ダイエットと健康を考えるならインスリン抵抗性の怖さを知ろう!

ダイエットに取り組んでおられる方、これから取り組もうとされている方、痩せるためには

カロリー制限をいくらしてもだめですよ~

運動をどんなにしてもだめですよ~

代謝システムをシュガーバーニングからファットバーニングに変えないと痩せることは不可能ですよ~

というお話を前回させていただきました。

さらに、ダイエットだけでなく、健康になるためにも、シュガーバーニングの代謝システムのままだと、いくら栄養価の高いものを食べても、高いサプリメントを飲んでも健康にはなれません。

まずは、あなたの体を、人間本来の代謝システムであるファットバーニングに戻すことから始めないと、基礎をしっかりと作らないまま、上にどんどん建設機材を積み上げていくのと同じことになってしまいます。

ということで、前回の記事を読んでおられない方は、とてもとても大切な「健康」「ダイエット」のためには基本中の基本の項目になるので、まずはシュガーバーニングとファットバーニングについて書いた下の記事を先に読んでくださいね。

そして今回は、ダイエットのために、健康な体を取り戻すために、とても大切な体のシステムの2つ目について説明していきたいと思います。

今回、みなさまに知っていただきたいのは「インスリン抵抗性」というものです。

いきなり、とっつきにくい難しい言葉なので、拒否反応を起こされている方もいると思いますが・・・・(私も拒否反応を起こしました~)

このシステムを知らないと、やはり健康にもなれないし、ダイエットにも成功しないので、がんばってこの記事を読み進めていただきたいと思います

人間の身体に備わっているダウンレギュレーション(下方制御)とは?

まず、みなさんは「ダウンレギュレーション」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

もう、難しい言葉ばかりで、何この情報サイトは!!

とお怒りになられるのは承知だけど、言葉は覚える必要がないので、しくみだけ理解してくださいね。

私は、大腸外科医の石黒先生の健康スクールに入って勉強する中で、初めて人間の生理作用の1つとしてダウンレギュレーションというのがあることを知りました。

言葉は初めて聞きましたが、その内容は聞いたことがあったので、みなさんも今までに聞いたことがあるのではないでしょうか?

ダウンレギュレーション(下方制御)とは?

人の身体は、繰り返し行われる刺激に対して、過剰に反応しないようにするメカニズムが存在します

それをダウンレギュレーションというのだそうです。

例えば、痛み止めや、下剤、睡眠薬などを服用している人であればわかると思うのですが、

「最初は効果があって良く効いたのに、繰り返し使用されるにつれて効果が感じにくくなってくる」

という経験をされたことがあると思います。

私は、警察官時代、かなりひどい花粉症に悩まされており、花粉の時期には必ず鼻炎薬を常用しておりましたが、だんだんと効きが悪くなり、効きが悪くなるたびに薬を変えたり、使用時間の間隔を短くしたりということを繰り返していました。

まさしく、この状態がダインレギュレーションと呼ばれるものなのですが、対処療法で薬を常用するとこのメカニズムに陥ってしまい、薬が効かなくなることのストレスも感じるようになってきます。このメカニズムのことを知っていたら、花粉症に対する取り組みも違っていたと思うのですが、このメカニズムのことを知り、やはり対処療法には限界があったんだということを改めて実感しました。

薬や体内の神経伝達物質、そしてホルモンなどは、細胞に働くときに「受容体」とい呼ばれる部分に結合して反応します。

体内で過剰となった物質に対して体が起こす反応は、この受容体の数を減らして、細胞に刺激が伝わりにくくするように働くのです。

これは特定の刺激に細胞がさらされ続けないようにする生態防御のメカニズムなのです。

なので、対処療法で薬に頼るのではなく、本来は、症状の根本となる原因をつきとめ、その原因を取り除くための取り組みをしていく必要があるのですが、多くの人は、人体にダウンレギュレーションというメカニズムがあることを知りません。

なので、どんどん強い薬を求め、薬を飲む感覚を短くしてより多くの量の薬を摂取するようになっていくなんて、本当に恐ろしいことです。

このダウンレギュレーションが大きく働くものに、インスリンというホルモンがあります。

ダウンレギュレーションがインスリンホルモンに働きかけた場合、どのようなことが私たちの身体に起こるのかについて説明していきます。

このメカニズムを知れば、ダイエットを成功させるには、何が大切かを理解していただけると思います!!

ダウンレギュレーションがインスリンに働くとどうなるの?

もしあなたが、大好きなケーキを、毎日毎日食べ続けたらどうなるでしょうか?

もちろん、太りますよね~!

それどころか、もっと怖いのは糖尿病になることなのですが、どうしてケーキやお菓子を毎日食べ続けると太って糖尿病になっていくのか? 

