バンコクRENEスパにおいて、健康のためにお客様に指導していることは、「炎症を引き起こす食品を避けること」です。
「炎症」は「酸化」「糖化」と並んで、老化を促進させる三大原因の1つとされています。
体の内外に炎症のない状態を作り出すことで、健康な体を手に入れることができるのですが、体に炎症を引き起こす食品の代表として
① 糖
② 悪いアブラ
③ 食品毒
の3つがあります。
①と③については、別のコーナーで紹介しておりますが、ここでは②の悪いアブラについて「アブラについて知ろう」というシリーズで紹介しております。
前回は、アブラの種類と分類についてご紹介しました。
今回はいよいよ、「良いアブラ」と「悪いアブラ」には、具体的にどういった食品があるのかを紹介していきたいと思います。
私達が摂るべき「良いアブラ」とはどのようなアブラなの?
では、私達が取るべき「良いアブラ」とは? いったいどのようなものなんでしょうか?
良いアブラとしてのポイントとしては
● 加工のプロセスが少ない
● グラスフェッド(放し飼いで良質な草を食べて育った)の牧草牛から作れたもの
の2つがありますが、その代表的な商品について一覧でご紹介したいと思います。
良いアブラ一覧
良いアブラ(健康的なアブラ)とは、劣化しにくいアブラのことであり、飽和脂肪酸、オメガ3、オメガ9のアブラが該当します。
◎ エキストラバージンオリーブオイル
★ ココナッツオイル
★ グラスフェッドバター
★ ギー
・ アボガドオイル
・ 魚のアブラ(オメガ3脂肪酸)
・ ナッツ
・ 遺伝子組み換え飼料を与えていない平飼いの卵
・ 牧草(グラスフェッド)の家畜の肉(牛、鶏、鹿、羊)
・ 牧草(グラスフェッド)の家畜の乳(牛、山羊、羊)チーズ、ヨーグルト
・ MCTオイル
・ ヘンプシードオイル(麻の実油)
・ ダークチョコレート
・ 亜麻仁油(ただし新鮮なもの)
・ チアシード
グラスフェッドバターとギー
上記一覧のアブラの中で、★印のついた「グラスフェッドバター」と「ギー」については、料理の際に加熱しても酸化することなく、良いアブラの状態で摂取することができるものになります。
グラスフェッドバターは、あまり聞いたことがないと思いますが、日本でもネットショップなどを利用すれば1㎏2500~3000円程度で購入可能です。
「ギー」は、グラスフェッドバターよりも、さらに聞いたことがないと思いますが、インドなど南アジア諸国で古くから使われてきた乳脂肪製品で、牛乳や水牛のバターをゆっくり加熱し、水分やタンパク質を取り除いた純粋な乳脂肪になります。
タイだと、最近ではオーガニックショップやスーパーのコーナーにニュージーランドやチベット製のギーが並んでいるのを見かけます。1㎏600バーツ位で購入できます。
エキストラバージンオリーブオイル
次に◎印のついた「エキストラバージンオリーブ」は、従来は過熱せずに摂取することがすすめられてきましたが、近年、加熱しても良いアブラとしての特性が失われないという実験が好評されて、現在も研究が進められています。
ただし。エキストラバージンオリーブの発煙点は約190℃と比較的低いため、低温で調理するようにしてくだい。
基本は生でいただくのがおすすめですよ
良いアブラとしてあげた一覧の中で、みなさんが一番馴染深いのは、オリーブオイルではないでしょうか?
けれど、オリーブオイル選びには注意が必要なんです。
多くのオリーブオイルは100%抽出をうたっていたりするのですが、実際には、残念ながら不純物が入っているケースがとても多いのです。
では、優れたオリーブオイルを見抜くにはどうしたらいいのでしょうか?
