内臓脂肪を減らすために代謝のマスタースイッチ(AMPK酵素)をオンにしよう!!

コロナ禍でテレワークが増えてから「お腹まわりが太ってしまって」という方が増えています。

私がバンコクで経営している理学療法治療院に来られる患者さんも、「今は、食べることだけが楽しみで~」ということで、お腹周りがひとまわり大きくなられた方が何人か・・・・

 

ということで、今回は、内臓脂肪を減らすメカニズムと、代謝のマスタースイッチをオンにすれは内臓脂肪を減らせるということについてご紹介したいと思います。

 

 

内臓脂肪があるとどうして悪いのか?

 

 

まずは、内臓脂肪があるとどうして悪いのか?からお話したいと思います。

 

実は内臓脂肪は、脂肪がお腹の中に溜まっているだけではなくて、存在そのものが悪であり、そこにあるだけで慢性的な炎症を引き起こしているんです。

 

実は慢性炎症を体の中に抱えている状況と言うのは、感染症に対してめちゃめちゃ不利なんです。

というのは、感染症が起こった時等に体中に炎症があると、その炎症部分に免疫が使われてしまっており、感染症にかかってしまったとき、感染部分に免疫細胞が集まってくることができなくなってしまうのです。

 

なので、COVID-19に感染して重症化したら亡くなられる方の多くは、体の中に炎症が起こっている(既往症がある)からなのです。

 

では、感染の対策は何をしたらいいですか?となるのですが、

まず、お腹周りに脂肪がついているのであれば、内臓脂肪を落としましょう!!

ということになります。

 

どんな疾患でも、合併症を起こすケースがありますが、圧倒的に内臓脂肪がある人の方が合併症が多と言われています。

なので、内臓脂肪を減らすことはとても大切なことなんです。

 




 

 

内臓脂肪ってどうやって増えていくの?(内臓脂肪が増えるメカニズム)

 

 

そもそも内臓脂肪ってどうやって増えていくのかということですが、インスリンというホルモンが働くことによって、脂肪の細胞の中に脂肪を溜め込んでいくことになります。

 

インスリンは膵臓からでるホルモンであり、通常は食事の中に糖分やアミノ酸が入っているとぐっと上昇し、その大事な糖やアミノ酸を細胞の中に収納するために働きます。

 

インスリンがたくさん出てしまう状況、簡単に言うとたくさんカロリーが入ってくる状況になると、インスリンがそこらかしこで働くことになってきます。

 

どんどんカロリーが入ってくることによって、インスリンがどんどん分泌されるような状況になると、体の中のメカニズムが働きにくくなるんです。

すると、どうなるかというと、たくさんのインスリンが出ないと、血糖値を抑えたり、収納することができなってしまいます。

 

この状況のことを、過去のダイエット記事でも何度もお伝えしておりますが「インスリン抵抗性」といいます。

 

そして・・・

インスリンが効かなくてたくさんいる状況が病的な状況になったことを糖尿病といいます。

 

インスリン抵抗性が起こることによりインスリンが多く分泌されます。

インスリンは脂肪を溜め込むホルモンなので、脂肪溜め込むホルモンの刺激が強くなることによって、結果的に余った糖分とかアミノ酸が全部脂肪に作り変えられて、脂肪の細胞に入れられていくことになります。

 

さらに、肝臓(脂肪肝)とか筋肉の中にも脂肪が溜まり込んでしまう状況になるんです。

 

そして、やっかいなことに、臓器の中に溜まりこんだ脂肪というのは、基本的に炎症を起こしてしまいます。

これが慢性炎症の原因になっていくわけです。

 

となると、痩せて内臓脂肪を減らすためには、インスリンの分泌量を減らすことを考えなければいけなくなります。

 

インスリンそのものは、血糖値が高い状態になると増えてくるということなので、つまりは、糖分がたくさん入ってくることによって増えることになります。

 

そんなことから、ダイエットの代表的な「糖質制限」というのは、内臓脂肪を減らすための初期段階では必要になってくるのです。

糖分をカットするということを最初にやらないと、インスリンの分泌を止めることができないからです。

 

インスリンそのものは上昇していると、慢性炎症を起こすという性質があります。

そして、慢性炎症は重病を引き起こします。

 

インスリンをたくさんつかう糖尿病の人は、大腸癌とか乳癌とか前立腺がんとか、特定のがんの罹患率が30%高くなるというデータがあります。

 




 

代謝のマスタースイッチAMPKを活性化させれば痩せる!!

