果物には果糖という糖質が含まれています。
果糖はフルクトースと呼ばれているものであり、一般的に細胞に対して強い毒性があります。
カルフォルニア大学のRobert Lusting の報告で砂糖やコーンシロップに含まれる果糖は
・脂肪肝を起こし、高血圧、脂質異常などのメタボリックシンドロームを引き起こす
・細胞障害や老化作用、尿酸誘導などの作用がある
と報告されています。
果糖がそんな危ないものなら、当然「果物は体に良い」と言われていることに対して、疑問が湧いてきますよね~。
でも、大丈夫です。果糖は果糖でも、生の果物の果糖は、市販のジュースや砂糖などに含まれている果糖とは違って体には良いものだという実験結果が多数あります。
なので、せっかく果物が豊富で安く手に入るタイに住んでいるなら、どんどん果物を食べて健康になってほしいと思います。
今回は、果糖(フルクトース)と果物は体に良いのか?ということについてご紹介していきたいと思います。
市販のジュースなどに含まれる果糖はとても身体に悪い糖質です
タイは、暑い国なので冷たい飲み物の消費がとてつもなく多いです。
特に、果物が豊富なので、フルーツ系のジュースが多いのですが、とにかくびっくりするほど甘いので驚きます。
果物の果糖の甘さだけでなく、さらに砂糖をどっさり入れるのです。
たいていのジュース屋さんのメニューには、砂糖の量をどうするかの選ぶように記載されています。
また、コンビニ等で売っているフルーツジュースは、砂糖が半分位入っています。
なにせ、お茶にも砂糖が入っているので、タイに来た時には目が点になりました。
とにかく甘いのが大好きな民族であり、その分糖尿病の罹患数も半端じゃなく多いですし、近年は肥満率も高くなり、子供も太っている子しか見ません。
タイ人=女子も男子もスタイルが抜群に良い!!
という私のイメージは、タイに住む年数が長くなるのに比例して崩れていいっています。
誰でも「甘いものは体に悪い」というのは、わかっていると思うのですが、甘いものは本当に止めれないですよね~。
甘いものの代表である砂糖は、正式には「果糖とブドウ糖が結びついたショ糖」という成分になるのですが、この砂糖の構成成分である、果糖とブドウ糖は、代謝されるシステムが違うんです。
ブドウ糖は、すでに何度もお話しておりますが、口から取り入れたブドウ糖が、細胞の中に取り入れられるにはインスリンという運び屋さんの手を借りないといけません。
インスリンが、ブドウ糖という人間にとって重要なエネルギーをしっかりと細胞の中に届けてくれるのですが・・・、果糖は、インスリンさんの作用をうけないんです。
では、果糖はどなたによって細胞の中に取り入れられるのでしょうか?
それは肝臓さんの手を借りるのです。果糖は、肝臓でしか処理できないという代謝システムになっています。そのため、果糖は血糖値が上がりにくい性質があるということで、血糖値の上昇数値を表す「グリセミックインデックス」が低いと言われています。
じゃあ、血糖値が上がりにくくて、インスリンの働きを必要としない果糖は、太らないじゃん?!
と思われるかもしれませんが・・・それがそうではないのです。
果糖が肝臓で処理できる範囲を超えてしまうと・・・・なんと、果糖はアブラ(脂肪酸)になってしまう・・・つまり体に脂肪が蓄積されてしまうのです。
さらに、果糖は代謝されると「尿酸」になるため、酸化ストレスを引き起こし、脂肪の蓄積を増殖するとも言われています。
肝臓に蓄積されると脂肪肝が進み、血液中にアブラとして流れると血管を傷つけるといったことも起こってしまうのです。
冒頭で記載したように、果糖は脂肪肝を起こし、高血圧、脂質異常などのメタボリックシンドロームを引き起こすと言ったのは、この果糖を処理する代謝システムが原因なのです。
もっと怖いのは、果糖は脳の「報酬系」という報酬を求める神経細胞を刺激するため、どんどん次の果糖を求めるようになるのです。
そのため、果糖は「酔わないアルコール」とも呼ばれているのです。
また、果糖そのものは活性酸素を誘導し細胞に様々な障害を引き起こし老化を促進するとも言われており、果糖そのものは細胞に対して障害を与えるものと認識しておいていただきたいのです。
果物の果糖も体に悪いの??