① 遮光性の高いボトルに入っているもの
② オーガニック認証マークがついているもの
③ あまり価格が安い物は選ばない
④ オイルを舐めたときに「ピリッとした刺激」を感じる
等のポイントで選んでいただくと間違いがないと思います。
私達が避けるべき「悪いアブラ」とはどのようなアブラなの?
良いアブラは、私達の脳や体のパフォーマンスを最高の状態にしてくれます。
けれど、悪いアブラは、反対に体や細胞に確実にダメージを与えます。
では、悪いアブラとはどのようなアブラなのでしょうか?
悪いアブラは、
● トランス脂肪酸
● 加工されたアブラ
の2つに分けられます。
悪いアブラ一覧
これらの悪いアブラを使っている食品は次の通りです。
・ マーガリン
・ サラダ油
・ キャノーラ油(なたね油)
・ ショートニング(ラードの代用品として植物油から作られた食品添加物、焼き菓子などの原材料として用いられる)
・ コーン油
・ コットンシードアブラ(「ピュアオイル」という表記の製品に相当)
・ なたね油
・ 植物性クリーム
・ 水素アブラ
・ 大豆油(遺伝子組み換え)
・ 植物油脂
・ ひまわり油
・ 米油
・ ベニバナ油
・ ピーナッツ油
・ 綿実アブラ
・ ごま油
・ 市販の牛乳、ヨーグルト
・ 市販のバター
・ 乳製品ではないクリーム
などです。
どれもスーパーの棚にずらっ~と並んでいるものなので、一度は使われたことがあるのではないでしょうか?
悪いアブラの代表格は「トランス脂肪酸」
アブラの中で、もっとも悪いほは「トランス脂肪酸」です。
トランス脂肪酸とは、液体(植物性)の油に水素を添加し、化学変化させて作った人工的に固形となった油のことです。(人工的なもの以外でも、牛肉、羊肉、牛乳や乳製品などに微量に含まれています)
不飽和脂肪酸の炭素の二重結合を挟んで、同じ側に水素があるシス型、反対側にあるトランス型という分類において、トランス型構造になった脂肪酸です。
水素添加という加工方法により、アブラの安定性や硬さを改良して使うと、液体の油が固体になり、酸化にも強くなります。また、食品の風味や触感が良くなるということで、多くの食品の調理や製造に使われました。
しかも大量生産される植物油が減量ですから、動物性油よりずっと安価になるのです。
けれど、トランス脂肪酸は、非常に毒性の強いアブラであり、加工や加熱など人工的に手を加えると毒性が生じます。さらに、人体の中で分解代謝するためには、大量のビタミンやミネラル、消化酵素が消費されるため、体とても負担になるんです。
マーガリンやショートニングがこのトランス脂肪酸を含む製品の代表格です。
また、高温で調理された揚げ物等も、多くの場合、アブラがトランス脂肪酸に変化しています。
トランス脂肪酸は
細胞を攻撃し、体内でその毒が代謝されて消えるのに240日もかかる
とされています。
つまり、トランス脂肪酸を摂ったのが1日だけであれば、240日かければなくなりますが。もし常時摂取しているのであれば、永続的のトランス脂肪酸の毒にされされることになり、体のいたるところで炎症を起こす原因となる、とても恐ろしいものなんですよ~。
トランス脂肪酸の毒にさらされると、血液中の悪玉コレステロールが増加し、善玉コレステロールが減少してしまいます。
その結果、細胞膜が硬化し、がんや動脈硬化、心臓病、糖尿病、その他の慢性疾患などさまざまな病気を引き起こす危険性が増加します。
あまりに危険であるため、世界保健機関(WHO)は、2003年に1日あたりのトランス脂肪酸の平均摂取量は最大でも総エネルギー摂取量の1%未満にするべきという勧告を出しました。
その後、2008年には、国際連合食料農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)による、脂肪及び脂肪酸に関する合同専門家会合の報告書を出しました。
アメリカでは2015年、日本の厚生労働省にあたるFDA(アメリカ食品医薬品局)が食品にトランス脂肪酸を使用することを禁止したほどです。
