不眠、時差ボケなどの改善に効果があります。
殺菌作用
日光消毒は、細菌の存在が知られる前から行われていました。1877年、太陽光線の持つ殺菌作用が紫外線によるものであることが、明らかにされました。
有益な紫外線だけが含まれる光線を使用することで傷口の殺菌や、アトピー皮膚炎を含む皮膚病における最近の二次感染予防、風邪や気管支炎など細菌による感染の予防や治療にも有効です。
鎮痛作用・消炎作用
知覚神経が様々な原因によって刺激され、この刺激が脊髄を通って大脳に伝わると、痛みとして認識されます。脊髄を通った刺激の一部により運動神経が刺激されると筋肉を緊張させ、交感神経は血管を収縮させます。これにより、血行が悪くなり、栄養や酸素が不足します。
さらに、炎症により患部で作り出されるプロスタグランジン、ブラギジニン、ヒスタミンといった「発痛物質」が、知覚神経を一層刺激します。
光線療法で緊張した筋肉を緩め、収縮した血管を拡張すると、温熱作用とともに、血行を改善します。これにより、発痛物質が除去され、栄養や酸素が供給されて、結果として痛みが緩和されます。
強い抗炎症作用もあるので、痛みと腫れを伴うさまざまな疾患に効果があります。
免疫を増強する作用
細菌やウィルス、異物などから体を守るための「防衛システム」が免疫力です。
下界と接する喉や鼻、気管支、胃、腸などの粘膜組織は、細菌やウイルスなどを排除する働きを持ちます。白血球は、癌細胞や病原体などの異物を排除する働きをします。
血行が改善されて体温が上がると、粘膜の働きが良くなり、白血球が生体内を移動する能力や侵入した病原菌を捕食して病気を防ぐ働きが高まるので、免疫力が強化されます。
原因が不明な疾病の多くに、自己免疫の異常が関係しているといわれています。光線療法の免疫を調整する作用は、広く応用することができます。
肉芽の形成促進
光線を着ず(創傷)に当てると、血行が改善されて、老廃物や炎症物質の除去が速やかに行われます。さらに、栄養や酸素が十分に送られ、患部の組織の再生が促されます。
赤色光は、線維芽細胞の増殖を促し、肉芽の形成を促進します。肉芽は創傷の過程で生じる血管、線維芽細胞などから構成される組織です。線維芽細胞は、夜間に活発に増殖します。光線療法は睡眠を改善する作用もあるため、さらに肉芽の形成を促進します。
解毒作用
異物排泄作用を高め、嘔吐や下痢などで、口から入った外因性の毒物を体外へ排泄します。また、体内で発生する内因性の毒物の解毒に働く肝臓や腎臓の働きを活発化させます。
コレステロール低下作用
肝臓の働きや脂質代謝を改善して、細胞へのコレステロールの取り込みを促進します。これにより、血中の余分なコレステロールが減少します。
皮膚内では、コレステロールの一種をブレビタミンDに変換して、ビタミンDの産生を促すことで、コレステロールを低減します。
神経機能の改善
抹消神経への血流を改善し、神経を活性化します。傷ついた抹消神経の回復が促されて神経の働きをよくするため、神経機能も改善されます。
これにより、神経麻痺の回復の促進や、末梢神経障害による手足の痛みや痺れの改善が見込まれます
利尿作用
利尿作用があり、高血圧や心臓病、腎臓病、むくみ、夜間頻尿などの改善に役立ちます。
腎臓は、血液中の老廃物をろ過し、余分は水分とともに尿をつくっています。
光線療法は、血液循環を改善して腎臓に流れ込む血液量を増やし、腎臓そのものの働きも良くして、尿量を増やします。
呼吸機能の改善
呼吸にかかわる筋肉を柔らかくして動きをよくして、深い呼吸ができるようにする働きがあります。これにより、酸素を十分に取り入れることができます。また赤血球は、可視光線を吸収すると酸素を運搬する能力が高まります。
筋力や運動機能の向上
光と温熱の作用で筋肉への血行が良くなって筋肉や関節が柔軟になることで、筋力が高められ、運動機能が向上します。
また、光化学作用で作られるビタミンDは骨組織の強化のほか、筋肉を状況する作用や体の動揺を抑制する作用があることが最近、明らかになりました。運動機能や筋力の向上は、転倒や骨折の予防に重要です。
かゆみを消す作用
湿疹、蕁麻疹などで生じる炎症や、アトピー性皮膚炎などの免疫異常を改善し、かゆみを引き起こす物質が作られることを抑制します。皮膚病だけでなく糖尿病や、腎臓病、肝臓病などの疾患が原因で生じるかゆみにも効果が見られます。
食欲増進や便通改善
皮膚や内臓の結構の改善とヒスタミンなどの産生物質の作用で、脳の蠕動運動が改善され、消化液の分泌も促進されるため、消化吸収が円滑になります。これにより食欲が増進し、便通も良くなります。
睡眠の改善
不眠症や、睡眠の質が低い原因として、脳の充血や心身の緊張、体の冷えがあります。
血液循環が改善されると脳の充血から解消され、自律神経が調整されると心身の緊張が和らげます。
また睡眠にかかわる脳内ホルモンの分泌を調節する作用もあり、心地よい睡眠に導入することができます。
筋力や運動機能の向上
光と温熱の作用で筋肉への血行が良くなって筋肉や関節が柔軟になることで、筋力が高められ、運動機能が向上します。
また、光化学作用で作られるビタミンDは骨組織の強化のほか、筋肉を状況する作用や体の動揺を抑制する作用があることが最近、明らかになりました。
運動機能や筋力の向上は、転倒や骨折の予防に重要です。