ダイエットと腸活のためにフラックスフード(亜麻仁の種)を食べよう!

皆さんは、フラックスシードを知っていますか?

亜麻仁という植物の種になるのですが、何千年前の中東を起源とするオイル用の種のことです。

リネンの材料として、また食品として使われ、美容と健康促進の両方に効果的な栄養素が豊富に含まれていることで、ここ数年で人気が高まっており、チアシードと双璧をなす存在のスーパーフードになります。

消化を良くしたり、心臓疾患、Ⅱ型糖尿病、癌のリスクを下げるといった点で、「腸内環境の改善(腸活)」や予防ヘルスケア、ダイエットを行うには欠かせない強力な助っ人となってくれる植物なのですが、まだまだ認知度は低くて、知らない方の方が多いと思います。

日本でも「亜麻」として明治時代の頃から北海道で栽培されていたそうですが、繊維用としての需要だったため種子の部分は活用されず、合成繊維が普及した1960年代の半ばに栽培されなくなったそうです。そして、21世紀に入って種子を食用利用するために栽培が復活し、その驚き成分と効能が明らかになり注目されだしているのです。

ということで・・・今回は、このフラックスシードについてご紹介していきますね。

フラックスシードの有効成分

では、最初にフラックスシードの有効成分からご紹介していきますね。

フラックスシードは、

タンパク質 18%

脂質  42%

炭水化物 29%

ととても脂質の多い植物になります。

スプーン1杯のフラックスシードの栄養成分は以下の通りです:

  • 熱量:55カロリー 
  • 水分:7% 
  • タンパク質:1.9 g 
  • 炭水化物:3 g 
  • 糖分:0.2 g 
  • 食物繊維:2.8 g 
  • 脂質:4.3 g 

18%のタンパク質

フラックスシードを構成しているタンパク質(アミノ酸)の特性は大豆ととても良く似ています。

必須アミノ酸は含まれていますが、リシンが入っていません。そのためフラックスシードと大豆のタンパク質は「不完全タンパク質」と呼ばれています。

また、心臓や神経系が健康であるために必要な、アルギニングルタミンが豊富に含まれています

4%の脂質

フラックスシードからは、スプーン1杯(10g)あたり、3gの脂質が取れます。

脂質の構成は

73%が、 多価不飽和脂肪酸 であり、

  • オメガ6脂肪酸
  • オメガ3脂肪酸
  • αリノレン酸(ALA) (フラックスシードよりチアシードの方がALAが豊富)

27%が 一価不飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸

となっています。

αリノレン酸(ALA)は体内で作り出すことができない脂肪酸なので、食べ物から摂取しなければなりません。

亜麻仁の中で、ALAの含有量が最も多いのは

フラックスシードオイル、

次で粉にしたフラックスシード

になります。

オイルは繊維状の種の中に閉じ込められている状態なので、種を丸ごと食べるのがALAを摂取する上では最も効率が悪い

(参考エビデンス :Austria JA, Richard MN, Chahine MN, Edel AL, Malcolmson LJ, Dupasquier CM, Pierce GN. Bioavailability of alpha-linolenic acid in subjects after ingestion of three different forms of flaxseed. J Am Coll Nutr. 2008 Apr;27(2):214-21. doi: 10.1080/07315724.2008.10719693. PMID: 18689552. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18689552/

ことになります。

さらに、フラックスシードには、オメガ3脂肪酸が非常にたくさん含まれています。

そのため、他のシードオイルと比べるとオメガ3脂肪酸に対するオメガ6脂肪酸の割合が低くなります。

オメガ3脂肪酸に対するオメガ6脂肪酸の割合が低いことは、様々な慢性疾患のリスクを下げることと関連があるとされてきたので、フラックスシードが注目されるようになった理由の1つがこの点にあるのです。

また、このオメガ3脂肪酸は体内の炎症を抑える効果があり、下記の疾患にとても効果があると言われています。

  • 動脈硬化・高血圧の予防
  • 脳梗塞・心筋梗塞の予防
  • 免疫改善・免疫力アップ
  • アレルギーの緩和
  • 脳細胞の活性化

しかし・・・オメガ3脂肪酸が豊富といっても、魚の脂ほど豊富に含まれているわけではありません。

さらにALAは、魚の脂に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の前駆体(これらになる前の形)であるため、体内でEPAやDHAに作り変える必要があるのです。なのでこの工程はあまり効果的はないと考えられています。