そして、2018年6月19日以降に、食品に使用する場合には、食品添加物としてあらかじめ認可を受けることが必要となりました。水素添加物を規制して、摂取量を大幅に減らし、疾病リスクを減らすための決定です。
現在では、大米のみならず、オーストラリアやシンガポール、韓国、台湾、中国、香港でも使用を禁止したり、表示を義務つけたりなどの規制が強まっています。
ただ、日本は、米国などと比較すると摂取量が少ない(平均して摂取エネルギーの0.31%)という理由で、まだ規制の対象になっておらず野放しの状態にあるんです。
例えば、
マーガリンやファストスプレッド、ショートニング、それらを原材料にしたパンや調理パン、ケーキ、ドーナツ、クッキーなどの菓子類、揚げ物などのスーパーマーケットやコンビニエンスストアで売られている食品
などには、あたりまえのように含まれており、日常生活で知らず知らずに食べている状況です。なので、現状でいうと、日常においてトランス脂肪酸を摂らないということは難しいといえるのです。
トランス脂肪酸が生じる主な状況は、
① 液体の油(植物油など)に水を添加して硬化させ固形にする
② 液体の油(植物油など)を高温で揚げたり、炒めたりする
という2つのケースが該当します。
1つ目の液体の油(植物油)を固形にしたものの代表格が「マーガリン」です。
マーガリンは、バターや生クリームの代替品として作られたもので、植物油を加工して製造されています。
バターや生クリームに比べて安価で扱いやすいため(バターは固まるがマーガリンは固まらない)、食品製造においても多様されています。
マーガリンが体に悪いということは、今ではかなりの人がご存じだと思います。なので、今はバターの代わりにパンにつけて食べるといったことも徐々になくなってきました。
けれど、お菓子やケーキなどの原料として使われることが多く、この場合は表示義務もないため、知らず知らずのうちに食べているというケースが非常に多いと思います。
一見、アブラを使用していないように見える食品にまで、トランス脂肪酸は使われている可能性が高いので、常にパッケージの表示を見ることを習慣づけてみてください。
表示の中で「ファットスプレッド」「ショートニング」「水素化油脂」といった表示や、「植物油」「植物油脂」といったぼんやりとした表示は気を付けてください。トランス脂肪酸が使用されている可能性が高いです。
加工を重ねたアブラはとても危険
マーガリに加えて、もう1つ、食品として口にしやすい悪いアブラがあります。その代表がンショートニングです。
ショートニングは、植物油を原料としたクリーム状の食用油脂のことです。
イメージとしては、マーガリンから水分と添加物を除去した純度の高い(より悪い)油脂ともいえます。
ショートニングは多くの食品に原材料として入っています。
特にパンやクッキーなどの原材料を見ると、必ずといっていいほど使用されています。
ショートニングをはじめとする悪質なアブラは、細胞間のやり取りを破壊し、がん、心臓病、体重増、神経系疾患の原因になるという研究結果が出ています。
さらに、これらの他にも
★ 生殖器にダメージ
★ 学習障害
★ 肝臓と肺にダメージ
★ 免疫力が低下
★ 身体的、精神的な発育を妨げる
★ 老化を促進させる
といったことの原因にもなっているといった研究結果も報告されています。
このような研究結果がありながら、どうして悪いアブラがこれまでになくほど社会で一般的に使われているのでしょうか?
その理由の1つとして、植物油の使用が急増しているからだと言われています。
近年、バターの消費量が減少し、マーガリンやショートニングの消費量が劇的に増加しています。
食品業界は液体植物油の多用途性を発見し、これら製品の使用を増やすことを強く求めてきたのです。
それは・・・・植物油に水素を添加することにより、食品を長期保存できることを発見したからです。
高温調理した揚げ物はできるだけ食べるのを避けよう!
