前回までは、主として骨や関節について、その種類や構造についてご紹介してきました。
今回からは筋肉の種類や構造などについてご紹介していきたいと思います。
体幹や手足を動かすといった動作から、胃の蠕動運動、心臓を毎日休まずにうごかしているのも筋肉のはたらきです。
筋肉の種類は大きく分けると3種類あります。さらに筋肉には持久力のある赤い筋肉(赤筋:遅筋)と瞬発力のある白い筋肉(白筋:速筋)の2つがあります。このページでは筋肉の種類についてご紹介しております。
筋肉の種類(心臓、内臓、手足や体幹を動かす3種類の筋肉)
筋肉は 「骨格筋」 「平滑筋」 「心筋」の3種類に分けられます。
「骨格筋」は体を動かす筋肉、「平滑筋」は内臓や血管の筋肉、「心筋」は心臓の筋肉です。
【筋肉の総数】約300種類、約650個
【骨格筋の総重量】体重の約40%
【筋繊維の直径】約10~100μm
【筋原繊維の直径】約1~2μm
では、それぞのれ筋肉について、紹介していきますね。
骨格筋(こっかくきん):随意筋 体を動かす筋肉
骨格筋は、「筋繊維」と呼ばれる直径約20~100マイクロメートル(㎛)の細い繊維状の筋原線維からできていて、この筋原線維の1本1本がゴムのように伸縮することで体を動かしています。
人体には約 400の骨格筋があります。 トレーニングなどで、筋肉がつくというのは、この筋繊維が太くなることをさします。運動をすると細い筋繊維は切れますが、タンパク質などで修復され、前よりも強化されるのです。
さらに、骨格筋は横紋構造を持つため、横紋筋とも呼びます。しましま模様が縦に規則正しく配列されています。
専門的な話になりますが、この「縞模様」は、筋線維内部で、アクアチンフィラメントと太いミオシンフィラメントが交互に規則正しく配列することで現れたものになります。
このような繰り返しの構造によって、横紋筋は素早く強い力を発揮することに長けているという特徴を備えています。
その結果、素早く大きな力が必要となる身体動作には、全てもの横紋筋が関与していくことになります。
ただし、急速に運動することができるものの、疲れるのも早い筋肉になります。 骨格筋(こっかくきん)は、骨格に付着しており、自分の意志で動かす事の出来る筋肉になります。
私達が、一般的に筋肉と言っているのが、この骨格筋のことです。 人体には約 400の骨格筋があります。 また、体重の50%を占めているといわれており、様々な役割や働きがあります。
平滑筋(へいかつきん): 不随意筋 胃や腸、血管などの筋肉
平滑筋は、内臓や血管、消化管、気道などの壁にある筋肉であり、胃や腸を動かしたり、血管を伸び縮みさせたりしています。
自分の意志で動かしたり止めたりすることができない筋肉で横紋構造を持たない筋肉です。
自分の意志で動かすことができない筋肉を不随意筋と言い、平滑筋は内臓筋とも呼ばれています。細長い紡錘形で、横紋は見られません。特徴は強い力は出すことができず、弱い力でゆっくりと持続的に働き続けます。
心筋(しんきん) : 不随意筋 心臓の筋肉
心筋は、心臓にのみ存在する筋肉になります。
この筋肉により心臓は守られています。生まれた時から細胞分裂をせずに同じ大きさのままでいく細胞です。
途中で二股に分かれるため全体としては網状の構造を形成しています。 強い力で働きながら持続的に動く筋肉なので骨格筋と平滑筋の両方の特徴を持ち合わせています。不随意筋は自律神経により支配されています。
おだやかに動いたり、激しく動いたりすることができます。 1日に約8tの血液を身体に循環させています。また一回の鼓動で血液は数十メートルは飛ばすくらいの力があります。
赤筋(せっきん)と白筋(はっきん)その違いは?