上記のように果糖の悪いところを列記されると・・・「じゃあ果物の果糖も体に悪いのね?」ということになるのですが・・・
それが違うのです。
まず、上記に列記した果糖は、砂糖、若しくは、ブドウ果糖液糖 と呼ばれるものが研究の対象になっています。
ブドウ果糖液糖というのは、市販のジュースやドレッシングなどに入っており、遺伝子組み換えトウモロコシから作られる果糖とブドウ糖が合わさった液体のことをいいます。
なので、フルーツに含まれている果糖とは全く別のものになるのです。
結論から言いますと、フルーツに含まれる果糖は、血糖値を上げず、糖尿病のリスクを下げ、免疫力を高めるという良い実験結果が多数報告されています。
なので、果物の果糖は、怖がらずに摂っていただきたい栄養素になります。
では、果物の果糖に関する実験の結果をご紹介していきたいと思います。
実験① 砂糖水と砂糖水にベリーを入れたジュースを飲んだ時の差
この実験は、砂糖水を飲んだ後に血糖値がどれくらい上がるのかを測った実験になるのですが
30分後には血糖値が一気に上がる高血糖の状態になりました。
高血糖になると体はびっくりして、血糖値を下げるために大量のインスリンを分泌します。
そして、90分後に血糖値を測ったところ、なんと今度は、血糖値が下がりすぎてしまっていたのです。
この状態を反応性の低血糖という状態であることは、以前お話しましたが、「あれ、何だったっけ」という方は、もう一度こちらの記事で復習してみてくださいね
反応性の低血糖が起こると、なんと次に脂肪が血液に放出されるという現象が起こるのです。
これは突然の低血糖に、脳が「体が今飢餓状態に陥った」と勘違いするからなんです。
【脂肪酸の分解】
反応性の低血糖が起こると、人間の体は危ないと思い、エネルギーを作り出すために脂肪酸が出る
脂肪が血液内に放出されると、その脂肪をを処理しようとして肝臓が働くのですが、常に甘いジュースばかりを飲んでいる人は、頻繁にこの反応性の低血糖状態が起こり、脂肪が血液に放出され、肝臓がその脂肪を処理しきれなくなり肝臓機能が低下し脂肪肝になってしまう!! わけなのです。
ところが、この砂糖水の中にブルーベリーを入れてジュース(スムージー)を作り飲んだところ、30分後に血糖値を測ると、砂糖水を飲んだときより血糖値の上昇が低く。また90分後にも反応性の低血糖は起こっておらず、ゆるやかに血糖値が下がっていたのです。
専門家は、その理由として
① 半固形であるスムージは消化がゆっくりだから
② ベリーに含まれる食物繊維が小腸での糖の吸収スピードをゆるやかにしたから
と述べています。
実験② パンだけを食べた時と、パンとベリーを一緒に食べた時の違い
では、もう1つ同じような実験結果を見てみましょう。
次の実験は、パン(ブドウ糖)だけを食べた時の血糖値の上昇と、パンとブルーベリーを一緒に食べた時の血糖値の上昇を比べた結果になります。
まず、パンだけを摂った時は30分後に血糖値の急激な上昇が起こり、反応性の低血糖が起こりました。
けれど、パンと一緒にブルーベリーを摂った時は、血糖値の上昇はあまり見られず、反応性の低血糖も起きませんでした。
この2つの実験から、
食物繊維 + 食物栄養素(ポリフェノール等)は、血糖値を安定させる作用があるということが立証されたのです。
そこで、食物繊維を取り除いたブルーベリーが入った砂糖水を摂取したところ、なんと
最初の15分で血糖値スパイク(急激な血糖値の上昇)が起きた
しかし、90分後に、反応性の低血糖は起きなかったし、血流への脂肪酸の放出も起こらなかった
という結果が出たのです。
これはどういうことかといいますと・・・
植物のファイトケミカル(植物が作り出した栄養素・ポリフェノール等)が砂糖が小腸で吸収されるのを防いでくれる効果があったのです。
ということで、生の果物に含まれる「食物繊維」と「植物栄養素(フェイトケミカル)」は、血糖値を安定させる効果があるため、GI値の高い食品に果物のを加えれば、インスリンの上昇を防げることが可能であるということがわかったのです。
でも、糖尿病になった人や、糖尿病予備軍の人に対して、医者は「果物は控えるように」と指導するケースが多いようです。
糖尿病の人は間違いなく果糖は控えないといけないのですが、果たして果物の天然果糖まで控えないとだめなのでしょうか?
