エッセンシャルオイル(精油)が作用するメカニズムとは?

前回は、アロマテラピーの基本的なお話と、エッセンシャルオイルが体に作用するメカニズムことについて、アロマセラピストのYURIEさんからご紹介いただきました。

今回は、精油の成分や精油の製造方法などについて、お話していただきますので、是非参考になさってくださいね。

 

エッセンシャルオイル(精油)の成分って何?

こんにちは。ずいぶん投稿が遠のいておりました。アロマセラピストのYURIEです。

実は、6月に引っ越しすることになり、その用意でバタバタしておりました。ほぼ準備ができましたので、これからがんばって精油やアロマについてご紹介していきますね。

 

花や草木、果実などの持つ香りは、私達の生活にはとても馴染みが深いものであり、香りに包まれて生活することは、心身共に癒されて幸せな気分になるものですよね。

 

みなさんは、香りのある植物をどれくらい知っていますか?

庭木の薔薇、キンモクセイ、沈丁花、山椒、ユズ

等は、日本人になじみの深い、とても良い香りのする植物ですよね。

 

また、料理につかうローズマリーやバジル、コショウ、シソなどの香りも、私達には馴染みが深い香りになります。

これらの、香りのある草や樹木をハーブ、芳香植物、薬用植物などと言います。

 

エッセンシャルオイル(精油)は、そんな植物の花や葉、根、果実、果皮などから芳香物質を抽出したものであり、古くはラテン語でHERBA(ヘルバ)と呼ばれていました。

日本古来の和漢薬としても使われていたものや、江戸時代のオランダ医学や明治時代のドイツ医学を通じて伝わったものもあります。

これらの精油は100%天然の香料であり、さまざまな有効成分を高濃度に含有しています。けれど、植物の中からはほんのわずかした取れないため、とても貴重なものになるんです。

 

確かに、私達の心身に与えてくれる恩恵は大きいのですが、天然のものとはいえ100%安全とはいいきれません。たくさんの量を使いすぎたり、ブレンドを間違えたりすると体に害を与えてしまうケースもあります。

なので、使用するときは基本的なルールを守ってつかっていただきたいと思います。

 

エッセンシャルオイル(精油)の特徴

精油は、植物が光合成によって作りだした生命維持に不可欠なグルコースなどの代謝成分(一次代謝)に対して、フィトケミカルな成分(二次代謝)になります。

 

一次代謝というのは、精油をつくるときの特別な働きのことを言うのですが、根から吸い上げた水(H2O)、太陽の光、空気中の二酸化炭素(CO2)から生育に必要なブドウ糖と酸素を作り出す働きのことであり、全ての植物が行います。

けれど、嗜好品や医薬品の原料、植物資源となる植物は、さらに「二次代謝」という特別の働きを行うんです。

 

例えば、

ハーブ類の精油、コーヒー豆と茶のカフェイン、ゴムの木のゴム、柿の渋(タンニン)、たばこのニコチン、トリカブト、キナの木、インドジャボク、ケシなどのアルカロイド

などはすべて二次代謝で作られる植物のオリジナルの物質になります。

 

さらに、精油はいくつもの芳香成分の混合体になり、成分の1つひとつが薬理的な作用を持っているんです。

多くの芳香植物の中から、コストの面でも商業的に採算が取れるものが原料となって精油が抽出されるのですが、現在、入手可能な精油の数は200近くにものぼるんですよ。

 

油という文字が入ってはいますが、油脂とはまったく違う物質からできています。

また、精油が蓄えられる組織は、腺毛、油胞、油宝などの名前を持っている特別な組織なんです。それらがある場所は、植物により異なっていて、シソ科は葉の表面、セリ科は茎の中、ショウガは根茎の中、ミカン科の柑橘類は果皮にあります。

精油のもっとも特徴的な性質をまとめると、次の4つになります。

 

特徴その1~芳香性~

 

芳香性とは、字のごとく香りを放つ性質のことです。精油は原料となる植物や成分がそれぞれ違うため、様々な個性的な香りを放ちます。

 

特徴その2 ~揮発性~

 

精油は空気中に蒸発する揮発性物質です。精油の入った瓶の蓋を開けたまま放置しておくと、徐々に期待に変化して中身が空になってしまうので、気をつけてくださいね。

 

特徴その3 ~親油性(脂溶性)~

 

精油は水に溶けにくく、油脂にとけやすい親油性(脂溶性)という性質を持っています。

なので、精油の希釈に使用することが多いキャリアオイル(植物油)には良く混ざります。

 

特徴その4 ~引火性~

 

精油には気体になって空気と混ざったとき、火や熱に触れると燃えてしまう引火性があります。

そのためキッチンなど火を扱う場所に精油を置かないように気を付けてくださいね。

 

その他の特徴

 

主成分は、炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、エステル類などの有機化合物であり、分子量が小さいのも特徴になります。

様々な薬理作用を持ちますが、熱、酸素によって変化し、劣化します。

 

植物にとっての精油の役割

 

では、なぜ植物はこうした精油を作るのでしょうか?

