今回は、急激なダイエット・・・つまり1か月で10㎏体重が減りました~!! といったようなダイエットはとても危険だという話をしたいと思います。
急激なダイエットは、「アルデヒド」という猛毒を全身に放出することになりとても危険なんです。
そのことを説明するには、私達の体の中にあるアブラについて知ってもらわないといけないので、まずは、代謝システムのおさらいの意味を含めて、脂質と糖質について、もう一度お話ししていきますね。
体に脂肪がつくのは脂質ではなく糖質が原因です!!
みなさんは、ダイエットや健康を考えるときに、「油はなるべく控えた方がいい」というイメージを持っておられるのではないでしょうか?
アブラは人体を構成するうえで極めて重要なものですが、多くの方はアブラに関する大きな誤解を持っておられます。
体にお肉(脂肪)が付くのは、脂肪の摂り過ぎが原因だと信じて、アブラをほとんど摂取されない人もいます。
それは「油=悪」だという誤解から来ています。
さらに、アブラは高カロリーだから太るという誤解も多くの方が持っておられます。
単純に糖質と脂質をカロリーで比べた場合、「糖質の方がまだよいのでは?」という考え方をしている人が実に多いのです。
けれど、内臓脂肪のほとんどは糖から作られます。過剰に摂りすぎた糖分が脂肪として体に溜め込まれるのです。
アブラを摂ると太るという誤解の結果、現代人の多くが病気を引き起こしています。驚くことに、食を指導する医者や栄養士の中にも、アブラを軽視される方がいらっしゃいます。
油=脂質は糖質やタンパク質と並ぶ三大栄養素のひとつであり、生きていくために必ず取らなければならないものです。
脂質は私たちの体内に約37兆個もある細胞の膜を作っています。この脂質を理解せずに断ってしまうと、体がうまく機能しなくなり、さまざまな悪影響が出てきてしまうのです。
体の脂肪を作り出すのは糖質です
ここで脂肪を作り出すメカニズムについて簡単にご紹介しておきます。
摂取した脂質は、もちろん過剰になれば脂肪として合成されます。けれど、この脂質が脂肪として合成されるには、その過程でグリセロールという糖質が必要なんです。
つまり、脂肪酸だけでは脂肪は作れない!! ということなのです。
さらに、脂質から脂肪を作るためにはとてもエネルギーを必要とするため楽な方法ではないのです。
ようするに・・・・
過剰に摂取した糖質から脂肪を作る過程が体にとっては脂肪を溜め込む一番のプロセスになるということなのです!!
みなさんが良く知っている血糖値を下げるインスリンですが、このインスリンにはその他の働きもあります。
実は・・・なんとインスリンは、過剰に摂取したブドウ糖(糖質)を脂肪として溜め込むシグナルを出すんです!!
言い換えると、脂肪を作る刺激を出すホルモンということになります。
さらに!! このインスリンの分泌を刺激するのは糖質の中でも砂糖よりもでんぷんの方が刺激が強いので、でんぷんの摂りすぎが肥満の一番の原因になるんですよ~。
でんぷんの代表といえば、みんなの大好きな、白米、パスタ、パンですよね~
う~ん。これらを控えるのはかなりきつ~いですよね。
でも、これらを食べてはいけない!!ということではないのです。これらをたくさん食べても問題のない体に作り変えることが大切なんです。
なので、本当に痩せたい、ダイエットを成功させたい!!と考えているのであれば、でんぷんやその他の糖質を摂取しても脂肪として溜め込むことがない体をつくる必要があり、そのためには、一定期間は糖質をできるだけ控える必要があるのです。(糖質制限はずっと続けるものではありません)
糖質をエネルギーとして使っている間は脂肪は燃えない!
