今回のテーマは「子供には失敗体験をたくさんさせよう」です。
このテーマについてお話する前に、みなさんに見ていただきたい参考動画がありますのでご紹介しますね。
養老孟司☆学習とは何か?現代教育の矛盾と学びの本質とは?約9分の動画
養老孟司☆これを聴いてハッと気付ける人は極僅かだとは思いますが、非常に大切な事ですので真剣にお話しします約19分の動画
【養老孟司プロフィール】
解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。
心の問題や社会現象を、脳科学や解剖学などの知識を交えながら解説し多くの読者を得た。
1989(平成元)年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。新潮新書『バカの壁』は大ヒットし2003年のベストセラー第1位。
また新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞した。大の虫好きとして知られ、昆虫採集・標本作成を続けている。『唯脳論』『身体の文学史』『手入れという思想』『遺言。』『半分生きて、半分死んでいる』など著書多数。
養老孟司さんの本は昔から大好きでよく読んでます。
東大医学部解剖研究を引退後、保育園をつくり子どもたちを間近で見てきた方でもあるので現場の感覚もあり、真実味があります。
このyoutyubeを聞いても、おんぶの大切さや五感を使った実体験遊びの大切さの再認識できますね。
なぜ子供に失敗体験をさせることが大切なのか?
それでは、今回のテーマ「子供には失敗体験をたくさんさせよう」について、説明していきたいと思います。
みなさん、『失敗』 と聞くとどんなイメージでしょうか・・・
たぶん、マイナスイメージですよね。
でもでも、私が保育園に勤めていた時・子育て中は 『失敗』 を待っていた‼
いや失敗が起きるように誘導し、自分からはわざと失敗を演じていました。(本気の失敗も多々あったが)
何故、失敗体験をさせるのか・・・?
それは失敗をすると多くのことを考え、強烈に脳に記憶され、危険回避能力が身につくからです。
そのことを示す、1つの例をご紹介したいと思います。
給食の時間編
お当番さんに、大きなヤカンに入っているお茶を入れてもらい、配ってもらいます。
すると、まずコップに入れる段階でこぼれますね、大きなヤカンですから。
遊びこんでいる子どもは加減をして注ぐことができますが、それでもこぼれます。
こぼれても何もコメントしません。
こぼれたのを見ていた子は、「こぼれてるよー」とか「こうやってやるんだよ」とか手伝いだす子が出てきます。
~助けてもらう・アドバイスをもらうは短時間に情報収集できる方法 (この方法を身に付けておくことは有利)~
もちろん、台拭きをもってきて手伝う子もいます。
濡れてしまった服を干してあげる子もいたり。
次に1人では無理だとわかり2人で注ぎ始めます。
1人はヤカンを、もう1人はコップを注ぎ口近くに持ってきます。
とても時間がかかる場合もありますが、お茶の配膳が終わらなければ「いただきます」にはなりません。
すると配膳を手伝いだす子が出てきます=お腹が空いている子とか、配膳している子の気持ちがわかる子です。
沢山こぼしてしまった時も手も口も出しません。
配膳した自分のコップに注ぐ分が無くなる場合もありますし、数人分も足りない・・・
「せんせーい、お茶がなくなっちゃった・・・」と言ってきても「じゃあ どうすればいいかなぁ」と聞き返します。
すると、少しずつ分け合うことに行き着くんです。
少ししかないことに笑う子、少ししか無いといって泣きべそかく子・・・
自分のクラスに無くなったら、隣のクラスや調理室、職員質に聞きに行く子もでてきたり
さて、このお茶注ぎを保育士がやっていたらどうでしょうか・・・
上記のような状況はほぼ生まれませんね。
1つのお茶注ぎだけで、子ども達の脳にはどれだけの思考と感情が生まれたでしょうか・・・
失敗をした子とその周りにいた子ども達みなに関わってくることができましたね。
何も発信しない子、何も手伝わない子がいても良いのです。
一連の出来事を見て・聞いているだけでも十分参加しているのです。
だって待ってくれているのですから。
この失敗を繰り返すことでどの子も注ぐことが上手になります。
たかだか注ぐという行為・・・と思った方は要注意です。思考回路が悪くなってきていますよ‼
大きなヤカンの傾け度、蓋はどうなると落ちてしまい、どうなった時に落ちないのか力の入れ加減や抜き加減・液体の流れ、重さ、ヤカンの口の構造などなど・・・・
物理的要素・科学的要素なども入っているではありませんか‼
