免疫の中心となる白血球の種類と役割とは?

まだまだ感染が収まらないCOVID-19ですが、ワクチンの効果の期間もそんなに長くはないということが言われ出し、3回目の接種が叫ばれるようになっている今日ですが・・・ワクチンに頼り切らないで、まずはご自身の免疫力を高めて感染しない強い体の状態を維持しておくことが何よりも大切です。

 

ということで、このサイトでは「人の健康を左右する免疫力」について、より理解を深めていただくために、わかっていそうだけどわからない免疫力についてご紹介しておりますが、前回は、免疫細胞には2つの種類があるよ~ということについて紹介させていただきました。

 

続けて、2回目の今回は、免疫細胞の中でも中心となってくる「リンパ球の1つである白血球」につて、そのすごい役割についてご紹介したいと思います。

 

さて・・・免疫力が高いと、

① 身体に害をなす病原体の体内への侵入を阻止したり、

② 侵入してきた病原体に即座に対峙する機能が高くなる

といったメリットがあります。

 

つまり、「免疫力」とは、体内に病原菌や異物が入り込んだ際に、それと闘い、打ち負かす力のことになるのですが・・・・・

その働きの鍵を握っているの血液中の「白血球」なんです。

 

一般の人は、免疫細胞の種類なんて覚える必要は全くありませんので、この記事ではサラッ~と読んで、免疫細胞の働きを理解していただければと思います。

 

ということで、ここでは、

1 白血球って何?

2 白血球の種類

3 細菌を食べて殺す「顆粒球」と「マクロファージ」

4 抗体を作るリンパ球

の順に勉強をしていきたいと思います。

 

白血球って何?

 

ウィルスや菌などに、皮膚や粘膜のバリアを突破された時に出番となるのが、白血球による免疫機能です。

実は、白血球で異物を食い止められないと、身体は病にむしばまれてしまうんです。

いってみれば最後の砦になるのですが、この白血球による免疫機能が弱い人が、新型コロナウィルスに感染すると重症化してしまうということになります。

 

そんなことから、免疫において中心となる、とても大事な部分といえるのが白血球なのです。

 

白血球は血液成分のひとつです。

 

白血球は血液1m㎥中に、

男性では3700~9700個、

女性では3500~8200個

程度あります。

 

体内に病原菌が侵入すると、この白血球の個数が増えて異物を攻撃して無力化させるんです。

 

増殖したウイルスを攻撃するために、白血球が活発に働き始めると、同時に発熱やくしゃみ、鼻水を促す神経伝達物質が放出されます。

こうして風邪の症状が発病するわけなんです。

 

そして・・・白血球の働きで体内ウイルスが無力化されると、白血球の活動も鎮静化するので、かぜの症状も治まります。

 

ということで、私達が風邪を引いたときには、

今、白血球が身体の中で風邪ウィルスと戦ってくれているんだな!!

と思っていただき、白血球の戦いを応援してあげてほしいのです。

 

白血球の仲間達(白血球の種類)

 

冒頭で、皮膚や粘膜のバリアを突破された時に出番となるのが、白血球による免疫機能だとご説明させていただきましたが、

白血球で異物を食い止められないと、身体は病に蝕まれてしまいます。

なので、言ってしまえば最後の砦となる免疫において、中心となる大事な部分が白血球と言えます。

 

白血球というのは、血液中の成分の1つですが、実はいろいろな種類があるんです。

大きくわけると、

単球、リンパ球、顆粒球の3種類

になるのですが、このうちリンパ球の「T細胞」と「B細胞」が獲得免疫に関係し、そのほかはいずれも自然免疫に関わります。

 

ちなみに、血液検査で白血球の数値が低いと、こららの免疫細胞が少なく、すなわち病気と闘う力が低い状態と診断されます。

 

 

 

 

 

では、白血球の種類にはどんなものがあるのかを見て行きましょう!!

白血球の種類その1 ~大食いの単球(たんきゅう)「マクロファージ」~

 

単球は、白血球のなかで最も大きな細胞群です。

① マクロファージ

② 樹状細胞(じゅじょうさいぼう)

の2種類があります。

 

「マクロファージ」はアメーバーのような触手を持っています。

体内に侵入した病原菌などの異物を飲み込んで殺す、好中球と同じような役割を担っています。

 

マクロファージは異物をなんでも食べてしまう大食漢で別名「貪食細胞(どんしょくさいぼう)」と言います。

 

 

それと同時に、顆粒球やリンパ球に「体内に異物が侵入した」というサイン(サイトカインという物質)を出して、免疫反応のコントロールを行います。

 

体内の異物が少なくなったら「もう大丈夫」というサインをほかの免疫細胞に送って免疫反応を終了させます。

 

 

つまり、自然免疫を担う「顆粒球」と「マクロファージ」が免疫反応の大部分を担っているわけなのです。

 

樹状細胞は、異物を食べてその情報を記録し、他の細胞に伝える役割を担います。

 

 

白血球の種類その2 ~抗体を作り出す「リンパ球」~

 

次に抗体を作り出すのがリンパ球です。

 

白血球の20~55%を占めています。

 

血液とリンパ管をめぐる細胞群で、

「T細胞」「B細胞」「NK細胞」の3つになります。

 

「獲得免疫」という、抗体を作りだしてウイルスを無力化する働きを行うのが「リンパ球」というわけです。

 

「T細胞」「B細胞」「NK細胞」

 

体内に侵入した病原菌などの異物は、大きなものは顆粒球やマクロファージに飲み込まれます。

ここで見逃された小さなウイルスやタンパク質を攻撃して無力化するのが、リンパ球の主な働きです。

 

 

