こんにちは。
アロマテラピーを皆様に身近に取れ入れていただくために、精油の基礎知識についてご紹介しております。
今回は、精油の特性や抽出方法等についてご紹介しますね。
植物によって抽出部位や効能が異なる
精油は、植物によって抽出部位や効能が異なります。
アロマテラピーで使用する精油は、芳香植物から抽出した100%天然の揮発性オイルになり、エッセンシャルオイルとも呼ばれます。
「油」という字が含まれていますが、実は油脂ではありません。ただ、油に良く溶ける性質があるのが特徴です。
芳香植物は、約3500種類あると言われています。その中で、精油が含まれているといわれるのは、約200種類です。含有している部位は植物によって異なり、その効能もそれぞれ違います。
精油は、植物から抽出される段階で化学変化を起こすんですよ。そのため、植物そのものには存在しない有効成分が含有されていることもあるんです。
こうした化学物質である有機化合物が数十から数百種類も結集しているのが精油というわけなんです。
ひとつの精油にさまざまな効能が詰まっているので、精油1本でいろいろな心身の不調に効果を発揮しますよ~。
ただし、光や熱、酸素などによって香りや色が変化するので、保管する際は注意してくださいね。
精油の特徴を簡単にまとめますと、次のとおりです。
① 芳香性(強い香りがする)
② 揮発性(空気中で蒸発する)
③ 親油性、または油脂性(水に溶けにくく、油に溶けやすい)
④ 光や熱、酸素などで香りや色が変化する
⑤ 有機化合物の集合体で薬効がある
油細胞に蓄えられている「香り」
植物から香りがするのは芳香成分が含まれているからだということは、もうわかっていただけたと思いますが、この香り・・・植物全体から香っているわけではないんです。
芳香成分は植物の分泌腺で合成され「油細胞(ゆさいぼう)」という小さな袋に蓄積されます。
その油細胞がある場所は植物によって異なり、精油の抽出部位と関係しているんです。
では、植物はなぜこのような芳香成分を含んでいるのでしょうか?
その理由は、動くことができない植物が生き抜くための手段であり、ここに植物の神秘が存在するんです。
芳香成分を含む理由には次の5つがあります。
① 昆虫や鳥の苦手な香りを出し、自らを防御するため
② 子孫繁栄のため、香りで昆虫や鳥を引き寄せ、受粉などを援助してもらうため
③ 植物に傷がついた際に修復を促すため
④ 精油を植物のエネルギー源にするため
⑤ 暑い、寒い、乾燥、湿気など、環境の変化に対応するため
香りによって異なる揮発速度と持続時間
精油の香りは、原料の植物によって異なるのはもちろんですが、空気中に蒸発する速度や持続時間も異なります。
揮発速度が早い精油はすぐに香りますが、10~30分ほどで香りが消滅します。
持続時間が長いものでは、2時間~半日ほど香りが持続します。
また、イランイランやペパーミントのように、ごく少量で香ものや、ベルガモットなどのように、ほのかに香るものなど、香りの強弱もあります。
植物の生育環境によって精油の成分が異なる
植物学的に同じ種類でも、植物が生育した気候や土壌などによって、抽出される精油の成分が異なることがあります。
あまりにもその特性がことなるものは「ケモタイプ(化学種)」と呼ばれて区別されます。
タイム、ユーカリ、ティートリー、ローズマリーなどはケモタイプがあり、「Ct.」と表記されて市販されていますよ~。
精油の抽出方法
さて、それではこの神秘の香りを持つ植物達から、精油を抽出する方法についてご紹介しますね。
精油の抽出方法は、主に5種類あります。この5種類の中から、精油の特徴によって、もっとも適した抽出方法が採用されています。
抽出方法その1 ~水蒸気蒸留法
主として花、葉、果実、根、樹脂などから精油を抽出する際に使われる方法です。
最も一般的な製造方法になり、10世紀にイブン・シーナが開発しました。
簡単で安価なこともあり、現在もこの方法が主流となっています。比較的沸点の高い成分も抽出することができ、熱による成分の変化が少ないのも特徴です。