繰り返しの失敗経験の積み重ねから、物理的要素・科学的要素を感覚的に学べているのです。
プラス+ 仲間を思い合う・助け合う気持ちや感謝の気持ち、悔しい・うれしいなど多くの感情までも経験できてしまいます。
大人が手も口も出さずにいれば、おもしろい発想が次々とあふれ出てきます。
年中さんクラスから十分にできます。
これだけ多くの経験ができるのであれば、こぼれてしまったお茶さんんも喜んでくれるはずです・・・
たまには、失敗しないであろうはずの大人が、わざと失敗する場面も見せてあげて欲しいです。
「あーーこぼしちゃったーごめんねぇ」 「どうしよう」
雑巾を持ってきてくれた子に対して
「ありがとう、助かるよ」 「拭けばいいんだねぇ」
注ぐのを変わってくれる子に対して
「○○ちゃん上手だねぇ、どうやってやればこぼれないのぉ?教えて」
など、失敗してもやり直せば良いし、助けてもらうこと・教えてもらえば良いことも自然な形で伝えることができます。
人間は失敗を繰り返しながら進化してきたはずです。
「助けて」「手伝って」などヘルプが必要なときに自ら発信できる人になってもらいたいのです。
失敗をしマイナスになった時に、次回はどのようにすれば失敗を最小限にできるかと脳はフル回転をして考え、筋肉にも指令をだすことでしょう。
痛い・熱い・悲しい・悔しい・恥ずかしいなどのマイナス感情や感覚が無ければ脳は考えませんから。
”小さな成功体験の積み重ね” = 強い ”自己肯定感” が育まれる
人間は必ず失敗をします、大人でもします。
会社に長年勤めている方でもヒューマンエラーは発生しますね。
パパさん達であれば知っているかと思いますが、会社で失敗が発生した時は是正レポートを提出しますよね。
レポート内容は
↓
なぜ発生したのか・原因の考察・歯止め・予防策・水平展開・有効性の確認
これらは無いことに越したことはありませんが是正することで、良い結果を得られることも多いです。
もちろん損失もありますが、今後 大きな失敗を防げることができ大きな損失も防げることができるからです。
子どもに置き換えても同じで、大きなケガや事故を防ぐ、回避することにつながります。
『失敗は成功の元』という経験を幼少期から多くしていれば、新たなものに対してのチャレンジ精神旺盛にもなれますし、小さな成功体験の積み重ねもできます。
この ”小さな成功体験の積み重ね” = 強い ”自己肯定感” が育まれるのです。
新たなものに対してのチャレンジ精神旺盛 = 多くの経験をゲット と 多くのチャンスもゲットでき、世界が大きく大きく広がりますね。
確固たる ”自己肯定感”が幼少期に育まれた子は、この先の長い人生においてずっと自分を肯定しながら生きていくことができると心理学的からも言われています
「自分は自分のままでいいんだ!!」と思えることは自我の確立時に必要なことです。
大きくなればなるほど社会的範囲も広がり、親の手も届きにくくなりフォローできることも少なくなってきますよね。
自分でしっかり生き抜いていく力 や困難にぶつかった時の解決方法を身につけせせることこそがその子の為になるのです。
小学校、中学・高校へ親はついていけません、いつ何時、親と離れてしまうような出来事が起きるかもしれません
手の届く範囲内の幼少期に沢山の失敗を経験させ困らせる機会をつくってあげてみてくださいね。
失敗をさせないように、すぐに口と手を出していませんか・・・?
お母様方へ質問です。
失敗をさせないように、すぐに口と手を出していませんか・・・?
ただの口出しではなく 「なにやってんのぉーーー」と怒ったりしていませんか?
子どもが失敗するのは当然なことにもかかわらず
経験数も少なく、まだ手と目の協応訓練中段階なのに・・・
やってみたい‼ という欲求からチャレンジしたのに、失敗したら怒られてしまうとチャレンジしなくなります。
新たな経験やチャレンジが怖くなるんですよ。
実体験、失敗経験が乏しい子は
学校・習い事・受験など、初めての体験にビビッてしまう=マイナスイメージ傾向がみられます。
実体験、失敗経験から成功体験が豊かな子は、初めての体験にワクワクするんです。
失敗すれば怒られてしまう
→ 嫌な気持ち 恥ずかしい あるいは怒鳴られて怖い・・・
となる
新たなことへの抵抗感が身に付いてしまう結果に、大人・親が自ら、子どもの可能性を奪ってしまうことにもなるのです。
- こぼす
- 落とす
- 壊す
- 転ぶ
- 忘れる
- 怪我する
- 泣く
- ケンカする
子どもがよくする失敗ですが、これらが発生した後には大人の労力が必要になります。
その労力が嫌だから口と手を出してしまっている・・・ のではないでしょうか?