過去の研究で、果物を沢山摂っても、少量しか摂らなかっても、糖尿病の基準となるヘモグロビンA1Cの値は変わらなかったという報告があります
果糖の障害として言われているが、
成人で1日 50gの果糖を摂取すると肝臓に負担がかかるそうです。
しかし現代人は、ジュースや砂糖入りの食べ物の過剰摂取により、1日 平均75g位の果糖を摂取しているそうです。
この数値は、肝臓障害が出る数値になるそうです。
ところが、果物に含まれている天然の果糖が有害だと報告されているエビデンスはありません。
反対に、1971年のエビデンスで
1日に200gの天然の果物を摂取しても、血圧以上、糖尿病、高脂血症、肝障害等、一切の障害が出なかった
という報告があるのです。
もう一つ、実験があります。
① 果物と砂糖を控えたダイエット
② 砂糖のみを控えたダイエット
の2つのダイエット方法を比べてみたところ、砂糖のみを控えたダイエットの方が効果が高かったそうです。
つまり、ダイエットには果物の果糖を控えてもあまり効果がないということになります。
工業的に作られた果糖のみが有害であり、肝臓にダメージを与え、高血圧の原因になる
果物の天然の果糖は安全である
というのが、今回の健康情報テーマ「果物は体に悪いの?良いの?」の結論になります。
ということで、果物の天然果糖は安全であるとわかっていただけたと思うのですが、最後に果物の消費と糖尿病(2型糖尿病)のリスクと、どんな果物を摂れば糖尿病予防になるのかについて25年にもわたって追跡調査を実施した報告結果についてご紹介したいと思います。
果物消費と2型糖尿病のリスク
紹介するのは、ハーバード公衆衛生大学院 による追跡調査結果です。
参加時に主な慢性疾患がない 18万7382人を対象に、約25年間の観察結果により、果物の総摂取量で2型糖尿病に罹患するリスクを分析した
期間中に 1万2198人の参加者 が2型糖尿病にかかった。
実験の内容は、
① 1週間のうち果物1サービング(約100g)を4食未満摂取するグループ
② 1週間のうち果物1サービングを4~6食摂取するグループ
③ 1日のうち果物1サービングを2食摂取するグループ
④ 1日のうち果物1サービングを3食以上摂取するグループ
の分けて行ったところ、週に3サービング 摂取量が増加するごとに、糖尿病のリスクが有意に低下した。
ということで、果物の摂取量が多いほど糖尿病になるリスクが減ったという結果が出ております。
さらに、この実験では、摂取する果物の種類別にも分析をおこなっており、糖尿病になるリスクが少ない果物順に
1位 ブルーベリー
2位 ブドウ(レーズン)
3位 リンゴと梨
4位 バナナとグレープフルーツ
という結果が出ています。
そして、唯一果物の中でメロン(カンタロープという種類)が、糖尿病のリスクが上がることがわかったのです。
また、同じくこの実験で果物をジュースに置換えて実施したところ、糖尿病のリスクが7パーセント上がるという結果が出ました。
つまり、果物は生のままで摂取した方がよく、ジュースで摂取するのは良くないということなのですが、その理由としては
① ジュースは胃から小腸へ行くのが早く、血糖に急激な変化をもたらすため
② ジュースだと、果物に含まれるアントシアニン、クロロゲンさん、れベストロール、食物繊維などの摂取量が減ってしまう
からではないか?という予想がされています。
果物をジュースに置換えた場合、上記の果物と比べた場合
1位のブルーベリーでは 33パーセントリスクが上がる
2位のブドウ(レーズン)では、19%
3位のリンゴと梨では14%
4位のバナナでは13%、グレープフルーツでは12%
のリスクが上がることが確認されました。
あと、果物の種類による糖尿病のリスクは、グレセミック指数(高いと糖尿病になりやすい)との関連性はないという結果も出ているそうです。
さて、どうです?
果物は糖質が多いから控えていた! という方は、これからどうか安心してたくさん食べてくださいね~!!
ただし・・・何度も言いますが、果糖は肝臓でしか処理されないので、食事と一緒に摂取したり、食事後のデザートとして食べるのは肝臓に負担がかかりすぎるので、あまりお勧めできません。
私は、間欠的ファスティング(16時間ダイエット)をずっと続けているので、お腹が空いたときのおやつ代わりに食べています。
できれば、果物は1日1種類を、単体で摂取するのが体のためにはより効果がありますよ~。