そんなことから、フラックスシードだけでオメガ3脂肪酸とろうと考えるのではなく、できるだけ魚などからもオメガ3脂肪酸を摂取してください。

ただし、フラックスシードには、オメガ3脂肪酸だけでない、他のすぐれた成分が多種多様に含まれていますので、積極的に食生活の中に加えてほしいと思います。

(参考エビデンス :Brenna JT, Salem N Jr, Sinclair AJ, Cunnane SC; International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids, ISSFAL. alpha-Linolenic acid supplementation and conversion to n-3 long-chain polyunsaturated fatty acids in humans. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2009 Feb-Mar;80(2-3):85-91. doi: 10.1016/j.plefa.2009.01.004. Epub 2009 Mar 9. PMID: 19269799. <https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19269799/>)

(参考エビデンス :Burdge GC, Wootton SA. Conversion of alpha-linolenic acid to eicosapentaenoic, docosapentaenoic and docosahexaenoic acids in young women. Br J Nutr. 2002 Oct;88(4):411-20. doi: 10.1079/BJN2002689. PMID: 12323090.<https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12323090/>)

(参考エビデンス :Burdge GC, Calder PC. Conversion of alpha-linolenic acid to longer-chain polyunsaturated fatty acids in human adults. Reprod Nutr Dev. 2005 Sep-Oct;45(5):581-97. doi: 10.1051/rnd:2005047. PMID: 16188209.<https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16188209/>)

炭水化物と食物繊維

フラックスシードの29%は炭水化物でできており、そのうち95%は食物繊維です。 

つまり、炭水化物全体から食物繊維を除いたぶんに当たる、消化可能な炭水化物の量は少なく、低炭水化物(ロカボ)な食べ物と言えます。 

スプーン2杯(20 g)のフラックスシードで約6 gの食物繊維を摂ることができます。この量は、男女とも1日の推奨摂取量(RDI)のおよそ15-25%に当たります。(参考

食物繊維は以下の物質で構成されています

  • 20-40% 水溶性食物繊維(植物粘液) 
  • 60-80% 不溶性食物繊維(セルロース、リグニン) 

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を、1:2のバランスで摂るのが理想です。

フラックスシードに含まれる食物繊維はこの理想のバランスに近いといえます。

水溶性食物繊維は、血糖値やコレステロール値のコントロールに役立ちます。

また腸内の善玉菌の栄養となることで、消化系の健康にも役立ちます。

フラックスシードの植物粘液は水と混ぜると非常に粘性が高くなります。これが不溶性食物繊維と合わさることで、フラックスシードは天然の下剤となります。 

フラックスシードを日常的に摂取することで便通が改善したり、便秘を予防したり、糖尿病のリスクを下げる働きがあります。

植物性化合物(抗酸化物質)

フラックスシードは、植物(亜麻仁)の種になりますので、植物が外敵や環境から自己の身を守るために作り出した多くの植物性化合物を含有しています。

とくにリグナンは健康のために注目される抗酸化物質になります。

リグナン(抗酸化物質とフェトエストロゲンの働きがある)

フラックスシードはリグナンが最も豊富(1.2%含有)な食材の1つであり、他の食べ物に含有されているリグナンの800倍近くあると言われいます。

リグナンはほぼすべての植物に含まれており、抗酸化物質としての働きと、フェトエストロゲンとしての働きの2種類の働きを持っています。

フェトエストロゲンとは、女性ホルモンであるエストロゲンに似た植物性化合物で、弱いけれどエストロゲンのような特性と抗酸化物質のような特性を併せ持っています。

加齢とともに、女性はエストロゲン減少してきますので、リグナンを摂取することで女性ホルモンを補うのと同等の効果があるといえます。

また、リグナンは、血中脂質とグリコースの値を下げます。

そのため、心臓病やメタボリック症候群のリスクを下げることと関連があるとされてきました。

また、フラックスシードのリグナンには血圧を下げ、酸化ストレスを減らし、関節の炎症を軽減する効果があります。

さらにリグナンは、体内の消化系において菌により発酵し、特にホルモンに敏感な乳がん、子宮がん、前立腺がんといったガンの進行を抑えてくれる可能性があります。

P-クルマ酸 (抗酸化ポリフェノール)