 

これには諸説あるのですが、植物は動物と違って動くことができず、根付いたところで一生を終える宿命の植物にとって、身を守り、子孫を残すための武器の一つだと考えらられています。

 

例えば、精油を空気中に発散してウィルスや細菌の感染を防いだり、受粉を助けてくれる昆虫たちを香りで引き寄せたりもします。

また草食動物や昆虫が嫌う香りや成分を分泌し、食べられないように身を守ります。

 

まとめてみますと

① 昆虫誘引と忌避

② 捕食者からの防御

③ 細菌・ウィルスからの防御

④ 癒傷

⑤ 他の植物の成長・発芽等の抑制

⑥ 乾燥の予防

⑦ 植物体内での生理活性

などがあります。

 

精油はどんな方法で作られるの?

簡単に精油の特徴を紹介しましたが、では、これらの精油はどのような方法で作られるのでしょうか?

 

植物から貴重な恵みである精油は、植物によってそれぞれ抽出部分が異なります。

花、葉、果皮、果実、種子、枝、根、樹脂など、様々な部位から抽出することができるんですよ。いろんな場所に芳香成分を蓄えている植物って、すごいですよね~

 

植物から精油を抽出する方法(製造方法)には、圧搾や蒸留などの特殊な方法が使われます。

植物の精油量は平均すると1~1.5%程度であり、中には0.01~0.02と、ごくわずかしか含まれない植物もあるんです。

 

植物の部位により芳香成分や精油量は違うため、どの部位から抽出するのか、どの方法を用いるのかによって、精油の生産量(収油率)、香り、作用、価格が変わります。

 

例えば、

オレンジの木からは、ネロリ、オレンジ、プチグレンという3種類の精油が抽出されます。

もっとも高価なのは、オレンジの木の花の部分から抽出するネロリになります。

収油率が低く、大量の原料が必要となるためです。

 

また、バラの花から抽出されるのは、ローズオットーローズ・アブソリュートです。

ローズオットーは、ダマスクローズの花を原料に水蒸気蒸留法で抽出した精油だけの呼び名になります。

一方、ダマスクローズケンティフォリアローズの2種類の薔薇の花から有機溶剤法で抽出されたものが、ローズ・アブソリュートと呼ばれるものです。

 

一般的には、ケンティフォリアローズが原料のアブソリュートの方が、多く流通しています。

こんなふうに、同じ原料でも、抽出方法によって芳香成分の種類や割合が変わり、香りにも違いが出るんです。

 

同じ種なのに違いが出るケモタイプ(化学種)とは?

ちょっと深堀り話なのですが、お米やワイン、ミカンなどは、収穫年や産地によって風味が違うことは良くありますよね。

精油も農作物からの加工品になるので、同様なことが起こるんです。

 

精油の香りは、気温、土壌の質、日照条件など原料植物の生育環境の影響を受けるため、毎年微妙に変化するんです。特に精油については、アロマテラピー的な作用が変わってしまうため、別の精油として扱われることになるのですが、植物学的には同じ種なので、ケモタイプ(CHEMOTYPE:化学種)と呼ばれるんです。

 

ローズマリー、タイム、ニアウリなどにケモタイプがあります。

同じローズマリーでも産地によってカンファ―の香りの強いもの、ベルべノンの香りが強いもの、シネオールの香りが強いものがあります。

 

その場合、学名のあとに成分名を記して、タイプを区別することになるんです。

成分名の前にCTと表記されているものは、ケモタイプという意味になります。

 

栽培か野生か、収穫時期によっても香りが変わる

精油は100%天然のものなので、蒸留条件や原料植物の生育環境、栽培方法、収穫時期などによって品質が大きく左右されてしまいます。

一般にハーブは、開花の直前か半開きから七分咲きくらいのもっとも精油量が多い時期に収穫して、生または陰干しによる自然乾燥をさせて精油を抽出するんです。

果実が未熟か完熟であるかによっても香りが違ってきます。

なので、どの時期に収穫し、蒸留したかによって、別の違う精油として販売される場合もあるんです。

 

生産地の標高によっても香りが変わることがあります。

標高800~1600m位の畑で栽培されることが多いラベンダーを例にあげますと、主要成分の酢酸リナリルは標高が高くなればなるほど増えて、香りが甘くなり、鎮静効果が強くなります。

また、同じ標高でも畑で栽培したラベンダーの精油と野生ラベンダーを手摘みしたものでは大きく香りが違ってきます。

 

1600~1800mの山岳地帯に自生する野生ラベンダーの香りの力強さは、とんでもなく格別です。そして、畑と違って均一ではないところが、荒れた土地にたくましく生きている姿をほうふつさせてくれるので、とても魅力があります。

 

次回は・・抽出方法について紹介

 

精油成分の特徴についは、精油の基礎知識になるので、あまり面白くない内容だったかもしれません。

次回も基礎知識として、抽出方法についてご紹介させていただきますので、もう少し難しいお話におつきあいくださいね~(笑)