このことにダウンレギュレーションが大きく関わっているのです。

私たちが、ケーキやお菓子などの糖分を、1日に必要な摂取量以上に摂る続けると、摂取した糖質(ブドウ糖)が、常に血管の中にいっぱいになります。

前回お話しましたが、糖質をエネルギー燃料にするために細胞に届ける役割をしてくれているのが膵臓から分泌されるインスリンというトラックです。

糖質はインスリンというトラックに積まれて各細胞に届けられるのですが、毎日毎日、たえまなくケーキやお菓子を食べ続けると、インスリンも糖質を細胞に届けるために、ずっと出動していなければならいないオーバーワークの状態になってしまいます。

すると、ここでダウンレギュレーションが、インスリンホルモンに対して働くことになります。

ダウンレギュレーションが働くことで、細胞はインスリンの受動体の数を減らして、インスリンの刺激を受けにくくなるように働いてしまうのです。

つまり・・・インスリンが分泌される反応が遅くなり時間がかかってしまう・・・という状態になるのです。

例えていうと、今まで高速道路を使用していたインスリンというトラックが、ダウンレギュレーションが働くことで、受動体というチケットが減らされてしまい、高速道路に乗れなくなって、一般道を使用するしかないという状態が起こるのです。

この状態のことを「インスリン抵抗性」と呼びます。

インスリンの反応が遅くなると、インスリンというトラックがやってくるのを待っている余った糖質は、当然、血液中に溢れかえります。

糖が溢れると当然血糖値が上がってしまうので、まじめで働き者の膵臓は「これは大変だ~血糖値を下げないといけない!」となり、インスリントラックをどんどん分泌するようになります。

このことにより、血液中では、糖分だけでなくインスリンも過剰になってしまうという状態が作り出されるのです。

つまり、この一連の状態である「インスリン抵抗性」になっている人は、食後の血糖値が下がりにくくなってしまうのです。

そして、さらに恐ろしいのはこの後です。

インスリンが働くことで、徐々に血糖値は下がりますが、インスリンがいつもより必要以上に分泌されているため、今度は血糖値が正常レベルを超えて下がりすぎてしまうと状態が起こります。

これを「反応性の低血糖」と呼びます。

反応性の低血糖は、だいたい食後2~3時間で起こります。

この時現れる身体の症状としては、

食後の強烈な眠気

ふらつき

身体のだるさ

手のしびれ

などです。

食後2~3時間経ったときに、このような症状を感じたことがある人は、反応性の低血糖の可能性があります。

さらに、食後でお腹が空いていないはずなのに何か食べたくなる人も可能性大です。

インスリン抵抗性は肥満を引き起こす

もう一度おさらいしますね。

インスリン抵抗性とは、

個々の細胞でのインスリンの感度が低下し、そのため糖分は細胞に入らず血液中を巡る

という状態のことになります。

このインスリン抵抗性には、上記で説明した反応性の低血糖を引き起こすだけでなく、脂肪細胞にも悪い状態を引き起こします。

実は、インスリン抵抗性になっても、脂肪細胞ではむしろ感度は低下しないのです。

そのため、インスリンは脂肪細胞に積極的に働き脂肪を蓄積させていきます

その結果・・・どうなるかといいますと、インスリン抵抗性は肥満を引き起こすことになるのです。

* インスリン抵抗性が存在すると肥満のリスクが高い(DJ Pettitt et., Insulinemia in children at low and hight risk of NIDDM,1993<研究データ>)

肥満の人は血糖値が必要以上に下がることで、食べても食べても何か食べたくなる

さらに、この先には「肥満が進行すると、さらにインスリン抵抗性が悪化する」という、負のスパイラルが待ち受けています。

内臓脂肪をたっぷり溜め込んだ人は、どれだけたくさん食べても食後しばらく経ってから反応性の低血糖を引き起こすため、血糖値が必要以上に下がることでさらに何か食べたくなり、さらに食べてしまう・・・という負のスパイラルにより、いつまでたっても肥満が解消することがないのです。

そのため、このインスリン抵抗性を改善しないまま、運動やトリートメントを受けるなどのダイエットを繰り返しても、いつまでたっても良い結果が得られないということになってしまうのです。

現在、処理できる能力以上の糖質を摂取することは、身体の老化を促進し脂肪を蓄えてしまうことになります。

なので、この糖質を処理する能力を上げるためには、糖質を摂らない時間帯をより長くすることが重要です。

この後、紹介する間欠的ファスティングで、食べる時間と食べない時間をしっかり分けることにより、身体にインスリン抵抗性を改善する機会を与えることになります。

間欠的ファスティングは、一般的に行われている糖質制限とは違い、インスリン抵抗性を改善し、一番重要な栄養素である糖質を、より多く使用できる元気な身体に戻していくことが目標になります。