では、ここでまず脂肪ってなんなのかについてお話しておきたいと思います。
私達の体の中に存在する脂肪は、「中性脂肪」といわれるものです。
脂質についてはこちらのページで詳しく説明しております。
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中性脂肪には下の図のように3つの脂肪酸がくっついています。
これらの脂肪酸の元になるものは、前述したとおり、食事から摂取した脂質だけではなく、食事から摂取した過剰な糖分からも脂肪として作り変えられます。
脂肪はとんでもなく悪いものだとみなさんは考えていらっしゃるかもしれませんが、実はこうして作られた脂肪酸もまた、糖質と同じくエネルギーになるのです。
脂肪が燃えるというのはこの脂肪酸がエネルギーとして使われることを意味します。
脂肪酸と糖質のカロリーですが、
1gあたり、脂肪酸は9キロカロリー、糖質(ブドウ糖)は4キロカロリーであり、脂肪酸の方がエネルギー量が多いことになります。
さらに、エネルギーを取り出す時間、効率が、糖質に比べて脂肪の方が圧倒的に悪いのです。
・・・・なので、身体は、体内に糖質が存在すれば、まず糖を先に使いたくなるのです。
これが、前回からお話しているシュガーバーニングという代謝のシステムになります。
特に脳は、血液中のブドウ糖が少なくなると「ブドウ糖が欲しい~」という指令を出します。
そしてコルチゾールというストレスホルモンを放出して、盛んに糖を取るように仕向けるのです。
ストレスが溜まると甘いものが欲しくなるのは、実はこの脳の仕業なんです。
そして、糖分が体にどんどん入っている状況では、脂肪が燃える機会は全くありません。
なので、脂肪を燃やしたいときは、まずは糖質を制限することが重要なのです。
糖質を制限して脂肪をエネルギーとして使うようにしていくことで、身体はファットバーニングという代謝システムにチェンジしていきます。
ファットバーニングの代謝システムにチェンジすれは、あとは驚くほどみるみる脂肪は燃えていきますよ~!!
急激なダイエットは絶対タブー!!
ということで、太るのは脂質(アブラ)を摂りすぎるからではなく、糖質を摂りすぎるからだということは理解していただけたと思いますが・・・
だからといって、急激な糖質制限をするのはとても危険です。
単純に糖質制限をすると痩せていきます。頑張れば頑張るほど痩せていくのです。
そのため極端な糖質制限ダイエットプログㇺが短期間で痩せれると大人気ですが、実はこのやり方はとても危険なのです。
表には出ていませんが、1か月程度で血液検査において肝機能が悪化してダイエットを中断される人が存在するのです。
これはどうしてかといいますと、実は糖質制限ダイエットをするときは、同時に私たちが体内に溜め込んでいる「不飽和脂肪酸」というのを処理していく必要があるのです。
この不飽和脂肪酸のことを無視して行っているのが、極端な糖質制限ダイエットプログラムになります。
では、不飽和脂肪酸の処理を同時に行う必用性について説明していきますね。
急激なダイエットは体内に溜め込まれた脂肪を一気に血液内に流出させるとても危険な行為です
ダイエットをする時には糖質だけでなく体内に溜め込まれている脂質(アブラ)のことも考えなければいけません。
脂肪酸には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類がある
脂肪酸の種類は大きくわけると2種類に分かれます。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸というものです。
詳しくは、下のページで紹介しておりますので参考にしてください。
脂肪酸の基礎となるのは炭素(C)なのですが、この炭素同士の結びつきの違いで飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。
炭素は4本の手を持っているのですが、それぞれ4本の手が別の分子と手をつなぐことで脂肪酸ができます。
炭素の結合が、H-C-C-C-C- というように、炭素の4本の手をそれぞれ別の物質と1本ずつ手をつないでいる状態を「飽和結合」と言います。
それに対して、H-C=C-C-C- と2本の手を同じ炭素同士でつなぎあっている結合を「不飽和結合」といいます。
すべての結合が飽和結合でできた脂肪酸のことを「飽和脂肪酸」といいます。
飽和脂肪酸には、牛などの動物性の脂肪、バター、ココナッツオイルなどがあります。
反対に不飽和結合が1つでもある脂肪酸のことを「不飽和脂肪酸」といいます。
不飽和結合の位置の違いで(数えて何番目に不飽和結合が来るか)オメガ3、オメガ6、オメガ7、オメガ9脂肪酸等に分かれます。
不飽和脂肪酸には、食物の種からとったアブラ、魚の脂等があります。
不飽和の部分があると、分子の構造が立体的に折れ曲がった形になってしまいます。この不飽和結合があるかないか、または不飽和結合の数によって、生体内での振る舞いが大きく変わります。
そして・・・飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とでは、どちらが良いアブラで、どちらが悪いアブラかと言いますと・・・
ずばり!!
悪い脂肪酸は不飽和脂肪酸になります!!
不飽和脂肪酸は、ほとんど食べたものから吸収され、私達の体に溜め込まれています。
そして、存在するだけでアルデヒド(過酸化脂質)という猛毒を出しているのです。
アルデヒドは、
・DNAを損傷する
・タンパク質分解酵素を阻害する
・タンパク質を変性させる
・ミトコンドリアを阻害し炎症を起こす
といったように、体内で様々な異常を起こします。
この異常は、細胞の老化を引き起こし、インスリンを効きにくくする「インスリン抵抗性」という病態を引き起こします。
体内に存在する不飽和脂肪酸は、食事由来であるため、現代人は体の中にかなりの不飽和脂肪酸を溜め込んでいると言われています。
食事から摂取する不飽和脂肪酸としては
・家庭で使用するサラダ油
・外食でのアブラ
・お惣菜に使用されているアブラ
・チョコレートに入っているアブラ
・スナック菓子に入っているアブラ
・コンビニで購入する食品のほとんどに含まれているアブラ
となります。
これだけでも、私達の体内にはいかに大量の不飽和脂肪酸が溜め込まれているのか予想がつきますよね。
それでは、なぜ急激なダイエットをすると危険なのかを説明していきたいと思います。
急激なダイエットで溜め込まれた脂肪酸が一気に流出する!!