加工を重ねたアブラの他に、高温で揚げたアブラも、トランス脂肪酸を発生させます。
例えば揚げ物です。
ファストフードのポテトやナゲットに代表される食品やインスタントラーメンは、もちろんトランス脂肪酸が多く含まれると考えてください。さらに、原材料からして怪しく、食品添加物も満載である上、トランス脂肪酸で揚げているとしたら・・・想像しただけでも恐ろしいです。
そもそも時間が経ってもいたまず、サクサク、カリカリの食感であること自体おかしいとみるべきであり、とても不自然な姿です。
そして、トランス脂肪酸に負けず劣らず良くないのが、サラダ油やキャノーラ油などのアブラです。
こうしたアブラは製品化するために多くの加工を施しているのですが、そのプロセスで毒性の強い化学溶剤が使用されています。
※ 安価なアブラとは「溶媒抽出」されたものであり、「低温抽出」と記載された製品はこれには当たりません
アブラは加工をすればするほど自然の状態から遠のき、体にとって悪いアブラになっていきます。
サラダ油にはオメガ6脂肪酸が大量に含まれています。
問題は、このオメガ6脂肪酸には炎症性があり、がんや動脈硬化、心臓病、糖尿病、その他さまざまな疾患を引き起こすリスクが増大する点です。
こうしたサラダ油やキャノーラ油などは、炒めものや揚げ物に使われていることが多いことから、外食する際やお惣菜を買う際には意識的に避けるようにしましょう。
遺伝子組み換えアブラには気をつけよう
最後に、悪いアブラとして遺伝子組み換え食物を原料にしたアブラの危険性についてご紹介します。
GMOという言葉を聞いたことはありませんか?
GMOとは「遺伝子組み換え作物」の略称、つまり遺伝子を操作して性質を変えてしまった作物のことです。
アブラでは、コーン油がその代表例です。
GMOのコーンは価格が安く大量供給できるため、コーン油の原料に使われています。
ヨーロッパでは、このGMOを食用にすることは禁止されていますが、日本で広く流通しています。
アメリカでも規制されておらず、それはアメリカの大手化学企業にとって莫大な利益につながるからだと噂されています。
GMOは、私達の体に大きな影響を与えていますが、私達人間だけでなく、牛や豚、鶏などの家畜は、GMOの穀物を混ぜたエサを食べています。
特に、牛は食肉だけでなく、牛乳やバター、チーズなどの乳製品になることを考えると、とても怖いことです。
動物から取れるバターやラード、脂身は「飽和脂肪酸」なので、トランス脂肪酸になる心配もなく、良いアブラであることは、すでにお伝えしましたが、こうした遺伝子組み換えの飼料を食べて育った家畜の肉や乳製品は、私達の遺伝子にも悪影響を与える怖いアブラなのです。
また、遺伝子組み換え食品には、多くの農薬や除草剤が散布されています。なんと、遺伝子組み換え食品は、これら農薬や除草剤にとても強いため、大量につかわれており、当然、私達の体内にも食品を通してこれら農薬等が体内に入ってくるのです。
健康的なアブラを摂るための具体的アクション
良いアブラがどういったものか? 悪いアブラにはどんなアブラがあるのか?
わかっていただけましたでしょうか?
最後に、もう一度悪いアブラを摂らないための具体的なアクションをまとめてみました。
① ファストフードやコンビニの揚げ物など、高温で調理するような食べ物はアブラが変質するので避ける
② アブラはできるだけ加熱しないで摂る
③ アブラはココナッツオイルやオリーブオイルなど、製造過程において工程が少ないものを選ぶ
④ アブラを加熱して使いたいのであれば、ギーやグラスフェッドバター、ココナッツオイルがおすすめ
⑤ 食品の原材料表示をチェックし、不健康な脂肪が含まれていないか確認する
⑥ キャノーラ油やコーン油など、遺伝子組み換えの種や穀物を使った植物油は避ける
⑦ 穀物ではなく、放し飼いで良質な草を食べて育った牛の肉や脂を摂るようにする