インスリン抵抗性が引き起こす肥満以外の怖い症状

インスリン抵抗性は、別名を「メタボリックシンドローム(症候群)」とも言います。

メタボリックシンドロームは、インスリン抵抗性が起こることにより引き起こされます。

メタボリックシンドロームで代表的な症状は、

内臓脂肪の増加

肝臓脂肪の増加

といった脂肪の増加が第一に挙げられますが、これらは単に脂肪が多いだけにとどまらず、将来的な重大な健康被害の初期症状になります。

メタボリックシンドロームは、将来的に

高血圧、脂質異常、耐糖能障害などの他、心臓病を発病するリスクが高くなる

と言われています。

現在、心臓病や糖尿病、ガンなどの疾患は、体内に発生した慢性炎症によって引き起こされると考えられています。

この慢性炎症を引き起こす原因のひとつがインスリン抵抗性になります。

日本人は、欧米人に比べて肥満の割合は少ないのですが、インスリン抵抗性の割合は多く、BMI値が25未満であってもインスリン抵抗性を示す人は多く存在します。特に、痩せているけれど肝臓に脂肪がついている人は、インスリン抵抗性を示す傾向が強いです。

さらに、私たちは年齢を重ねるごとに炭水化物(糖質)を分解・吸収する能力が衰えてきます。消化酵素を分泌する能力が低下するため、若い頃と同じように食べていると腸に大きく負担をかけてしまいます。

糖質が細胞に悪影響を及ぼす(糖化・AGE)

糖質がもたらす体内の変化は、エネルギーの不安定さだけではありません。

過剰に摂取して細胞に吸収されないブドウ糖は、体内で炎症を引き起こしたり、体の中で「糖化」という細胞をコゲさせる恐ろしい現象も引き起こします。

この細胞のコゲは、終末糖化産物(AGE)と呼ばれ、活性酸素により体の老化を加速させ、体内に起こるさまざまな問題の原因となっていることが、近年の研究で明らかになっています。

AGEは、細胞の老化を促進し、炎症を引き起こしていきます。

現在、老化の原因として最も怖いのがこの「糖化」であり、AGEが体内で蓄積される場所により、アルツハイマー認知症や、心臓病、脳疾患、糖尿病、骨粗しょう症、シミ、シワなどが引き起こされると言われているのです。

健康な細胞の細胞膜は弾力性に富んでいます。酸素や栄養素をスムーズに細胞内に取り込み、老廃物、毒素を排出して、細胞はどんどん元気な状態になっていきます。これは、「幸せな細胞」の状態です。

健康的な脂肪を細胞内と細胞膜の周りに持っており、これにより細胞が体と最適な状態でメッセージを伝達できるようになり、体内のエネルギーが向上し、全体的な免疫機能を向上させます。健康な細胞は細胞内に適量の糖質を含んでいます。なので、必要な糖質は細胞内に問題なく入って行きます。

しかし、一方炎症を起こした不健康な細胞や、糖化現象を引き起こしたコゲた細胞の細胞膜には柔軟性がなく、鉄板のように硬くなっているため、この状態では細胞に必要な糖質などの栄養素と酸素がスムーズの通ることができません。

糖化した細胞には、糖質も細胞膜のポンプがうまく機能せずに入っていけなくなります。

なので、体内で炎症や糖化現象を引き起こさないためにも、インスリン抵抗性を改善することは非常に大切なことになります。

そして、インスリン抵抗性を改善するためには、腸内環境を整えていくことが非常に重要であり、腸内細菌の変化とも密接に関連していると言われています。

糖尿病患者と、健常人との腸内細菌を調べてみると、腸内細菌の組成が全く異なることがわかっています。糖尿病患者の腸内細菌は、炎症を引き起こしやすい特定の細菌が増加傾向にあるそうです。

インスリン抵抗性のことを知ると、糖質の過剰摂取がとても怖いことがわかります。

そこで、多くの人が考えるのが「じゃあ、糖質を摂らなければ痩せることができるじゃない」ということです。

この考え方から大ブームのダイエット方法となったのが糖質制限ダイエットです。

確かに、シュガーバーニングからファットバーニングの代謝システムに変えていくためには、最初は糖質をある程度控えていく必要があります。

けれど、糖質制限は一生続けるものではありません。

大切なのは糖質をカットすることではなく、最終的にブドウ糖をたくさん摂っても大丈夫な体に変えていくということです。

現在、良く行われている糖質制限法は、タンパク質の摂取量、脂質の種類についての制限がない方法です。この方法では、糖質制限によって改善したいインスリン抵抗性が改善されません。

糖質制限を行うときは、必ず適度なタンパク質と十分な量の良質の脂質を含んだ食事が必要です。

そんなことから、次回は、良質な脂質を摂取することが、健康とダイエットにはいかに大切かということについてご紹介していきたいと思います。