 

 

糖尿病の人は一般的に多くの薬を使います。

 

薬は血糖値を下げるますが、インスリンの分泌をむしろ亢進させて、血糖値を下げてしまうので、「インスリンが過剰になっている」という根本的な改善をあまりしてくれてません

 

その環境で血糖値だけを下げると、かえって命にかかわるような状況を引き起こしてしまいます。(糖尿病の有名な試験データとして報告されています)

 

インスリンは脂肪を溜め込みますが、同時に脂肪細胞にくっついたときに、炎症の活性化を促すような働きを細胞の中に起こしてしまうんです。

 

つまり、インスリンが脂肪細胞にくっつくことによって炎症反応が燃え上がる、それと同時にあるスイッチが止められてしまうという現象が起こります。

 

このスイッチのことを代謝のマスタースイッチ」というのですが、インスリンが過剰になると代謝のマスタースイッチが止まってしまうのです。

 

では、この代謝のマスタースイッチの正体はなにか? といいますと、

AMPKという酵素(内臓支部尾を減らす細胞内スイッチ)

のことになるんです。

 

 

AMPKとは、AMP活性化タンパク質キナーゼと呼ばれる酵素になります。

 

私たちの体のすべての細胞に存在し、エネルギーの代謝に重要な役割を果たしてくれる酵素です。

そして、エネルギーの摂取量と消費量を調整するスイッチでもあることから、代謝のマスタースイッチと呼ばれています。

 

体のエネルギーレベルが低くなる(例えば、運動した時、ストレスを受けた時、空腹の時)と、このAMPKが活性化されて、細胞のバランスを回復するのを助けるように働くのです。

 

いいかえれば、このAMPKがしっかりと働いている人は太りにくく、AMPKのスイッチがオフになっている人は太りやすいということなります。

 

つまり、カロリーや炭水化物を過剰に摂取すると、AMPKの活動が損なわれてしまう可能性があるということなんです。

 

AMPKスイッチが止まってしまうことによって、それ以上代謝が行らないということが脂肪を蓄積していく要因になっていきます。

 

さらに、

 

エネルギーが湧いてこない状況、

スタミナ切れ、

集中力切れ、

極度の疲労、

眠れない、

寝ても疲れが取れない、

イライラやへこみ

 

といった症状も出てきます。

 

 

AMPKを活性化するにはどうすればよいのか?

 

では、AMPKのスイッチをオンにするにはどうすればよいのか?

ということなのですが・・・

 

インスリン濃度を下げることも大切だけれど、なによりも、インスリンが出にくいような状況を作ることが大切です。

そのことを考えることによりAMPKスイッチを自然に活性化することになります。

 

カロリー制限はAMPKの活動を活発化して増加させてくれます。

ただしケトジェニックダイエットのような極端な低炭水化物、高脂肪食は、AMPKを阻害してしいます。

 

AMPKをアクティブにすることで、細胞レベルで多くのメリットを持っていることが、最近になって明確になってきています。

そのメリットについて、簡単にご紹介しておきます。

 

代謝を高めてくれる

 

空腹を減らしながら、グルコースと脂肪を分解しエネルギーに変換してくれるのに役立ちます。

AMPKは体重増加の原因の1つであるインスリン抵抗性を軽減し、トリグリセリドレベルを下げます。

また脂肪酸、コレステロールの生成を阻害してくれ、代わりにエネルギーを捻出する為、既存の脂肪を分解し、脂肪の燃焼を刺激してくれます。

 

 

ブドウ糖(グルコース)レベルの生産と燃焼

 

ブドウ糖は体の主要なエネルギー源であり、通常の脳活動に特に不可欠です。

血糖値が正常なレベルより低い低血糖症は、脳の安定性と機能に大きな危険をもたらします。

それによって危機察知し、AMPKは活性化されます。

視床下部のAMPK活性化は、肝臓からのグルコース産生を促進し 、筋肉へのグルコース取り込みを促進してくれます。

また様々な細胞において、AMPKを活性化させて、エネルギーを取り出すために、グルコースの分解を刺激してくれます。

グルコースを作ることを促して、そして燃やしてくれます。また、燃やして分解することで、エネルギーを取り出しくれます。

 

 

酸素の供給をサポートする

 

山の高度にいる時や、睡眠時の低酸素(低酸素)時に、AMPKが活性化することで、急性呼吸の不安定性から保護する可能性があります。

 

 

血流を増加させます

 

血管拡張作用で、血流が上がることで栄養や酸素をたくさん脳へも供給できるため、集中力や記憶力、判断力、企画力、整理整頓、計画性など認知機能がアップします。

また不安やストレスにも強く、リラックスして安定したメンタルにもなります。

 

 

その他のメリット

 

① 寿命を延ばします

② 炎症を軽減します

③ 血糖コントロールに役立ちます

④ 心臓の健康をサポートするのに役立ちます

⑤ 抗酸化剤として働きます

 




 

AMPKの活性化をするために大事なことは?

 

それでは最後に、AMPKを活性かするために、私達は何をすれば良いのかについてご紹介したいと思います。

 

まず、食事の量のコントロールをしない限りは、AMPKは活性化しないので内臓脂肪は減ることがありません。

AMPKの活性化は、年齢をへるにつれて自然に落ちていきます。

 

年齢をへると、若い時と同じものをたべても太りやすくなったり運動してもなかなか痩せないといった現象が起こりますよね?