P-クルマ酸は、ポリフェノールの1種であり、フラックスシードに含まれる主要な抗酸化物質になります。

フェルラ酸(抗酸化物質)

抗酸化物質の1つであり、いくつかの慢性疾患を予防する働きがあります。

シアン配糖体

体内のチオシアン塩酸という化合物を構成する物質です。

たまに、甲状腺機能が損なわれる要因となることがあります。

生のフラックスシードには、微量のシアン化合物(青酸グリコシド)が含まれているという理由から、日本では厚生労働省が規制しています。

フィトステロール

植物の細胞膜に含まれており、コレステロールに関連しており、コレステロールを下げる効果があります。

ビタミンとミネラル

フラックスシードは健康に必要な複数のビタミンとミネラルを摂取するのに適した食材です。

チアミン(ビタミンB1)、銅、モリブデン、マグネシウム、リンを含んでいます。

フラックスシードを食べた方が良い理由

フラックスシードの成分を見てもらっただけでも、すでにフラックスシードが体に良いことはわかっていただけたと思います。

なので、次は具体的にフラックスシードを食べた方が良い理由について説明していきたいと思います。

食べた方が良い理由① フラックスシードはヘルシーなアブラの塊だから

フラックスシードには、前述したとおりオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。

このオメガ3脂肪酸は、「心臓や脳の血管に良い」「免疫機能を高める」というすぐれた効果があります。

先ほども説明しましたが、魚に含まれているオメガ3脂肪酸はEPL、DHLという脂肪酸になりますが、フラックスシードに含まれているオメガ3は、αリノレン酸というEPLやDHAの元となる脂肪酸になります。EPLやDHLの方がオメガ3脂肪酸の量は断トツに多いといえますが、毎日魚ばかりを食べるわけにもいかないし、魚が苦手という方もおられると思いますので、その点でフラックスシードは手軽にオメガ3を摂取できるのでとてもありがたいです。

手軽という点では、オメガ3のオイルやサプリメントを摂ったほうが効率が良いのではないの?と思いますが、オメガ3脂肪酸は、とても傷みやすいアブラなので、オイルで摂るなら開封後はすぐに傷むので注意が必要です。またサプリメントもカプセルに入っているオメガ3オイルがすでに酸化しているものが多いので、品質をしっかりと見極めなければいけません。

なので、オメガ3脂肪酸を植物の種のままであるフラックスシードで摂取することはとても効率が良いと言えるのです。

食べた方が良い理由② フラックスシードはミネラルが豊富だから

フラックスシードには、前述したとおり、銅、モリブデン、マグネシウム、リン等の必須ミネラルが豊富に含まれています。

これらの必須ミネラルは、体内で合成することができないため、食べ物から摂る必要があります。

血管系、神経系、血糖値のコントロール等に有効とされ、糖尿病等にも良いと言われています。

は、成長や発達など様々な身体機能のために必要な必須ミネラルになります。

モリブデンは、特にフラックスシードには豊富に含まれている必須微量ミネラルです。

マグネシウムも必須ミネラルであり、身体の様々な機能に重要な役割を果たします。

リンは、タンパク質が豊富な食材に含まれていることが多く、骨を健康にし、細胞を維持する働きを持っています。

食べた方が良い理由③ フラックスシードは抗酸化物質が豊富だから

植物は動くことができないため、外敵や周りの環境と闘うために、様々な抗酸化物質を作りだします。

フラックスシードにも、多くの抗酸化物質が存在しておりますが、そのなかでもリグナンは、植物の細胞壁の構造に役立つ物質であり、人間にとってもメリットがある物質です。

リグナンは、ビタミンEを上回るパワフルな抗酸化物質です。

研究では、リグナンは、乳がん等に抗がん効果が高いことが数多く報告されています。

フラックスシードには、「SDG」と「マタイレシノール」という2つのリグナンが含まれており、これらは大腸の中でガンと闘う物質に変わることがわかっています。

リグナンの効能については、前述したとおりエストロゲン(女性ホルモン)に似た働きもするので、前記のリグナンの説明部分を参考にしてください。

食べた方が良い理由④ フラックスシードはビタミンB群が豊富だから

フラックスシードには、体のベースとなるB1、B3、B6等のビタミンB群が豊富に含まれています。

特にビタミンB1が豊富です。

ビタミンB1は、身体の中で炭水化物をはじめとする糖分の分解に有効です。

さらに、これらのビタミンB複合体は、とても抗酸化作用が強いため、酸化による老化(フリーラジカルという不対電子を持つ原子や分子の働きによって起こる老化)を抑えてくれる働きがあります。