ただ、この方法で抽出すると香りや成分が損なわれてしまうデリケートな植物もあります。なので、すべての植物に適しているというわけではない方法になります。
では、どのような方法で抽出するのかを簡単に説明しましょう。
まずは、原料の植物を蒸留釜に入れて、下から蒸気を吹き込みます。あるいは水に入れて沸騰させ、芳香成分を蒸発させます。するとその水蒸気で精油が揮発します。
次にこの蒸気を冷却管に通して冷やすと液体になります。水に溶けずに浮いた精油と水の2層に分かれます。
また、2層に分離された水の方には、水溶性の芳香成分がわずかに溶け込んでおるため、芳香蒸留水(フローラルウォーター)として利用されています。
抽出方法その2 ~揮発性有機溶剤抽出法~
花などの繊細な芳香成分を取り出す方法です。石油エーテルやヘキサンという揮発性の有機溶剤に植物を漬け込み、植物内のワックス成分を取り出してから溶剤を揮発させ「コンクリート」と呼ばれる半固体形状の物質を取り出します。
それからエタノールを加えて芳香成分を溶かし出すなどの工程を経て、最終的に得られたものを「アブソリュート」といいます。代表的なものにローズアブソリュートがあります。ジャスミン、ベンゾインなどもこの方法で作られています。
アブソリュート精油の特徴としては、強い香りと作用があり、精油に色がついています。
粘土の高いものが多く、希釈して販売されている場合もります。
Abs、と記載されている精油がアブソリュートになります。
抽出方法その3 ~圧搾法~
この方法は、主にレモンやベルガモット、オレンジなどの柑橘類の果皮から抽出する方法になります。機械のローラーなどで果皮を圧搾し、遠心法で分離して、果皮の細胞中の精油を取り出します。熱を加えないため、芳香物質の変化が少なく、植物本来の香りが楽しめます。
圧搾法は、モノテルペンを多く含む揮発性が強い植物の抽出に最適であり、即物そのものに近い香りのまま採油できるのが特徴です。
抽出方法その4&5 ~油脂吸着法と超臨界流体抽出法~
そのほか、牛脂や豚脂などの油脂に芳香成分を吸収させて抽出する「油脂吸着法」や、液化ガスを溶剤として瞬時に抽出する「超臨界液体抽出法」、などの方法があります。
これらの方法は、主に熱に弱い花などの精油を抽出する際に採用されます。
精油は2種類以上をブレンドすることで相乗効果を生み出す
1種類でも多くの作用がある精油ですが、これを2種類以上使用すれば、さらに多くの効能が発揮されます。
そのため、ブレンドして使用することが多く、組み合わせによっては互いに効果を高め合うこともあります。
例えば、ラベンダーはリナロールと酢酸リナリルアセテートという成分を多く含んでいます。これらは他の精油とブレンドすることで作用が強まると言われています。
逆にブレンドをすることで作用が低下することもあり、一般的に6種類以上ブレンドするとよくないとされています。
香りにも相性がありますので、心地の良い香りであることはとても重要です。なのでやみくもに混ぜればいいというわけではないということを知っておいてくださいね。
植物の性質によって精油の値段が違う
精油の値段は種類によってかなり差があります。それは植物によって抽出部位や抽出できる量が違うからです。
特に花から抽出できる量は少なく、ローズにいたっては、なんと2000種類の薔薇から約1gの精油しか採油できません。
精油が含まれる部位は植物によって異なります。
・花から採油するもの、カモミール、ラベンダー、ローズなど
・葉から採油するもの、ティートリー、ゼラニウムなど
・果皮から採油するもの、オレンジ、スイートなどの柑橘系
・本部から採油するもの、サンダルウッドなどが
・種子から採油するもの、フェンネルなど
次回は・・・
ということで、今回は植物の製造方法等についてご紹介しました。
次回は、もう少し精油の基礎知識を身に付けていただくために、精油が心身に作用するメカニズムと精油成分の分類についてご紹介したいと思いますので、楽しみにしていてくださいね。