急激なダイエットをすると、体内に溜め込まれている脂肪が一気に血液内に流入することになります。
つまり、脂肪が一気に溶け出て脂肪爆弾が投下されたような状態になるのです。
この脂肪は、不飽和脂肪酸であり、一気に悪いアブラである不飽和脂肪酸が体の中にめぐるということになってしまうのです。
同時に、不飽和脂肪酸の代謝物であるアルデヒドも全身に放出されることになります。
アルデヒドは体にとって、とてもとても猛毒な物質であり、その結果、体に様々なダメージを与えることになるのです。
そのため、急激に脂肪を分解することは避けなければなりません。
今、あなたの体の中に溜まっている不飽和脂肪酸を、ゆっくりと分解し、血液中に放出させることが、安全なダイエットには不可欠なのです。
では、不飽和脂肪酸を安全に処理するにはどうすれば良いのでしょうか?
ここからがとても大切なことです。
けれど、ほとんどのダイエットプログラムでは、これから説明する不飽和脂肪酸に対する処理を行わずに、極端な糖質制限や運動を行っています。
これでは体を壊すのは当たりまえのことですよね。
不飽和脂肪酸に対する処理方法は、ずばり、
摂取する脂肪を飽和脂肪酸中心に切り替えて、新たに不飽和脂肪酸を含む脂肪組織を体内に作らないこと!!
です。
このことにより、蓄えられていた不飽和脂肪酸は徐々に飽和脂肪酸に置換えられていきます。
実は、安静時の筋肉や肝臓、腎臓は、大量でなければ不飽和脂肪酸を安全に代謝する能力を兼ね備えているのです。
なので・・・まずは、体内に入れる不飽和脂肪酸を徹底的に少なくすることがとても重要なのです。
極端な糖質制限ダイエットプログラㇺを行いながら、不飽和脂肪酸の制限をしていないため、急激に体内に放出された不飽和脂肪酸によるダメージで、肝機能が悪化させてしまう人がとても多いのは、こういう原理からなのです。
中には、大量の脂質の処理をしくれなくなったため、肝臓が脂肪肝の状態になってしまう人もいます。
超低カロリーダイエットに対する研究結果があります。
21名の肥満患者に対し、1日600~800キロカロリーの腸低カロリーダイエットを行い、8週間の追跡調査を行った。
ダイエット開始1週間後には、一時的に心臓の脂肪がダイエット前に比べて、なんと44パーセントも増加し、新機能も停会していた。
8週間後、心臓機能は改善していたので、その悪影響は一時的ではあったという結論に達したものの、急激な減量は体に悪いということがこの研究で証明された。
さらに、「おやじダイエット部の奇跡」という極端な糖質制限で22キロ減量をたたき出した中年男たちの物語という本の著者は、その後心不全で急死されています。
つまり、急激なダイエットは心機能や肝機能に大きな負担をかけることとなり、命の危険にさらす行為なのです。
現在、ダイエット業者が提供しているダイエットのやり方は、一般的に2か月間程度の徹底した食事制限で結果をださせる方法を取っています。
これは健康的なダイエットとはいえません。
ダイエット初期には、急激な脂肪分解を強いるため肝機能に障害が出る可能性があるのと、多くの人がその後リバウンドしてしまっています。
つまり、長期の結果に責任をもってダイエットプログラムを提供しているわけではないのです。
急激なダイエット後のリバウンドは、身体に相当のストレスを与えます。若い人にはさほど問題がないとしても、40代以降の減量ではこれらの方法は決して適切とはいえません。
そんなことから、もしあなたがこれからダイエットを始めようと考えていて、ダイエットサポートを提供している業者に申し込むのであれば、1か月や2か月ですぐに結果を出すことを売りにしているところは選ばないことをお勧めいたします。
3か月から6か月、できれば6か月のスパンで、食事方法の改善からゆっくりと体をつくりかえていくプログラムを提供している業者を選んでください。あなたの健康、命に関わることなので、絶対に急激なダイエットはなさらないように、くれぐれもお願いいたします。
次回はリバウンドする理由についてご紹介したいと思います。