骨格筋をつくっている筋繊維には、赤筋(遅筋)と白筋(速筋)の2種類があります。
それぞれ特徴があり運動に生かされています。色の違いは「ミオグロビン」という筋繊維に酸素を貯蔵する色素タンパク質の量の違いで、赤筋は白筋よりも色素が多く、酸素をたくさん蓄えられるため、赤く疲れにくいのです。
赤筋と白筋は収縮速度の違いから「遅筋」「速筋」と呼ばれることもあります。
赤筋(遅筋)とは? 多くの酸素を使って長時間働く持久力型の筋肉
赤筋(遅筋)は酸素を蓄える働きがあるミオグロビンという色素を多く含み、見た目が赤っぽい筋肉です。
骨の近くにある深層部のインナーマッスルに多く存在します。白筋が速筋と呼ばれるのに対して、赤筋は遅筋ともいわれています。
赤筋は白筋と比べると伸び縮みは遅いものの、酸素を利用してゆっくりと縮み、大きな力を出すことができない代わりに、繰り返し運動しても疲労しにくい持久力型の筋繊維です。
そのためランニングのような持久力を必要とする運動に使われ、マラソン選手は赤筋が多いといわれています。
また、姿勢を安定させて体のバランスを保つ際にも、赤筋が働きます。
また長距離を泳ぎ続けるマグロやカツオも赤筋が多いため「赤身の魚」になります。
赤筋のエネルギー源は脂肪ですが、酸素を必要とするミトコンドリアが赤筋内には多くあるために、エネルギーの生産力が高く、より多くの脂肪を消費することができます。持久力にすぐれる長距離ランナーに痩せタイプが多いのはこのためです。
白筋(速筋)とは? 酸素を使わずに瞬発力で動くのが得意なパワー型の筋肉
白筋(速筋)はミオグロビンの数が少ないため、見た目が白っぽい色をしています。
酸素を使わず縮むことができ、一度(瞬時)に大きな力を出すのに向いている筋繊維です。
早く伸び縮みできることから速筋とも呼ばれます。
物を持ち上げる、速く走る、ジャンプするなど瞬発力が必要な運動に適しているため、短距離走の選手やウエイトリフティングの選手には白筋が多いことがわかっています。
日常生活でも荷物を持ち上げるときに、白筋が働いています。
また、普段はあまり動かず敵に襲われそうになると素早く逃げるヒラメやタイは白筋が多い「白身の魚」になります。
白筋はエネルギーを作り出すミトコンドリアを少量しか持ち合わせていないため、無酸素でも燃焼できるブドウ糖をエネルギー源としています。
ブドウ糖は筋肉中に少ししかないため、短時間で消耗します。そのため、ブドウ糖をエネルギー源とする白筋は持久力に欠けます。
トレーニングで「ピンク筋」をつくろう!
赤・白筋の2つの筋肉の中間に位置し、持久力と瞬発力の療法併せ持っているピピンク筋が注目を浴びています。ピンク筋は誰でも持っているものではなく、トレーニングをすることでつくとされています。
このピンク筋を持っている代表的存在は、瞬発力も持久力も持ち合わせているアスリート達です。ピンク筋を鍛えるトレーニングはスクワットが最適といわれています。
随意運動と不随意運動
※自分の意志で動かす運動の事を随意運動(ずいいうんどう)と呼びます。
※自分の意志で動かさない運動を不随意運動(ふずいいうんどう)と呼びます。
筋肉の形状を知ろう
筋肉には4つの形があります。次は、筋肉の形状をご紹介します。
紡錘状筋
中央部分が膨らみ、両端が細くなっているのが特徴です。最も筋肉らしい基本の形です。
二頭筋
筋頭が2つあり、起始または停止の部分が2つある筋を指します。
多腹筋
腹筋が3つ以上に分かれている筋。間の腱は腱画(けんかく)と言います。
板状筋
板のような形状の筋腹を持つ筋肉です。三角形のものと、四角形のものがあります。
筋肉の収縮と弛緩
腕を曲げたとき、上腕二頭筋は縮んで盛り上がり、反対側の上腕三頭筋は伸びています。腕を伸ばしたとき、上腕二頭筋が伸び、上腕三頭筋が縮みます。