どうして腸を整えることが大切なの? ~腸内環境を整えるドブ川理論~

バンコクにある理学療法スパRENEの店長とよです。

先日、日本にいる妹と電話で話をしてたところ、最近妹が友達に会った際に

「姉が大腸外科医の先生のスクールに入って腸の勉強をしている」

という話をしたそうです。

 

すると、友達から「なんで腸の勉強をしているの? 腸活って良く聞くけど、腸を改善すると何がどういいの?」と聞かれて、そのあたりのことを私から説明を受けていなかった妹は、何も全く答えられなかったことから・・・

「姉ちゃんから、腸のために取り組んでいることを色々と聞かされて、私はへ~腸の勉強ってすごいな~って思っていたけど、確かに友達の言うように、腸を改善すると何が体に良いのかがわからないと、興味のない人には全く心に響かないねんよな~」

と言われました。

 

確かに・・・多くの人が、腸活という言葉は耳にしているけれど、いったい腸活ってなぜ体に良くて、何をするものなのか?ということについては知らない人の方が多いと思いました。

 

さらに・・・便秘や下痢などで悩まれている方は腸に問題があると考えますが、睡眠障害や体のだるさ、肥満などの体調不良の多くが腸にとても関係があることなど考えもしないと思います。

 

・・・ということで、私が大腸外科医の石黒先生のスクールの導入部分で先生から説明を受けた「腸内環境を良くするとはどういうことなのか?」ということについて、是非皆様に知っていただきたと思いますので、これから数回に亘り、先生の説明を要約しながらご紹介したいと思います。

 

 

多くの人が何か体の不調があってから腸活に興味を持つ

スクールの冒頭で、石黒先生から「なぜ腸活に興味を持ったのか?」という質問を投げかけられました。

 

そして、多くの人が

便秘がある

なかなか痩せない

肌荒れがある

なんとなく元気がない・・・

といったような何らかの体の不調を訴えられ、「これってひょっとしたら腸が悪いからかも?」という疑問を持たれたことが始まり・・・という回答をされていました。

 

先生は、この多くの方達の回答を受けて・・・

「あなたは何らかの体の不調があったからこそ、腸内環境について興味を持たれたのではないですか?」

とおっしゃられました。

 

それを聞いて、私は、まさしくその通りだ~と思いました。

 

私は、

朝起きると体がだるくて、疲労感が抜けない

夜中に何度も目が覚める

常にお腹が痛い

便秘がある

太ってはいないが、腹部だけがどうしても痩せない・・・

といった悩みを、スクールに入る数か月前から抱えていました。

 

そこで、ネットで色々と調べて、「腸に問題があるのではないか?」と気が付き、大腸外科医の石黒成治先生の著書やYouTubeに行きついたので、間違いなく腸に興味を持ったのは、自分の体に不調があってのことでした。

 

そして、石黒先生が数々の動画等で発信されていることを見聞きすればするほど、腸に対して興味が湧いてきたのです。

 

私が腸活を始めたきっかけと腸活の様子などを、RENEの店長blogの方で連載で書いておりますので、腸活に興味がある方は参考になさってください。

 

 

 

腸内環境を良くするとはどういうこと?

 

今、「腸活:腸内環境を改善する」という言葉は、1つのブームになっています。

 

そのため、腸内環境を良くしようとして

・ ヨーグルトを食べる

・ 食物繊維を摂る

・ 乳酸菌のサプリメントを摂る

等、様々な「腸に良い」とされてていることに取り組んでみたけれど・・・・結果はいかに・・・

 

便が出ないストレスを抱え

膨満感が半端なく

おならも臭い・・・

といった悩みから解放されることなく、「なにをしても効果がでないな~」と思いながら、毎日を送られていませんか?

 

これらの症状は、素人の私達でも「腸に問題がある」と考えることができますが、実は・・腸内環境の問題は、何もお腹だけの問題ではないのです。

 

腸内環境が悪化すると

① 痛み止めが手放せない頭痛

② 膝や手足の関節痛

③ 血圧が上がる

④ 脳がぼんやりする(認知症)

⑤ 生理痛がひどい

⑥ 眠りが浅い

といった、一見、腸とは関係がなさそうに思われる症状を引き起こすのです。

 

さらに、

糖尿病の原因

にもなります。

 

さらに、美容の大敵「肥満」も引き起こします。

 

なぜかと言うと・・

腸内環境が悪いと、腸内で悪玉菌が増加します。

この悪玉菌というのは、脳に甘いものを食べるように指令を出すのです。

 

今まで意志が弱いせいで痩せないと思っていた方は、実は「腸内環境が良くない」からかもしれないのです。

言い換えれば・・・腸内環境が良くなれば、上記の様々な症状も改善される可能性があるのですよ~

 

 

健康になるために、なぜ腸から取り組まないといけないの?