これは細胞の中のAMPKのスイッチがオフになっているからです。

 

なので、AMPKのスイッチをオンにするためには、

  •  食事の方法
  •  運動
  •  特定の植物を食べる

の3つのことを実践していく必要があります。

 

AMPKを活性かさせる食事の方法

AMPKのスイッチをオンにするために、最も効果がある食事方法は「ファスティング」です。

ファスティングをすることによって、AMPKを活性化させることが可能です。

 

また、間欠的ファスティング(16時間食べずに、8時間の間に食べる)でも、十分効果があるとされています。

1日の間に、食べる時間と食べない時間を分けることいった単純なことでも、AMPKの活性化が起こって内臓脂肪を減らすことができるのです。

 

カロリーを減らすと、脂肪細胞がアディポネクチン呼ばれるホルモンを放出し、様々な細胞組織で

AMPKが活性化されます。

 

AMPKを活性化させる運動をする

 

 

高強度の運動はAMPKが活性化します。

また、新しいミトコンドリア(ATPが作られる場所)を促進し、筋繊維の損傷を素早く修復するのにも役立ちます。

 

エアロビクス、ジョギングのような有酸素運動のような比較的強度の少ない運動ではなくて、Hitと呼ばれる高強度インターバルトレーニング(激しく運動して、少し休んで、また激しく運動して、また少し休む、を数回繰り返す)がとても効果があります。

 

交互に激しい運動と休みを繰り返すことによって、AMPKの活性化が上がるのです。

 

30秒間の全力のサイクリングをやって、4分間休むを4回繰り返す(めちゃくちゃハード)といった運動は、とてもAMPKが上がるとされています。

 

一般の人は、ここまでハードである必要はありませんが、スクワットでも腕立て伏せでも、自分ができる力を出し切る、そして少し休むを繰り返すメリハリのある運動をすることによりAMPKが活性化していきます。

 

AMPKの活性化を上げる植物

 

代表的なものとしてベルベリンという成分を含んだ植物があげられます。

 

具体的には、黄檗(おおばく)と言われる植物です。

漢方薬で使われている生薬の成分で有名ですが、みかん(温州ミカン等)の皮にも含まれている成分です。

 

ルベリンは糖尿病の治療とかにも応用されており、サプリメントで摂ると血糖値が下がります。

中性脂肪、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)、血圧などを下げる効果も報告されています。

 

糖尿病の薬でAMPKを活性化する薬としてはメトポルミンという薬が有名ですが、AMPKのスイッチをメトポルミンが押してくれていることにより、細胞の中の代謝が回わることで血糖値が下がります。

 

メトポルミンは注目されすぎて、最近では「癌も予防する効果がある」んじゃないかと言われています。

 

そのため、がん予防にメトポルミンを飲んでいる人が、ひっそりといるくらいなんです。

 

けれど、この方法は、あまりお勧めする方法ではないとお医者様は警鐘を鳴らされています。

それは、ビタミンB12を欠乏させるという報告があるからです。

ビタミンB12は。結構大事なビタミンであり、貧血の原因、脳の再生、脳のネットワークの構築等、神経の機能に非常に影響を与えるビタミンになります。

そのため、ビタミンB12が阻害されると、脳神経がぼけてしまう可能性があるのです。

 

AMPKの活動を促進するその他の食べ物としては、

 

・赤ワインに含有のレスベラトロール

・大豆のゲニステイン

・緑茶に含有されているEGCG

(幾多あるカテキンの中でもカテキン界のTOPに君臨している抗酸化作用を持っているEGCGは、緑茶のみに含有されている。)

・ブラックシードオイル

(2014年のアメリカと中国の研究による「ブラックシードからのインダゾール型アルカロイドは、AMPK活性化を介して血糖降下作用を示す」よりhttps://europepmc.org/article/pmc/pmc4208670 

・ウコンのクルクミンアダプトゲンに分類されている

・霊芝アダプトゲンに分類されている

・高麗人参に含有のジンセノサイドアダプトゲンに分類されている。

・ブルーベリーのアントシアニン

・リンゴ、チェリー、パセリ、セロリ、カモミール含有のアピゲニン

・生牡蠣、アサリ、ハマグリなどの貝類含有の亜鉛

・魚(鮭、さんま、ぶり、サバなどごく一般的な魚類)含有のオメガ3脂肪酸

・赤みのお肉に含有のカルニチン

・グルコサミン

・エキストラバージンオリーブオイル

・海藻のフコイダン(もずくや昆布などの海藻類に含まれるヌルヌル、ネバネバした成分)

 

等があります。

 

さて、いかがでしたか? あなたのAMPKのスイッチはオンに入っていますか?

上記の内容の多くは、サイト主が受講している日本の大腸外科医である石黒成治先生の健康スクールでのお話から引用させていただいております。