① マクロファージが異物を飲み込むと、リンパ球に異物の特徴などの情報が伝えられます。

② T細胞がマクロファージから情報を受け取ると、それがB細胞に伝えられます。

③ B細胞は情報をもとに、ウイルス等の病原菌を無力化する「抗体」をつくります。

 

これが獲得免疫と呼ばれるものです。

 

 

 

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)

 

そして、もう1つのリンパ球であるNK細胞は・・・

 

別名を「ナチュラルキラー細胞」とも言い、ウイルスや細菌などに侵された細胞を攻撃します。

がん細胞を攻撃することでも知られた細胞です。

 

 

顆粒球やマクロファージなどは、体外から侵入した異物を攻撃するだけですが、NK細胞は細菌やウイルスに感染した細胞、がん細胞を攻撃します。

 

T細胞やB細胞と違って、マクロファージからの指令がなくても異物を攻撃する性質を持っています。

 

T細胞、B細胞、NK細胞の詳しい働きやしくみが、詳しく解明されたのは最近のことです。

がんの治療などで注目され始め、研究が進められています。

 

リンパ球はからだを守るために連携し合って、高度なシステムを構築していると言えます。

顆粒球やマクロファージよりも複雑なメカニズムを持っているのです。

 

白血球の種類その3~細菌作用のある顆粒球「好中球、好酸球、好塩基球」

 

細菌作用のある顆粒を持つ細胞群です。

好中球、好酸球、好塩基球 

の3つがあります。

 

好中球は、マクロファ―ジとともに自然免疫の中心役で、細菌やカビを食べます。

ただし食べた後は死んでしまい、死骸が膿となって残ります。

 

 

このうち「好中球」が顆粒球の95%を占めています。

 

好中球は、白血球の全体の40~70%を占めていて、免疫の中心を担っている免疫細胞です。

顆粒球は体内に侵入した大きな病原菌(細菌)などを飲み込んで殺します。

 

 

 

この時、顆粒球も細胞と一緒に死んでしまうので炎症が起こります。

 

好中球1個が食べる細菌の量は10~20個ですが、おなかいっぱい食事をした後や、血糖値が高いときには、その半分ほどしか働きません。

 

つまり、からだがお腹いっぱいの状態では、好中球もお腹いっぱいなのか、貪食能力が低下するのです。

病気の時に食欲不振になるのは、空腹時に免疫力が高くなるのをからだが本能的に知っているためだと言われています。

 

また、運動をしたあとや、入浴後にも好中球の働きは活発になります。

これは体温が上昇すると好中球が活発に働くことを示しています。

 

このため、免疫力を高めるためには身体を温め、食べ過ぎないことが大切なのです

 

 

白血球は連携して病原体と戦う

 

 

さまざまな仲間たちがいる白血球チームですが、このチームはとても連携がとれていて、実に見事なチームワークで病原体と戦います。

 

まず1番バッターと2番バッターは、自然免疫チーㇺのマクロファージと好中球です。

病原体を食べて駆除します。

 

でも、それだけでは手に負えない場合、他の細胞に助けを求めます。

マクロファージが病原体の侵入を知らせ、3番バッターの樹状細胞が病原体の情報を伝えます。

 

樹状細胞から伝令を聞きつけた4番バッターのヘルパーT細胞は、攻撃命令を発令します。

さらに5番バッターのB細胞は病原体に適した抗体を作ります。

そして、その抗体と6番バッターのキラーT細胞が病原体を攻撃します。

最後は7番バッターである サプレッサーT細胞の合図とともに終了します。

 

そして、NKキラー細胞は、独自に働くため、

8番バッターのNKキラー細胞は癌細胞を攻撃し、9番バッターのNKキラー細胞が、ウィルスに感染した細胞を攻撃します。

 

こうして、チーム9人のみごとな連携プレーで、病原体と戦うのが白血球チームになります。

 

白血球の役割を簡単にまとめますと・・次のとおりになります。

 

1 顆粒球やマクロファージは細菌に強く、リンパ球はウイルスに対して効果を発揮する

この違いは、細菌とウイルスのサイズの違いによるものです。

細菌はサイズが大きいので顆粒球が、ウイルスはサイズが小さいのでリンパ球がそれぞれ攻撃を行います。

 

したがって、顆粒球が少なくなると細菌に感染しやすくなりますし、リンパ球が少なくなるとウイルスに感染しやすくなってしまいます。

 

2 3種類のT細胞

① ヘルパーT細胞

キラーT細胞やB細胞に攻撃の指令を出す

② キラーT細胞

病原体を直接攻撃する

③ サプレッサーT細胞

攻撃終了の合図を出す

 

3 独自の働きをするNK細胞

他の細胞の指令や応援なしに単独でこれらの細胞を破壊する

 

 

白血球の働きを良くすることが免疫力の強化につながる

 

こうして、私達の体の中では、これらの免疫細胞が体内の病原菌を殺したり、ウイルスに対抗する抗体を作り出し、体内の病気を治したり予防したりしているのです。

 

つまり、白血球の働きをよくすることが免疫力の強化につながり、病気になりにくい身体をつくる基本と言えるのです。

 

さて、簡単に免疫力についてご紹介しましたが、私は、この免疫力のしくみをしって、私達の身体の中で一生懸命に働いてくれている顆粒球やマクロファージ、そしてリンパ球等が、とてもとても愛おしくなりました。

 

顆粒球やマクロファージ、そしてリンパ球などの「からだを治そうとする人間の免疫力」は、このように複雑に絡み合って機能しているのです。

 

では、次回は「免疫力が低下するとどうなるの?」ということについて、ご紹介していきたいと思います。