「便秘の改善」

「生理痛の改善」

「だるさの改善」

には腸内環境の改善がとても重要です。

 

「だから腸活なんですね~? じゃあ、ヨーグルトを食べればいいんですね!!」

となるわけですが、そんな簡単な話ではないのです。

 

腸内環境改善のための最初のキーワードは、ずばり「炎症」です。

自分の腸を知るということは、自分の腸に炎症が起こっていないかどうかを知ることです。

 

慢性に起こる炎症が、

心臓発作、ガン、アルツハイマー型認知症

の原因である。

これらの炎症の全てのスタートは、腸の中から起こる

2004年 雑誌「TIME」の特集記事「炎症=沈黙の暗殺者」

 

石黒先生は、この記事を紹介され、その理由として次のように述べられています。

炎症は私達の体の免疫細胞が引き起こします。

体の中の免疫細胞の80パーセントは腸の中に配置されています。

なぜなら、外からから入ってくる異物(私達が食べているもの)に対してパトロールをしなければならないからです。

私達が食べている物が、免疫反応を引き起こしているのです。

そのため、腸内には約1兆個の細菌が存在します。

その中で、私達の体に良いことをしてくれる細菌を「善玉菌」と言い、逆に悪さをしてくる菌を「悪玉菌」と呼びます。

炎症の起こる状況では、悪玉菌が増殖します。

すると、消化吸収をサポートしたり、病原菌を排除したり、毒素を出したり、セロトニンなどの体に良い物質を作ったりする、全ての良い機能が失われるのです。

タイに住んでいる私は、先生の説明の中で、

 

口から食べたものは異物・・・

なので悪いものを食べれば、体の中で炎症という作用が起こる

 

という点について、非常に納得がいきました。

 

というのは、暑い国タイでは、食べ物は傷みやすく、多くの国民が常に下痢や腹痛に見舞われています。

そのためハーブ等が盛んに取り入れられているのですが、私もタイに来てから食あたりになり、死ぬほどの腹痛を3回ほど味わいました。

 

まさしく、口から摂るものは命にも関わるものであり、炎症を起こす爆弾なのです。

 

日本にいる時は、胃腸は丈夫だと自信があり、特にトラブルもなかったため、胃腸のトラブルがどれほど怖いものであるかを知らずにおりました。

 

けれど、タイに来て、実際に食あたりの怖さを経験して、口に入れるものに関してはとても慎重になりました。

なにせ、白米にも恐ろしい菌が潜んでいて、気を付けて摂取しないと食あたりを起こす可能性があるんですからびっくりしました。

 

そんなことから、自分の腸の中にいる1兆個の細菌が、

身体に炎症を起こす敵なのか?

体を健康にしてくれる味方なのか?

を知ることが、自分の腸を知ることになることに気が付きました。

 

悪玉菌の1つであるフィルミクティス門の細菌は肥満の人が多いそうです。

 

腸内細菌の有名な実験で、面白い実験結果があります。

一人は痩せている女性、もう一人は太っている女性の双子を対象として行われた実験です。

痩せた女性の腸内細菌と、肥満の女性の腸内細菌を、それぞれネズミに移植したところ、肥満の女性の細菌を移植されたネズミは肥満になるという結果が出ていいます。

Nature2006 17183312

さらに、肥満の人に多いフィルミクティス菌は、炎症反応が高まるという結果も出ているそうです。(Am,J Clir Nutr 2015 25527750)

 

ならば、良い善玉菌を腸内に入れてやれば悪玉菌が減るのではないか?

と思いますが・・・それがそういうようにはならないのです。

 

健康な人の便を移植するという糞便移植の実験結果があります。

潰瘍性大腸炎という腸の病気の人に、健康な人の便を移植しても、腸の炎症は改善しなかった

Gastroenterology 2015 25836986

この実験結果からわかったことは、

悪玉菌が増えているのは単に腸内に炎症があるためであり、善玉菌を増やせば悪玉菌が減るというものではない。

悪玉菌を減らすには腸内の炎症をとらなければ減らない

ということです。

 

 

石黒成治先生が唱える「どぶ川理論」~腸内環境改善のための基本~

 

石黒先生が、腸内環境を整えるための基本理論について、とても分かりやすく説明されています。

先生は、この基本理論を「どぶ川理論」と命名されています。

汚いどぶ川に魚を戻そうとするとき、いきなりその川に魚を入れたりしません。

まずは川を綺麗にしてから魚が帰ってくるのを待ちますよね。

腸内環境の改善も同じです。

腸内環境を変えたいのなら、川の掃除をするのと同じように、まず腸内の掃除をすることが大切です。

そのために・・・・

どのように川が汚れているのか(これは腸がどんな炎症を起こしているのか?)を知ることが大切です。

腸の中が綺麗になれば、様々な健康の問題が改善されていきます。

健康のために、まず最初に取り組むべきは腸なのです。

このどぶ川理論・・・実になるほど・・・と納得させられました。

 

いくら良いものを食べても、いくら良いと言われるサプリメントを摂っても、汚れた腸の中にそれらを取り込んでいるのであれば、まったく効果がないということです。

 

なので‥‥冒頭で述べたように、腸内環境を良くするためには、

ヨーグルトを食べれば良いのですね

というように単純にはいかない・・ということなのです。

 

まずは、自分の腸の中を綺麗にする・・・つまり腸の中で起こっている炎症を取り除くことが大切なのです。

 

腸には、腸内細菌叢と呼ばれる何兆もの微生物が含まれています。

これらは自然の生態系を形成しているのですが、この生態系は個人と微生物の両方に利益をもたらすという点で共生するように設計されています。

 

ところが、特定のライフスタイルでは、この自然な共生を妨げ、病原微生物の増加、慢性的な腸の炎症、腸の壁の損傷を引き起こします。

次回は、この慢性的な腸の炎症、腸の壁の損傷である腸透過性やリーキーガット症候群について説明していきたいと思います。

 

バンコクリンパマッサージ&理学整体スパRENE https://rene-thailand.net/