食べた方が良い理由⑤ 食物繊維が豊富だから便秘を改善しコレステロール値を下げる

便秘の方には、特にフラックスシードは効果があります。前述したとおり、フラックスシードには、水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維がバランスよく含まれています。また、便秘に有効なマグネシウムも豊富に含まれているため、腸の運動を活性化させ、便の水分を保持してくれ便秘を改善してくれます。

フラックスシードは、非常に高い吸収力を持っており、胃酸過多を抑え潰瘍を予防してくれるという働きもあり、腸内フローラルのPH値を変えることなく排便を促進する天然の潤滑油の働きをしてくれます。

フラックスシードを水につけておくとジェル状になるのですが、このジェル状の物質(水溶性食物繊維)が腸の中に入ると老廃物や便の中の脂肪を吸着して外に出してくれるのです。

さらに、腸の中に捨てられている胆汁がフラックスシードの成分に吸引されて捨てられるため、余分なコレステロールが体から出て、、コレステロールの値が下がります。そのことにより体の中の代謝がよくなり、血中コレステロールの値も下がるのです(研究データあり)

さらに、この水溶性食物繊維は、空腹や食欲を抑える効果があるため、ダイエットにもつながります。

対照研究の調査 : フラックスシードは、肥満の人の減量に役立つという結論が出ている。

12週間以上の期間にわたり、1日当たり30g以上のフラックスシードを食べた人達に減量の効果がより顕著にみられた。

食事にフラックスシードを食べた人たちは、フラックスシードを食べていない対照グループの人達と比べ、平均で1㎏の体重が減った

また、食物繊維は腸内の善玉菌の栄養(餌)となるため、消化系の健康維持にも役立ちますよ~

食べた方が良い理由⑥ 血圧をコントロールし、血糖値を下げる働きがある

フラックスシードには、血圧をコントロールするという報告があります。

高血圧の方に、30g(大さじ2杯)のフラックスシードを6か月間摂取してもらったところ

収縮血圧 15下がる、 拡張血圧 7下がる

という実験結果が報告されており、降下剤よりも下がる幅が大きいことが確認されています。

ただし、4か月未満では効果は見られず、4か月以上摂取すると効果が表れるという結果であることから、フラックスシードは長い目に摂取した方が結果が出ることがわかっています。

また、フラックスシードには、血糖値や中性脂肪などを下げる効果も確認されています。

糖尿病患者に、1カ月間フラックスシードを摂取してもらったところ、血糖値、中性脂肪の数値が下がり、4か月摂取すると、ヘモグロビンA1cとインスリン抵抗性が下がったことも確認された

食べた方が良い理由⑦ フラックスシードは心臓の健康に効果がある

フラックスシードにはオメガ3脂肪酸、リグナン、食物繊維が豊富に含まれているため、心臓の健康に効果があると言われています。

血中コレステロールが高いと心臓疾患のリスク要因になります。特に参加したLDL(悪玉コレステロール)が多いとリスクが高くなるため、血中コレステロールを下げてくれるフラックスシードは、心臓疾患にはとても効果があるといえます。

人間を対象とした研究で、

フラックスシードまたは亜麻仁オイル(フラックスシードオイル)を毎日摂取したところ、コレステロール値が6~11%下がり、LDLコレステロール値が9~19%減った

というデータが出ています。

また、動物実験でも裏付けられており、コレステロール値と血中脂質の消費を改善する可能性があるというデータが出ています。

さらに、コレステロール値を下げる薬と併せて服用すると非常に効果的であり、

12か月に及んだ研究で、薬のみのグループと比較して、LDLコレステロールがさらに8.5%減少した

というデータがあります。

これらの研究結果は、

フラックスシードの食物繊維やリグナンは、コレステロールの多い胆汁酸と結合して食べ物を消化管へと運んでくれるため、体内のコレステロールが下がる

ということを示しています。