これまた 残念な大人が主役の思考か、親のプライド・・・
子どもは何でもやりたがります、脳がそのように指令をだしているからですね。
またそのような指令を出すということは、脳が健全に成長している・成長したいと思っている証拠です。
成長したいと思っている証を無視せず、時間的余裕がある時だけでもいいので、ぜひ、子どもに沢山の失敗経験の場を与えてあげてください=子どもの世界を狭めないでくださいね。
家のお手伝いをしてもらおう!!
児・学童期であれば 家のお手伝い がいつでもできて良いですね。
- 配膳・お茶汲み・野菜や果物皮むき(タマネギ・ニンニク・もやしひげ取り・みかん皮むき・そら豆皮むき。枝豆だし)
- 切った果物をお皿に分けいれて貰う・お米とぎ・野菜洗い・
- 洗ったお皿を種類別に重ねてもらう・植物への水やり、剪定
- じょうごを使用して調味料入れる・泡だて器でまぜる・野菜切る
- れた靴下手洗い・自分の上履き洗い・ゴミの分別・風呂洗い
- パパの靴磨き・玄関先などの掃き掃除・アイロンがけ
- 蚊取り線香に火をつける・日曜大工の手伝い(木を切る・釘の打ち込み・カンナ掛け・ねじ入れ、外し)空き容器洗い・ティッシュ箱解体して小さく折りたたむ
などなど・・・
家のお手伝いは、生きていく上で基本的な重要なことばかりです。
お手伝いや新たな経験をさせる前も後も、極力口と手を出さず見守り (命の危険や大怪我の可能性の時は出す)
子どもが失敗をした時は 「ビックチャンスきたー」 とばかりにワクワクしながら
どうするのかを見ててみてください
困りに困らせてあげてください・・・困った挙句にどうするのか
少しでもやり直せた時、はい、ここでやっと大人の出番です !!
大いに褒めて共有・共感してあげましょう。
失敗から得られたプラス要因を見つけてあげて常にポジティブ思考を植えつけてあげてください。
子どもの失敗は親や大人が安易にフォローできる程度のものばかりですから
それ? 本当に子供に必要な物??
子どもが子供用の自転車に乗る時に被らされている子ども用のメット、足のサポーター
これ、いらないです。
あと立ちはじめの赤ちゃんが転んだ時のリュック式クッションもいらないです。
本来の感覚が身につきませんから・・・
バランスが悪くなりますし、転んでケガをしたり、痛い思いをするから次に転ばないように脳は失敗経験を分析し、筋肉へ絶妙な力の加減の指令をだすのです。
こういうことを言うと、じゃあケガしたら責任取ってくれるんですか? とか言う大人がいますが
そんな大人がいることで、保育所や学校が窮屈になってしまっており
子ども達の世界を狭め、チャンスを奪っていることになっています。
事故や大怪我しない感覚や良い加減を身に付けさせ、マイナスになった時 (ピンチになった時) に
対応策や処理方法を自分で考えられる、脳と体づくりを優先されることを願いたいです・・・
これこそが学習であると、養老孟司さんが伝えたいことなのかなぁと思いました。
五感が養われていないと・・・
「五感が養われていない人」=「違いに気づけない」「危険察知能力の低下」「こだわることができなくなる」「きめ細かく感じれない」
人や事象に対して、予測や想像・相手の立場に立って考えることが『弱く』、『鈍感』になってしまうかもしれません。
またそれは、学習・スポーツ・芸術においても鈍感であれば極めることはできない・・・といえます。
”人間は動物” です。 頭で感じるのではなく、感覚を感じてなくちゃ
IT化が進んでも、スマホができても 人間のつくりは変わっていない‼ のです。
ぜひ、おばあちゃん・おじいちゃんが幼少期や子育て時にやっていたことを聞いてみてください。
昔から良いとされてきたこと、継承されてきたことの多くが正しいはずです。
今の時代は情報に溢れているだけに、真実を見極めることが困難になってきています。
感覚が鈍ってしまっている人は判断する力も低下していますし、危険回避能力も低下しているようです。
「あれっ、いつもと違う匂いがする」
「あれっ、いつもと違う味がする」
「あれっ、この感触気持ちが良いなぁ」
「あれっ、今 変な音が聞こえた」
「あれっ、ここにこんなのあったっけ?」
”人間は動物” です。 失敗するのが当たり前、失敗から成長・進化していかなくちゃ
* おまけ *
年長さん、靴紐蝶々結びできますか?
年中さん、糸巻きからコマ回しできますか?
年少さん、みかんの皮むき・野菜の皮むき・お菓子の袋開けできますか?