こんにちは。バンコクRENEスパの店長トヨです。
今回から、アブラについて、何回かに分けてお話をしていこうと思います。
みなさんはアブラ(油・脂)と聞いて、どのようなイメージを持たれていますか?
私達が子供の頃というのは、欧米型の食事である子供が大好きなハンバーグやオムライス、カレーライスといったものは、月に何回か食べれるごちそうであり、普段は野菜の煮物や魚の煮つけ、お味噌汁にお漬物と言った典型的な和食が食卓に並んでいました。
けれど現代は、欧米型の食生活がしっかりと食卓に定着してしまったため、子供が煮物や煮つけを食べることなんてとても少ないでしょうし、昔ながらの食生活がとてもどんどん少なくなってきているように感じます。
そのことにより、肉類や乳製品など、脂質の摂取量がとても過剰になり、生活習慣病が増えたように考えられ、多くの方は脂質(脂肪)は体に悪いもの、病気になるもの、太るもの・・・といったイメージを持ち、悪者扱いするような傾向が見られます。
私のお店でダイエット指導や指導をする時に、「まずアブラを見直してください」と、アブラの話から始めると、多くのお客様が「えっ?アブラ?」と驚かれます。
中には「アブラは体に悪いから、フッ素加工のフライパン等を使って、アブラを使わないで調理をしています」なんて方もおられて、こちらが驚くことも度々です。
そういえば、「油抜きダイエット」なるものが、一時流行しましたよね。
アブラは悪いもの! それは大きな誤解です!!
アブラを取らない生活をしている人は、今すぐにやめてほしいと思います。
アブラは、けっして割るものではなく、それどころか、私達の体にとってなくてはならない大切なものです。
脂質(アブラ)は、3大栄養素の1つであり、人間の体にとってとても重要な栄養素の1つです。
アブラは正しく、上手に食生活に取り入れていくことで、体にとって優秀な働きをしてくれるすぐれた栄養素です。
アブラには様々な種類があり、過度な摂取を控え、正しく選択して、バランスよく摂ることで、健康にも、ダイエットにも貢献してくれる強い味方だということを知っていただきたいと思います。
・・ということで、まずはアブラの誤解を解き、良いアブラを正しく摂る方法について知っていただくために、今回から連載でアブラについてご紹介していきたいと思います。
油と脂・・・違いは何?
さて、アブラを漢字で書くと、「油」と「脂」の2つの表記がありますが、この違いは何でしょうか?
これは、アブラには油(Oil)と脂(Fat)の2つがあるからです。
一般的には、
① 常温の時に液体である植物性油や魚のアブラなどを「油」と呼び、
② 常温の時に固体である動物性油脂(肉や魚の脂肪、バターなど)を「脂」と呼びます。
アブラには、いくつかの分類があって、そのため少しややこしく感じるのですが、
アブラの性質ごとで分類すると
① 主に動物性油脂は飽和脂肪酸(例外として魚の脂肪は不飽和脂肪酸)
② 植物性油は、不飽和脂肪酸(例外としてココナッツオイルやパームオイルは飽和脂肪酸)
となります。
「えっ~、こんなややこしいこといちいち考えてアブラ選びをしないといけないの~?」と言われたお客様もおられましたが、脂肪酸は、身体への影響や効能、風味などにバリエーションがあり、それぞれに役割があります。
アブラを有効に活用して、健康や美容に役立てるためには、この分類の違いは、是非知っておくべき知識となるのです。
詳しくは、後々説明していきますが、アブラは摂取する種類を選ばなければいけないということと、そのためには、難しいけれどアブラの分類については、できれば基本的な知識は持ってほしいなと思います。
アブラに対する誤解(アブラは健康の敵ではない)
アブラに対して悪いイメージを持っておられる方は、「アブラってメタボの原因になるでしょ?」とおっしゃられます。
そんなことはありませんよ~!! それ、とんでもない誤解です~!!
私達の体の中にある60兆個ともいわれている細胞は、すべてアブラでできた細胞膜に包まれています。さらに、アブラは血液をつくる大切な材料でもあります。
肌や髪を健康に保ったり、脳や神経の機能も保ってくれます。なんと、脳の6割はアブラで形成されているんですよ~!!
さらに、アブラはホルモンの材料にもなり、ビタミンA、E、D、Kなどの体に必要な脂溶性(アブラにしか溶けない)栄養分の吸収も助けています。
なので、アブラが不足すると血管が弱くなったり、脂溶性ビタミンであるA、E、D、Kなどの吸収率が悪くなったり、肌や髪の毛の艶がなくなってしまいます。
この「アブラ=太る」という、根強い誤解を、なんとか解いていきたいな~と思います。
確かに、カロリーという点では、脂肪は1gあたり9キロカロリーと、タンパク質や糖質の4キロカロリーと比べると高カロリーになります。
なので、確かに摂り過ぎには注意が必要ですが、何度も繰り返しますが、正しく上手に使うことでダイエットにもなりますし、健康を維持していく大きな味方になってくれるのです。
自分にとって正しい情報を得ることが大切
私が、お店でお客様に健康指導やダイエット指導をする時に、時々「健康オタク」と称されるお客様から激しい反対意見の攻撃にあうことがあります。
今は、インターネットやSNSの普及により、様々な情報が氾濫しています。
特に健康情報については、まったく正反対の意見があふれたりしています。健康情報は、直接体の問題にかかわるので、身長に情報を吟味する必要があります。
そのため、私はお医者様(現在は大腸外科医の先生と、消化器外科の先生が開催しておられる健康スクールに在籍して勉強を重ねています)から、健康情報を得て、自分の体で試してみて納得がいってから、お客様に指導をしているのですが、お客様によっては有益な情報にはなり得ず、その方が信じていたことを否定するような指導になってしまうケースも出てきます。
きちんと科学的根拠=エビデンスが検証された情報のみを、できるだけ伝えるようにしておりますが、その中には、解釈の違いにより対立する情報もあり、また医療や研究が発達している現代では、今正しいこともその後覆ることがあるかもしれません。
どんどん情報はバージョンアップされていくのが現実であり、そのことに対しては、私が指導を受けているお医者様自身も「自分の体に合わないと思ったらやめてください。万人にこのやり方が合うとは限りません」ということを常々、おっしゃられています。
なので、自分の判断で自分にとって有益な情報であるかどうでないかは判断してほしいのですが、その前にまずは、新しく確認されている情報について、耳を傾けてほしいなと思います。そのうえで、違うと思われればやめればいいし、正しいと思われれば、今までの習慣から変えてほしいと思うのです。
例えば、アブラの場合では、ひと昔前に「これスロールを下げるのに有効な植物性の良質のアブラ」と流行になった「リノール酸」という脂肪酸は、その後、相次いだ新たな研究報告により、その説は覆りました。
さらに、2015年12月、文部科学省から刊行された「日本食品標準成分表2015年版(7訂)」では、ひじき100g当たりの鉄分が、それまでの数値から一気に9分の1になったのです。
その背景には、ひじきの製造が、鉄の釜からステンレス釜に取ってかわられたということがあったからだそうです。
特に、アブラの問題では、脂質に対して様々な意見があり、専門家の間でも異なる意見が出てくるので対立が生まれ、エビデンスが確立しているもの以外に、あたりまえのように世の中に流布している情報も、実は化学的根拠が全くない場合もあります。
上記のひじきの例のように、商品を売りたいがために、根拠のないマーケティング情報を広めようとする人も多いからです。
昨日までの毒が薬になり、昨日までの薬が毒なる・・・といった真逆のことがあり得るのが栄養学や医学の世界です。そして、その背景にはマーケティング要素が絡んでいるものもあります。
なので、できるだけ最新の情報を入手し、複数の臨床試験などで証明された最も確実性が高い情報に触れるようにしてほしいですし、もしあなたが得ている情報が古い情報であるなら、修正していく勇気も持っていただきたいなと思います。
人工的に作られたアブラはリスクがある
アブラに関して誤った情報を信じ込んでおられるお客様が多い反面、とても敏感に慎重にアブラ選びをされているお客様が増えて来ているのも事実です。
特に、アレルギーを持ったお子様を育てておられるお母さま等は、とても勉強されており、子供のためにしっかりとアブラ選びをされていると感じます。
昨今、盛んに危ないと方々で言われているアブラに「トンランス脂肪酸」があります。
「トランス脂肪酸」と言っても、大半の方が「なんとなく聞いたことがありますが、それは何ですか?」という程度ですが、良く勉強されている方は、「リスクの高い脂肪酸」ということで、とても気にしてくださっているので安心し嬉しくなります。
トランス脂肪酸についても、後に詳しく説明していきたいと思いますが、、マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸は、人工的に作られたものになります。
トランス脂肪酸が良くないと言われるゆえんは、人間の体内で分解され、代謝される時に、大量のビタミンやミネラル、消化酵素が消費され、身体に負担をかけるからです。
さらに、老化や癌の原因にもなる活性酸素を作りだしてしまうのです。
欧米では、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増加させ、HDL(善玉)コレステロールを減少させるということで規制されているのですが、なぜか日本では、反対に規制が緩和されて、私達が日常的に口にする、あらゆる食品にトランス脂肪酸が含まれているのです。
さらに、リスクのあるアブラとしては、外食をしたり、加工食品を食べると、どんなアブラが使われているのかわからないだけに、とても健康上のリスクがあります。
けれど、食品にはいろいろなアブラが混在しているので、あまりにも神経質になりすぎて、一喜一憂するものはストレスになってしまいます。
一番は外食しない、加工食品を摂らないというのが最善の方法かもしれませんが、それも限界があるため、だからこそ、アブラに対する知識を増やして、意識的にバランスよく摂取していくことが大切になっていくのです。